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寒さってさ。
そりゃあ、度を超えたら耐え難くて辛かったりするけれど。
寒いって。
もしかしたら幸せの入り口かもしれない。
大好きなきみと体温を分け合って。
くっついて。
囁き合いながら、愛を伝えられるから。
・:*+.晴れ のち きみ と 雪 ・:*❄︎
「…ぅあ…寒いねぇ」
「青空だけど空気が冷たいな」
「真冬ー!って感じ」
「ーーーーー今日は雪予報もでてるよ」
「えー?」
ストールに鼻先を埋めながらも交わす会話が、新年の午前中の空にとけてゆく。
隆と歩く、寒い真冬日。
でも、新しい年の空の下ってのは。
なんとも言えない気持ちよさがある。
今日はオフ。
ゆっくり起きた朝。
初日の出見たい!って豪語してた隆だったけど、あったかい布団にくるまって起きる気配がなくて。
俺もそんな隆の寝顔見てたらもうひと眠りって、次に目覚めたら日が高くなっていた。
「初日の出は残念だったけど、コンビニは行けるね」
「新年のコンビニって何かいいよな」
「ね!新しい気持ちでね」
…とは言っても、買う物は去年とたいして変わらない。(そりゃそうだよな)
いつもよりもきらきらして見える通い慣れた店内の、いつものコーナー。
コーヒー、ミルクティー、チョコ。
…と。
ちょっと目についたもの。
「隆ちゃん、これも買ってやろうか」
「えー?なぁに?」
「リップクリーム。乾燥対策。コンビニ限定だってさ」
「リップ?」
「これなんて苺の香りだって。隆に似合いそうじゃね?」
「…そーゆうのは女の子の方が似合うでしょ?」
「隆にも似合うって!でもまぁ、これじゃなくても…いらない?色んなのあるけど」
「俺持ってるよ?…持ってるし、それに」
「?」
「イノちゃんとキスしてれば唇うるうるだもの」
「っ…!」
「ね、?」
だからいいの。…って。
ふふふって、微笑んで。
ふらふらと店内を楽しげに漂って。
俺はというと…完全にやられた。
本人はこのくそ寒いのにアイスなんて呑気に眺めて俺の気なんてお構い無し。
すごい台詞を言ったってこと気付いてなさそうだ。
「ーーーーーおぼえとけよ」
コンビニ出たら。
家帰ったら。
悪いがもう新年明けましてどころじゃないね。
「ーーー…ん、っ…」
ちゅ…
「待っ…」
「だめ」
くちゅ…っ…
「ーーーぁ…っ…ふ、ぅ」
家に帰り着いて。
隆のコートを剥がすように脱がせると。
ミルクティーのペットボトルを持ったままの隆を抱き上げて、そのままリビングのソファーに沈めた。
コトン。…
ミルクティーが床に落ちる。
温かみのある色味が手から落ちたせいか、隆はそれを目で追ったあと途端に身体を俺に擦り寄せた。
「ーーー寒い?」
「ん、」
「大丈夫だよ」
「ーーーぇ、?」
「すぐにあっためてやる」
するりと、隆の白いニットの裾から手を入れた。
「ーーー…っ……ひゃ…」
「ほら…ここ、」
「ん、んっ…ぁ…」
「気持ちいいとこだろ?」
寒いって言うから、服はまだ着せたまま。
せめてエアコンで部屋が暖まるまでは。
俺の体温も分けてあげたくて、手のひらで胸をやわやわと揉んで、先端は口に含んで、甘噛みして舌先で穿る。
「ぃ…あっ…ぁん…」
「ーーーあんなこと言うからさ」
「?…ぇ、?……んっ、」
「あんな煽るみたいなキスの話なんかするから」
「ぁ…煽っ…てな…」
「隆はそのつもりでも」
「っ…ぁ、やぁ…」
「俺はそうじゃないよ」
するりと隆のジーンズを下着ごと抜き取って、主張しはじめた隆のものを弄る。
指で扱いて、舌先で先端を突くと身体が震えた。
すると隆は潤んだ目で俺をじっと見つめる。
…なにか言いたげな表情で。
俺はその理由がわかるから、意地悪だと思いつつも愛撫の手を止めない。
「俺が服脱がないって?」
「っ…イノちゃん、ずるい」
きっちりと服を着たままの俺を隆は眉を下げて睨むけれど。
自分だけが乱されて恥ずかしいのかもしれないけれど。
「いいでしょ?こんなのもたまにはさ」
指先を少しづつ隆の中に埋めて。
熱い狭いそこを柔らかく押し開いて抜き挿しする。
いつもは繋がってぐちゃぐちゃに愛し合う俺たちだけど。
今日は隆の表情を見ていたい。
俺の手で潤んでいく隆を一欠片も見逃さずに。
「…っ…あ、ぁんっ…ゃあ、」
「ーーーほら、もう俺の指奥まで入ってるよ」
「ーーーーーーーっ……ゃ…」
熱いあつい、隆の中を犯していると時間を忘れる。
隆を愛することだけに意識がいって、今だけは、あの真冬の寒さも感じない。
…と。
余裕あるフリしてるけど、全然そんなことなくて。
隆を貫いて繋がりたい欲望がむくむくと顔を出す。
自身のベルトに伸びる片手は無意識なんだかもうよくわからない。
そんな時だ。
目の前の隆に夢中になっていたオレの耳に。
「…ふ…っ…ぅ…」
え?
「ん…っ…んくっ…」
ぽろぽろと涙を溢して、手の甲で顔を隠すようにそれを拭う。
喘ぎに混じって聴こえるのは、間違いなく隆の泣く声。
途端に手が一瞬止まる俺。
ーーーしまった…
いじめ過ぎた。
好きな子に泣かれるってのは(特に自分が原因で)、最上級に堪えるもんだ。
「ーーーほら、」
「…んっ、」
泣き続ける隆をそのままにして弄り続けるなんてできなくて。(さすがの俺も)
ソファーに沈めている身体を起こしてやって。
手近のブランケットを羽織らせて。
ぎゅっと、抱きしめた。
…すると、まだ。
「んく…っ…」
「…」
「…っ…ふ…ぇ…ぇ…」
「…」
隆の肩がしゃくりあげる度に小さく揺れて。
その肩を抱く俺は、込み上げてくる罪悪感…。
や。
好きな子ほど…って心理をわかってもらえたらと思うんだけど…。
今の状況じゃ、それも苦しい言い訳だよな。
「…ごめん」
「ーーーっ…ん、」
「意地悪だった」
「ーーーーーーー…ィ、」
「ん?」
「…ちゃ…と、」
「ぇ?」
「一緒…じゃ…っ…きゃ、」
「ーーーーーー」
「ゃ…だ…ぁ…」
イノちゃん と 一緒 じゃなきゃ
やだ
「ーーーーーーーっ…」
完敗。
「そうだよな」
「んっ…」
「俺もそうだ」
「ぇ、?」
「隆と一緒がいい」
気持ちいいことも。
幸せなことも。
例えばその逆も。
ーーーそれから、この冬の寒さに耐えるのも。
隆と一緒だから、平気なんだ。
「お詫び」
「え?」
「意地悪だったから、なにか」
それで済むわけじゃないけれど。
隆が望むことしてあげたい。
すると隆は、涙で濡れた目をぱちぱちさせて。ちょっとだけ、考えて。
じゃあ…って。
「ーーーキスして」
「ーーー」
また。
すごい煽りまくられる返答…
「イノちゃんのえっちも大好きだけど、」
「ーーー」
「キスしてくれるのがね、」
「ーーー」
「幸せで、好き」
「隆、」
ーーー本日何度目かの、完敗。
隆にはもう勝てる気がしない。
俺はこれからも何かある度にぐだぐだに負けて、でもそれで満足して幸せなんだ。
「俺もだよ」
「ん、」
「隆だけだ」
「っ…ぅん」
「ーーーお前だけ…」
涙のあとを指先でなぞって。
こつん…と、額同士を重ねたら。
隆ははにかんで、俺のシャツをきゅっと握る。
隆越しにちらっと見た窓の外は…寒そうだ。
白い空に…もしかして雪なのかな。
でもそれを見るのは後でいい。
今はもう、隆だけだから。
「ーーー隆、寒い?」
「ぅうん…」
「ん?」
「へい、き…」
隆の言葉の端を塞ぐように唇を重ねて、触れ合うキスを何度も交わす。
幸せそうに微笑む隆を見つめながら。
いつの間にか手を絡ませて。
隆の吐息が可愛くて。
俺も余裕なんてなくして。
求め合う。
舌先も唇も。
心も。
深く、深く…
結果。
キスだけじゃ足りるわけなくて。
今度はふたりとも服を脱いで。
ソファーの上で、セックスした。
俺は隆を抱きながら、ぼんやりとこの後の会話を想像して。
やっぱり幸せで、ひとり微笑んだ。
ーーーまたあとでさ、コンビニでも行かない?
ーーーえ?
ーーー雪降ってきたかも。すぐ止んじゃうかもしれないけど…
ーーー行く!
ーーーいいよ、行こうか。手繋いでさ。
ーーーうん!
end
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