round and round (みっつめの連載)
忘れ去られた灯台は咆える。
強い夜風にあたる時、嵐の時に。
ウォ…オ……ォ……ン…
……オォ…ゥオ…ォ……………
暗い海の向こうから吹き付ける風を真っ向から受けて。
何ものにも遮られずに灯台の肌をすり抜ける風の音は。
寂しげな深海に棲むと言われる、古の竜が永すぎる時を絶望するように。
オ………ォ……ォォ…
今は灯台の下に刻まれる風使いの亡霊達は。
ーーー今もここへ通い続ける隆一も呼んでいるのだろうか?
ーーー自らの決めた道を選ぼとする隆一を叱咤するのか?
おいで…
おいで…
お前も…おいで…
お前も我らと同じ風の者
その一生を空に捧ぐ者
選ぶことなどできぬ
空と共に
空と共に
仲間の名が刻まれた
この灯台を守れ
「ーーー選ぶ事はできない?」
.
33/33ページ