日記(fragment)のとても短いお話









04/30の日記

23:22
密やかな場所。
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夜の雨降りの日の車内は好き。
もちろん晴れの日も、朝も昼もそうだけど。
雨降りの日の夜ってさ、車内という空間がぎゅっと密になる感じがするんだ。




ざぁぁ…
バシャバシャ、


さっきまでついてたカーステレオからの音楽は、アルバム三枚分が終わったところでイノちゃんが止めた。
すると車内は、高速を駆け抜ける音と、窓ガラスに打ち付ける雨粒の音に満たされた。





「ーーー隆ちゃん、何見てんの?」

「ーーーーー窓の外」

「見える?めちゃくちゃガラス曇ってるけど」

「ふふっ、あんまり見えない」

「だよな」

「でもいいの。なんか雨に包まれてる感じを楽しみたいから」



曇ってるガラスにツイ…と指先で触れると、そこの部分から見える景色だけが今の俺の外界の全てになる。
小さな小さな窓の外は相変わらず雨が降り注いで、流れていく街灯や遠くの建物も白く烟って、ちょっと寂しげに見えて。
ますます俺は、雨に包まれた車の中で……




「どきどきしちゃうね…」



思わず声に出てたらしい。
イノちゃんは運転しながら、ちらっと俺の方を見て。
何?って、訊いてきた。




「夜の雨降りの車内って、どきどきしない?」

「夜の雨降り?」

「車の中で、好きなひとと二人きりで」

「ーーーそれって、俺の事?」

「…他の人の事でもいいんですか?」

「ダメっ‼」

「じゃあ、変なこと言わないの」

「ーーー悪りぃ…」

「ーーーで、それでね。雨が降ってるとさらに…こう、車内っていう空間がぎゅっと密になる感じしない?」

「ああ…、わかる」

「うんうん。ーーーなんでだろうね?窓が曇って、外が見えないからかもね」

「見られてないって感じが落ち着くのかもな」

「何しててもバレないっていう、安心感かなぁ」

「ーーーそれは、」

「ぅん?」

「ナニしてもいいって事?ーーーここで」

「…ナニ…。ナニ⁇」

「…触るとか」

「えっち!」

「だってそうだろ?密室で好きな奴といたらする事ったらさ、」

「ーーーま、ね?」



ーーーそう。
だからどきどきするんだ。
期待してしまって、それが嫌じゃないからだ。






「ーーーあ?」



車の進路が急に左車線変更した。
まだ降りる高速の出口は先なのに、なんで?って思っていたら。
イノちゃんはフロントガラスの向こうの標識を指差して言った。



「パーキングエリア。ーーーちょっと降りるよ」

「ーーーえ?…うん、」



飲み物でも買うのかな?
そんな風に呑気に考えて、空いている駐車場に綺麗に車を停めるイノちゃんをぼんやり見ていたら。…




ぎっ…



「ーーーぇ、」

「隆が悪い」

「悪…ぇ?ーーーーー」



いつのまにか外されたシートベルト。
運転席から身体をずらしたイノちゃんは、ぎゅっと俺を抱きしめて、そのまま(これまたいつのまにか倒されてる助手席に)押し倒されてのし掛かられた。



「見えないから、いいよな?」

「ーーーっ…」

「隆があんな事言うからさ」

「イっ…ーーーぁっ、」

「俺までどきどきしてきた」



重なる唇。
初めから深く。
服の上から弄られる。
すぐに気持ちよくなって、もっと先が欲しくなる。




「ーーーっ…ぁ、あ…」

「…りゅう、」

「…っぁん、ん…」



エンジンをきっているから、バチバチと車の天井に当たる雨の音が大きく響くけど。
でも、それもすぐに聞こえなくなった。
濡れた音と、衣擦れの音と、恥ずかしいくらいの自分の声と。
イノちゃんの、ちょっと掠れた優しい声だけが、今の俺の全部。




ーーーああ、ほら。やっぱり。
夜の雨降りの車内って、大好きだ。








end






05/02の日記

23:41
Love time
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「…っ、痛」

「え、?」

「ーーーい…ーーーっ…たぁ…」




道路の隅で隆がしゃがみこんで眉を寄せた。
靴の上から手を添えて、痛いと言って。

ーーーどうやら、歩いていてどっかでぶつけたらしい。
…指先。






取り敢えず、往来じゃあれだから。
隆をすぐ側の樹の下に連れてって、幹に寄っかからせて座らせた。


ずっと痛がってるのは足の小指の辺り。
靴と靴下を脱がせて、片足だけ裸足にさせた。







「ーーーあ…。こりゃ結構思いっきりぶつけたんだなぁ」

「えー?」

「小指。爪が割れて、血が出てる」

「ええ~?どうりで」




痛いと思った…。って、隆は言う割に、裸足の足をクッと上げて、ちょっと楽しそうですらある。
ーーー痛いんじゃねぇの⁇


「痛いよ、もちろんね?ジンジンして痛いんだけど…。でもね、靴脱いだら足先が涼しくて気持ちいいの」

「あのなぁ…」

「それからこんなこと言うの不謹慎でイノちゃんに怒られそうなんだけど…」

「(はぁ…。)…いいよ、言えよ。こんくらいでいちいち怒ってたら、お前の恋人務まんないっての」

「イノちゃん大好き!」

「はいはい、俺も好きだ、愛してる。ーーーで、なに?」




告白し合って、(どさくさ)でも気分はそれだけで最高で。
隆の白い肌を目の前にちょっと変な気分が顔を出し始めてきたから、振り切るように本題に戻して隆を促すと。
隆はエヘヘ…って、照れ臭そうに言った。



「イノちゃんが優しいから嬉しいの。こんな外でも、こんな風に介抱してくれて」

「!」

「ーーーそれに…」

「ん?」

「…裸足を見せるって、誰でも良いってわけじゃない…でしょ?」

「ーーー」




必死にやり過ごした筈の、変な気分がむくむくと膨れ上がる。
ーーーそうだ。
素肌って(特に普段は隠れてる部分は)やっぱり特別で。
それを無防備に見せて、触れさせてくれるって…




「ーーーヤバい」

「え?ーーーなぁに?」

「隆が変な事言うから」

「ふぇ?」



絆創膏…持ってたっけ?
…ねぇな。
仕方ないから、コンビニで買って…ーーーそれから、




「この悶々とした気分をどうにかしようか」

「へ⁇悶々?」

「安心してよ。この辺はお洒落なそうゆう建物いっぱいありそうだし」

「ーーー⁇」

「オフでよかったな?二人とも」

「ーーーえ?…っ…ぁ、」




ようやく気付いたらしい隆は顔を真っ赤にしてジタバタ暴れるから。
俺はひょいと隆を背負うと、隆の片方の靴も後ろ手に持って道を行く。
絆創膏を調達して隆の手当てして、その後はこの甘ったるい気持ちをぶつけ合おう。
(ぶつける…じゃないな。そうじゃなくて…)




「愛し合いに行こうか」





end






05/15の日記

22:54
ひとりの夜。あなたの帰りを待つ。
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イノちゃんは仕事で遅くなるみたい。
夕飯間に合わないかも、隆ゴメン!って、メールが届いてた。




「ーーーさて、どうしようね」


一緒に食べる予定で用意してた夕飯。
今夜はアサリと葱のパスタ。
合いそうな白ワインも準備して待ってたんだけど、仕方ないよね。
具になるアサリを半分取り分けて、まず一人分作って食べた。
ワインも、一杯だけ。
イノちゃんの分は帰ったら作ってあげよう。



「何時くらいになるのかなぁ」


今は21時半頃。
今日は都内のスタジオにいるイノちゃん。
それほど遠くはないから、流石に日付が変わる事はないと思うけど…
レコーディングに嵌り込んでたら…わかんないか。


「あーあ…」


無意識に溢れてしまったため息。
ーーーため息に気付いて、思わず苦笑い。
仕事だから仕方ないって、さっき自分で納得したと思ってたのに。
でも、せっかくのオフ前日の夜。
イノちゃんとのんびり過ごしたいって思ってたもの事実。
コロンと横になったソファーで、密かにがっかりしたのはイノちゃんには内緒。



「洋画劇場も観たかったし。ソファーの隣同士で、オヤツ食べながらくっついたり…いちゃいちゃ…とか、」


したかったなぁ…。
そう呟いて、恥ずかしくなってしまった。
だって翌日休みだもの。
時間も気にせず、イノちゃんと夜を過ごせた筈なんだから。


「…えっち、とか」


久しぶりに思う存分触れ合えると思ってた。
お互いスケジュールの兼ね合いで、早寝しなきゃとか、帰り遅いとか、続いたから。
だからちょっと、残念。


「ーーーど、しよ」


残念なのは勿論。
でも、期待してた身体と心は落ち着かない。
僅かな罪悪感…みたいな気持ちで、いつの間にか手が伸びていた。




「ーーーん、」


いけないと思いつつ、服の上から自分の身体に触れる。
いつもイノちゃんがしてくれるみたいに、順々に。
自分の肩を抱いて、そのまま腕を滑らせて。
服の上から胸を弄る。
もう硬くなってる小さな突起を、背徳感と戦いながら指先で摘んで転がした。
びりっ…とした、電流が走るような快感。

罪悪感も背徳感も、どっかにいっちゃった。



「んっ…んぁ、」


くちゅっ…くち、


「ぁんっ…んん、」



片手は胸を、片手は下に伸びて下着の中で自身に触れた。
既に濡れて、小さな水音をたてる…そこ。
ひとりでシてるのに、目を瞑れば彼と抱き合ってるみたいに気持ちいいから不思議だ。


ちゅっ…くちゅっ…


「あっ…あん、ぁ、ぁっ…」


没頭して。
だから俺は気づけなかった。

ーーー帰ってきてたって。
イノちゃんが。






「ーーーっ…あ、ゃあっ…」


クルンとソファーの上で反転させられて、ビックリする間も無くイノちゃんが奥まで挿入ってきた。


「…ちょっ…待っ…てぇ」

「ーーー隆っ…エロ過ぎ、」

「イノちゃっ…ぁん」



ぐいぐいと手加減なしに突いてくるイノちゃん。
片手が後ろから滑ってきて、俺の胸を直に弄る。
そしてもう片手は俺自身を扱くから、強過ぎる快感で声が止まらない。



「やだ…ぁ、」

「ひとりでシてたくせに」

「だっ…て、ーーーんっ…」

「ーーーっ…一緒の方が…気持ちイイっ…だろ⁇」

「ぁっ…ぅっ…ん」


「ーーー隆一…っ…」



二人一緒に達する直前に。
待たせてゴメンなって、イノちゃんはぎゅっと抱きしめてくれた。









「ーーーこんな出迎えしてもらえるなんて思ってなかったよ」

「っ…!」

「俺ホントに幸せ者」

「もぅ!イノちゃん」

「ーーーひとりで…の隆。マジで可愛かった」

「イノっ‼」



ベシッ!



「イテ!」

「恥ずかしい事言う罰です」

「ーーーいいじゃん。また隆がひとりでシてるとこ見たいなぁ」

「ばかっ!」

「ダメ?」

「ばかばかばかっ…‼」








end







05/29の日記

23:24
LUNA SEA
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俺の部屋のいちばん目に付く壁面に、埋め込まれるように据え付けられた大きな棚がある。
そこに綺麗に並ぶのは…


メンバー達の作品の数々。




「…増えたなぁ」


クリーナーを丁寧にかけている最中に。
ふと、その棚の前で足が止まった。
いつも見慣れている風景。
…自分で設置した棚に自分で並べたんだから。見慣れるも何もないんだけど…。

でも今日はね?
特別な日だもん。

その壁面の棚を占領するのは、メンバー達が心血注いで生み出してきた作品。
音源はもちろん、映像作品や書籍…色々。
サイズも通常のアルバムサイズから、懐かしいシングルサイズのもの。
LP入りの大きな版型や…ホントに入り乱れてるから、棚板の間隔調整にはちょっと工夫もした。
ここにはLUNASEAのものは置いていない。(LUNASEAは別の所に)
自分のものも含めて、全てメンバー皆んなのソロワークのものだ。



「ーーーふふっ」


ソロを並行して始めてから今までの間に、みるみる内に棚は埋まっていって。
それがメンバー皆んなの創作意欲の結晶だと思うと…嬉しくなるんだ。




「…でも、どうしよう…」



実は残りの収納スペースはあとちょっと。
もっと増えたら、棚を追加しないと置けなくなっちゃう。

ーーー倉庫とかに置けばいいんじゃない?って思うかもしれないけど。
それはしない。
全部、いつも目のつく所に置いておきたい。
手を伸ばせば届く所にいてほしい。
だって、

メンバー達が作ったものだもの。
仲間とか、家族とか、親友とか。
そうゆうのを飛び越えた絆で結ばれた、大切過ぎるメンバー達のものだから。



「ーーーまぁ、いっか」


棚は増やせばいいだけの事。
そしてそれも、すぐにいっぱいになっていくんだろう。










「りゅーう」




ここにいたんだ?

そう言って、背後からぎゅっと抱きしめてくれたのはイノちゃん。
そう、イノちゃん遊びに来てくれる予定だったんだ。

ぎゅっとしてくれた途端に、ふんわりとイノちゃんのコロンの香り。



「いらっしゃい、イノちゃん」

「うん、隆ちゃんお待たせ」


ちゅっ。
…って、唇にキス。
急に恥ずかしくなって、でも嬉しくて。
俺も自分から、イノちゃんにぎゅうっ…と抱きついた。




「何してたんだ?掃除?」

「うん!ーーーあのね、皆んなの作品増えたなぁ…って、感慨深くなっちゃって」

「ああー、そうだな。増えたよねぇ」

「そう言うイノちゃんの、最近がんがん増えてるじゃん」

「ハハッ、」

「創作意欲の塊!」

「えっと…また増えるから」

「え…。もう⁇すごい!」

「楽しみにしててな」

「うん!ーーーそっか。これは本気で棚を増やさないと」

「いつか部屋が埋まるかもな」

「…でも。それが嬉しい。ソロやって、ユニットやって、色んな人たちと音楽やって。ーーーそしてルナシーに帰って、また曲を作ってって」

「ーーーいい循環だよな。外に出るから、ルナシーが恋しく思えるし」

「ふふふっ…ね?」





歌いたい。
ソロでも、ユニットでも。それから、ルナシーで。
まだまだ足りないもん。
歌いたい歌は、数え切れない。
まだ見ぬ曲たちに、早く会いたいと思う。




「また作ってくれるんでしょ?イノちゃん」

「ん?」

「ーーー俺の為に、新しい曲」

「もちろん!」

「うんっ」

「誰よりも俺の曲を歌って欲しいのは、隆だからな?」

「ーーーん、」



俺が歌を紡ぐ唇は、またイノちゃんに塞がれてしまった。
でも、その愛おしい気持ちも歌の糧になるって知ってるから。
俺も夢中で、イノちゃん応えた。




ここに立てば、俺は元気になれる。
皆んなの音楽に、包まれているように思えるから。











Happy anniversary……LUNA SEA !!!!!







05/30の日記

22:57
二人の隙間で 育ってゆく物は 温 も り に 満 ち た 魂 だ っ た
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「りゅーはさぁ…」

「ん?スギちゃん、なぁに?」

「(…その小首を傾げる仕草…。ホントに小悪魔だよね)…あのさ、隆はイノランの恋人じゃん?」

「え、?ーーー…もぅ、何?いきなり…」

「(…その唇を尖らせる仕草…以下同文…) 隆はどんくらいイノランの事が好きなのかなって。ーーーね、どんくらい?」

「…そんなの…。いきなり言われても上手く言えないよ」

「わかんない…って。ーーーじゃあ、規模でさ。ーーー両手広げたくらいとか」

「ええ⁇もっとだよ」

「じゃあ、海の広さ?空の広さ?」

「もっと!もっともっとだよ」

「すっげえ、イノラン愛されてていいなぁ。ーーーじゃあ、宇宙の広さ!異空間の広さ!」

「…あの、逆にそれってどれくらいなの…?

「測れないくらい。だってこうしてる間にも宇宙空間はじわじわ広がってんだぜ?隆もそうじゃないの?イノへの愛は日々進化してーーーって感じでしょ?」

「う…ん。そ…だね」

「やっぱね。ーーーホント、イノランいいなぁ。こんな可愛い隆の愛情独り占め」

「ーーーも~…照れるよ」

「測れないくらいの隆の愛かぁ…。」

「あ…。でもね」

「ん?」

「イノちゃんすきー‼って大声で言いたい時もあるけど…。でもホントはね」

「うん」

「内緒話みたいに、そっと伝えるのがいいかなぁって、最近は思うよ」

「!」

「イノちゃんにしか聞こえない声でね?ーーー規模も…。よくわかんないけど、広すぎるよりは、もっと…こう」

「ーーー」

「冬なんか寒い時に、イノちゃんのコートのポケットに手を繋いで入れてくれる事があるんだけど。ーーーそのポケットの広さくらいのがいいかなぁ」

「ーーー」

「狭いとこで、二人で、ぎゅって。ーーーうん、俺はそのくらいがいいかな。広すぎたら迷子になっちゃう。イノちゃんと離れるのは嫌だもん」

「ーーーーーー……はぁ…。」

「ーーーって、でも、なんでスギちゃんこんな事聞くの?」

「……別にぃ…?」



あんまりに隆とイノが仲良いから。
ちょっとからかってやるつもりだったのにさ。

ーーーくそ。

逆に見せつけられたじゃねぇか。


二人の愛。





end







07/20の日記

23:54
葉山君が大好き!
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「俺、ここからここまでの期間はツアーがあるから…いい?」

「ええ⁇それじゃ、俺のライブと重なっちゃうよ。ーーーこの日一日ずらせない?」

「ーーーうぅ、ん…。会場のスケジュールもあるしな…。ーーーでも、この日がなんとかなれば全部解決?」

「うんうん!ーーーね?」



「はぁ…そうですねぇ」



ーーー何やらイノ隆がいつもみたく賑やかだ。
テーブルでカレンダーを囲んでわいわいきゃわきゃわ騒いでる。ーーーどうやらライブ?ツアーの日程について?なのかな?そしてその側で腕組みして、いつもの穏やかな微笑みを浮かべているのは葉山君だ。





「なんだよ。オマエらどうしたの?」

「あ、Jさん」

「J君、おはよー!」

「よぉ、」



ここには渦巻きな奴らが揃ってる。
三者三様の挨拶がらしくて、俺はつい可笑しくて笑っちまった。



「なに笑ってんだよ」

「いやいや何でもねぇって。ーーーそれより何騒いでんだよ?ライブの事とかか?」

「そう!あのね?俺とイノちゃんのソロの…ーーー」

「ーーーオマエらの?」

「今回俺も隆ちゃんもステージにピアノが乗るからさ。そのピアニストの…」

「取り合い!」

「…まぁ、言葉良くないけど…取り合い」

「ははは…。そんなところです」

「葉山っちとツアー回るために」

「俺のライブでもピアノ弾いて欲しいから!」


「「日程調整‼」」



ーーーなるほど…。




「嬉しいです。僕もお二人とステージに立つの大好きですから」

「俺も大好き!」

「俺も好きだよ」

「そんな…隆一さんとイノランさんにそんな事言われるなんて…光栄です」


三人顔を合わせてにこにこにこにこ。
ーーーー仲良いよなぁ…こいつら。
だからこそ、葉山君が混じったこいつらの音楽ってのは、ここにしかない心地よさがあるんだな。



「葉山君はひとりだから」




「力尽くで引っ張り合うなよ?」





end



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