カナリヤ







『イノちゃん あのね?』

『俺が声を失くしたのって もしかして… なんだけどね』

「…えっ?」

『声を失くす 前の 晩  俺は こんな事を 考えながら 眠ったの』

「ーーー」

『心だけじゃ無くて 身体だけじゃ無くて 歌声も 繋がりたい

イノちゃんと

一緒にいたい
重なり合いたい
だから

俺の歌声ごと 全部あげるよ』

「ーーーーー」

『イノちゃんになら いいよ …って』




持っていたペンを、ノートの上にコロンと置いて。隆は、俺を見上げる。



「ーーー」


隆の視線は、揺れながらも。
きっとこれが原因に違いないという、そんな確信に満ちた強さも感じる。
ーーーけど。

一緒にいたいと、歌声も一緒にと。
願うだけで声を失くすなんて…そんな事があるだろうか?

現実に考えたら有り得ない。
有り得ないけれど…俺は知っているから。
隆の、歌に対する真摯さ。誠実さ、情熱。人生全てを賭ける、覚悟。



「ーーー隆」


ーーーどうしよう。
胸が熱い。痛いくらいに、刺すみたいに熱い。嬉しいのと、苦しいのと、切ないのと…ぐちゃぐちゃだ。
俺は、どんな顔をすればいいんだろう。
隆を形作る上で何より重要なものをあげると言われたこんな時、どんな言葉を隆に返せばいいんだ。

ーーー俺の歌声をどうぞ。
ーーーどうもありがとう。
…なんて。
そんな簡単な事じゃない。
違うんだ。



「ーーーっ…隆」


もどかしいけど、言葉が見つからない。
だから咄嗟に抱きしめた隆の身体。


「ーーー…」


今この身体から〝声〟が抜け落ちているならば。

ーーー歌で。
今夜、心を込めた歌を隆に。





「隆。聞いて?」

〝え?〟

「こないだ…海に行った時に、俺が言った事覚えてるか?」

〝ーーー〟

「もう一度、隆が歌えるようにしてみせるって」

〝!〟

「それが誕生日プレゼントって。ーーー覚えてる?」

〝っ…うん〟

「うん」



隆が顔をあげる。
じっと逸らさない瞳を俺に向ける。
だから俺も逸らさない。



「隆」

〝ーーーうん?〟

「俺さ、このアコースティックライブでは、いつもカバー曲歌うでしょ?」

〝うん〟

「今回のツアーもやるつもりで色々準備してきたんだけど。…あのね」

〝ーーー〟

「今回歌うカバー曲は、隆に捧げたい。俺の作った曲ではないけど、今の隆に伝えたい想いが込められてる曲だ」

〝ーーー〟

「今日の隆の誕生日を、ただの誕生日で終わらせたくない。そうじゃなくて、もっと深い意味の。これから先も一緒に…って意味を込めたい」

〝ーーーイノ…〟

「だから、聞いててな?隆の奥底から声が…生まれたての隆の声が込み上げてくるように、めちゃくちゃ気持ち込めて歌うから」

〝っ…〟

「ーーーそれに俺、もういい加減…限界だ」

〝…?〟

「隆が目の前にいるのに、隆の声が聞けねえの」




そう。
隆が辛い思いしてるのも堪えるけど。
それと同じくらい、キツい。
隆がいるのに、隆の声が聞けないって。

だから早く。
取り戻そうな?…声。












◇隆




ステージ袖に移動してください。

スタッフがイノちゃんを呼びに来た。
時計を見たらいつの間にか間も無く開演時間。
ーーー話し込んでたもんね。

イノちゃんはスタッフに返事をすると、俺の方に向き直って微笑んだ。



「ステージから、手振るからな?」

〝ふふっ、よそ見ばっかりしてちゃダメだよ?ちゃんと皆んなの方見て歌ってね〟

「隆の方見るのは全然よそ見じゃないだろ?」

〝ーーー〟

「好きな奴を見てるだけだ」



ーーーーーほら。
そうやってイノちゃんは、いつもだ。

俺に見せてくれるどんな片鱗も。
優しくて、泣きそうになる。






ステージ袖に待機するスタッフ達。
その少し離れたところから、俺は見ていた。

照明が変わって、始まりの曲が流れると。
イノランバンドの登場。
女性二人と、葉山っちと。
それから、ちょっと遅れて。
イノちゃん。
わぁっ…と、歓声に包まれるステージ。

もうすでに、あったかい空気が広がる。
ゆったりした空間。
ステージと客席と。
ここのライブは、ここにしか無い景色が生まれるね。



一曲目、二曲目…
時折入り込むイノちゃんの語り。
…イノラン・ワールド全開だ。
急にふられる葉山っちも、そわそわしながらも楽しそう。
俺も思わず、笑いが溢れた。



「ーーー…」



いいなぁ…
やっぱり。
こんな空間。
音楽と、歌と。
それが好きな皆んなと、それからイノちゃん。

歌うイノちゃんが、眩しい。




「ーーーっ、」



こんな空間に身を浸していたら、なんだか上手くいきそうって思えて。

〝あー〟って、ただそれだけでもいい。
言葉にならなくても、声が出せたらと。
喉を開いて、発声の姿勢をーーー…



「ーーーーーっ……」



ーーーーーーーーーーーああ…
ーーーだめだ。
〝あ〟の、ひと言さえ声にならない。


発声の感覚がわからなくなった訳じゃない。
ただただ本当に、声だけがどこかに行ってしまったみたいに。

声にならない。
声が出ない。
もどかしい。



その時だ。
曲と曲の間。
ステージに立つイノちゃんが、客席に向かって。…そしてきっと、俺に向けて。
ゆっくり、穏やかに語る。
もどかしさの塊の、今の俺の気持ちも。
スッと落ち着いて、彼の声に聞き入る。




「このツアーでは、いつもカバー曲を用意するんですが。…今回も、練習して来ました」



ね?って、イノちゃんはバンドメンバーに笑顔で目配せ。
頷く返事を受けて、イノちゃんは再び語る。



「きっと皆んなにもいると思うんだ。自分にとって大事だなってひと。ひとでも音楽でも好きな事でもいいんだけど。そんな〝大事〟と、これからも一緒に。ずっと一緒に。ーーーそんな想いを込めてーーー歌います」

「ーーーーーーー……」



一瞬。
ステージ袖に視線を飛ばしたイノちゃんと。
フッと、目が合った。


ーーー聞いててな?


そんな声が聞こえた気がして。
小さく頷いた。

優しい微笑みを残して、イノちゃんは前を向いて。
そして。




「それでは、聞いてください」




「カナリヤ」










カナリヤ。


憂いを帯びた、美しい曲だと思う。
切ないけれど。
覚悟を決めた、強い曲だと思う。



イノラン・バンドでアレンジされたその曲は。
生音ならではの身体を通り抜ける心地良さと。
イノちゃんの。
歌声。


「ーーー…」


そう言えば、イノちゃんが前に言ってた。



ーーー俺の歌の基本は、隆なんだ。これは間違いなく言える。ずっと一緒にいて、声を浴びてきて。俺の細胞いっこいっこになってるんだと思う。



ーーー歌う事で迷った時、悩んだ時、最高!って思った時。歌ってて、色んな時さ。ーーーなんかね、歌声と一緒に星が…



ーーー星屑みたいな、細かい光がさ。なんかこう、きらきらきらっ…って、歌と一緒に出てくる気がする。



ーーーそのきらきらが、俺が隆にもらった歌に対する…情熱とか。…愛情とか。そんなものの表れなんだと思うんだ。



ーーーそれがあるから俺は歌える。歌う…原動力になるんだよ?




「っ…ーーー」




イノちゃんの、声が聞こえる。



ーーー隆。隆?



曲に乗せて、イノちゃんの声が聞こえる。



ーーーいいよ、隆。

ーーー隆がそこにいてくれたら。最後は、歌声も、音楽も。
何もかもが失くなったとしても。

ーーー最後まで、一緒にいるよ。

ーーーでも。

ーーーでもさ?隆。

ーーーそれでも俺は、お前の歌声が聞きたい。

ーーーお前の声が聞きたい。

ーーー足掻けるぎりぎり最後まで。

ーーー俺も、お前の歌声と重なっていたい。

ーーーお前の歌声に、寄り添う音でありたい。

ーーー今まで隆がくれた、たくさんのもの。

ーーー今度は俺がお前にあげるよ。

ーーー歌に乗せて。

ーーー歌声に込めて。


ーーーーーーーーー……隆…






「っ…ぁ…ーーーーー」




イノちゃんの歌声と一緒に溢れ出るのは…ーーー星屑みたいな…光。
それは会場中にふわっ…と広がって。
何とも言えない、多幸感が満ちて。

俺を包んで。
声が出なくなった時から、ずっと空回りしていたみたいな。俺の喉の下辺りが。
じん…と、熱くなってきて。

歌う前の、どきどきする感じが。
今、一気に込み上げてきて。




「ーーー…っ…ぁ…あ」



声が…ーーー




「ーーーーーー…イノちゃんっ…」





最愛のひとの名前を呟いたのが、間違いなく自分の声だと認識すると。

安堵と、それから。
彼の歌声に心から震えてる自分に気が付いて。
歌声は。
一方的にあげるだけのものじゃ無いって。
与えて、与えられて。
重なって。
何物にも変え難い音楽になるんだって。
…そんなの、とっくに知ってると思ってたのに。

初めて知ったみたいに感動したよ?
ーーーイノちゃん。



「ありがとう、イノちゃん」



潤みだした視界は、それでも輝く彼の姿を、ゆらゆらと捉えていた。














◇INO





「隆ちゃん!」



挨拶を終えて、ステージ袖に引っ込んだ俺。
支えてくれたメンバーや会場スタッフ達に感謝を伝えて。
でも俺は、気持ちが急かしてるのを自覚してた。





「隆!」






控え室でお待ちですよ。という、同行スタッフの言葉に。
走っちゃダメな細い通路を、堪えて堪えて、急ぎ足で進んだ。


控え室のドアを開けるのと同時に、呼んだ名前に。
その彼はびっくりした顔を俺の方に向けた。

ごめん!いきなり。って謝る余裕も無い。
それくらい、早く確かめたくて。
だってあの時、気が付いたんだ。




「隆っ…ーーー声…‼」

「っ…ーーー」

「ーーーーーりゅう…っ」



隆はまだ何も言わない。
ただじっと、息切らす俺を見つめているけれど。

気付いたんだよ。
わかったんだ。
さっきのステージで。
袖から俺を見守る、お前を見て。




「ーーー声…戻っただろ?」



「ーーーーーうん」



こっくりと頷いた隆は。
目を見開く俺に微笑んで。
夢じゃないよ?って、教えてくれた。




「さっき、イノちゃんのステージを見て。ーーー戻ったよ」

「ーーーっ…りゅ…」

「イノちゃんのおかげ。本当に…ありがとう」

「っ…そん…な!…ーーーいいんだよ‼礼なんてっ…」

「イノちゃん…」

「隆の声が…またこうして聞けるならっ…‼ーーーもう…いいよ」

「ーーーイノ…」

「ーーーもう何も…いらねえよ」














……………


今日は都内でのライブだったから、本当ならマネージャーの車で家に帰る予定だった。
…けど。

予定変更って。
明日もこの会場だから、今夜はこの近くのホテルに泊まるから。
そんな事をマネージャーに伝えたのは、当日リハが終わった直後だった。

マネージャーは急な俺の申し出にも慌てる事無く、じゃあ予約しますね。って、早速スマホを開くけれど。



「予約はもう俺がした」

「ーーーえ?」

「今夜の予定の変更は、完全に俺の個人的な事だから。手、煩わせる訳にいかねえし。…俺がセッティングもしたかったしさ」

「ーーー」

「明日もちゃんと遅刻しないように会場行くからさ。だから、今夜はここで解散。…いい?」

「ーーー良いも悪いも…もう予約済みでよく言いますよ!いまさら変更する気も無いくせに」

「ははっ…バレた?」

「何年あなたのマネージャーやってると思ってんの」

「いつもありがとうございます‼」

「ーーーはいはい。じゃー、明日。ほんとに遅刻しない様に気を付けてもらって」

「もちろん!了解ッス‼」

「わかりました。それじゃあ、また明日に」

「ん!初日おつかれ!」

「イノランさんも、お疲れ様です!」



顔を見合わせて、手を振って。
こんな突発の事にも、深く詮索せずに、良いよって言ってくれるマネージャーに、感謝だ。



さて。
なんで俺がこんな事をしたかって。

それはさ?







「さ、隆ちゃん行くよ」

「え、あの…どこ行くの?」



色々あったから、すっかり忘れてた?
今日はなんの日?






「あ…」

「そう。隆の誕生日だもんな?

「!」



「今夜は一緒にいよう」











「夜景綺麗だね」

「ん?ーーーああ」






ホテルの部屋の窓辺に立って。
ペッタリと、夜景に夢中な隆。

そりゃ…とんでもなく綺麗な景色だから。隆の気持ちもわかるけどさ?




「あ!ねえ、イノちゃん。あそこ!イルミネーションがずっと続いてるよ?」

「うん」

「あそこ!ちょっとだけ見えるの。ライブ会場じゃない⁇」

「…ああ」

「うわぁ!ねえねえイノちゃん!…ーーーって…あ!!⁉」




ーーーうん。
そろそろこっちに集中しないか?

誕生日の夜。
隆が喜ぶなら何よりなんだけど。
でも今夜の誕生日は、いつもの誕生日とはちょっと違くて。
色んな事があった、特別な誕生日だから。

特別な場所で。
特別な夜を。
一緒に過ごしてあげたいんだ。




窓辺の恋人を。
ひとまず後ろから、ぎゅっと抱きしめる。
途端にビクリと動く、隆が可愛い。

明日はまたライブがあるけど。
でも、大変な、この数日間だったから。
胸に抱くこの存在が、どれだけ大事か知れたから。
ーーー今夜はもう、我慢はしない。





後ろから、隆の首筋に顔を埋める。
隆の匂い。体温が伝わって、早々に身体が熱くなる。
隆もきっとそうなんだ。
肩を揺らして、呼吸も少しづつ不規則になってくる。

でもまだ話す余裕があるようで。
掠れだした声で、隆が言った。




「っ…いつわかったの?」

「…ん?」

「俺の声が…戻ったっ…て」

「ーーーーーそれはさ」

「…っん?」

「見ればわかる」

「ーーー?」

「ステージ袖から見ててくれた隆が、カバー曲を境に…安心したカオになったって気付いた」

「え?」

「だからわかった。ああ、きっと声が戻ったんだ。だからあんなに安心し切ったカオしてんだ。ってさ」

「ーーーそっか」

「ーーーーー本当によかった」

「ん?」

「隆の声。戻って」

「うんっ…」

「ーーーうん」



隆の髪に唇を寄せる。



「隆」

「ーーーうん…?」


「隆の声。…聞きたい」





当たり前にあったものが失くなって。
ずっとずっと、渇望していた。

隆の声が、聞きたくて。

















「ーーーっ…あ…」

「隆…」

「ん…っ…んーーー」

「もっと、声…聞かせてよ」




「あ…んぁっ…!」



隆と繋がったところを、何度も抜き挿しして。隆自身は緩急をつけて扱いてあげる。そして隆が達しそうになる寸前で、動きを緩める。…を、繰り返してる。
我ながら意地悪な奴だと自覚しつつも、縋り付く隆が可愛くて仕方なくて。
ずっと聞きたかった声も、もっと聞きたくて。
心の中でごめんね…と謝りながらも、何度も隆を抱いた。



「隆…りゅうっ…」

「あっ…ぁあっ…あ…いの…」

「もっ…と、呼んでよ」

「あん…っあ!イノちゃ…ぁ…」




俺の背に回した隆の手の爪が、無意識にぎゅっと食い込む。そのままぎりぎりと爪を滑らせるから、多分俺の背中は傷痕がいっぱいだ。
でも、それもいい。
隆を愛した証だから。


ぐちゅぐちゅと、濡れた音が響く。
隆も俺も、呼吸も荒くて。
もうそろそろ限界だ。



「隆…こっち見て?」

「んっ…んん…ゃ」

「キスしよう?」

「!…ぅんっ」



快感の涙で濡れた隆の目元を拭ってやりながら、そのまま頬を包んで、間近で見つめ合う。
隆は一瞬、ぽかんとした顔をして、瞬きをしたけれど。すぐに花が咲くような微笑みを見せてくれた。
ーーーほんとに…。
セックスの最中のそんな微笑みは反則だ。
愛おしい気持ちがおさまらなくなる。
重ねた唇は、何度もお互いを求め合う。



「っ…あ…もぉ…イっちゃ…」

「ん、俺もっ…もうーーー」

「ぁんっ…ん、ゃあっあーーーーー」

「っ…ーーーーーりゅっ…」




同時に放った熱は、それでもまだ足りなくて。少しも離れるのが惜しくて、腕を絡ませて、夢中で唇を重ねた。


隆と交わったまま、隆の誕生日は過ぎて行った。










◇隆



夜中に、フッと目が覚めた。

一瞬、ここは?って思ったけど。
隣にいる彼の存在に気が付いて、先程までしていた激しい情事を思い出す。



(…えっち、めちゃくちゃしたんだ…)



当然、裸のままの二人に。
急に恥ずかしさが込み上げてきた。
いまさら照れても仕方ないんだけど…。

眠るイノちゃんのカオを、ぼんやり眺めた。



(ーーーーー)



今年の誕生日は、本当に特別だ。
イノちゃんが、大切な事に気づかせてくれた。

この誕生日のタイミングで声を見失ったのも。
もしかしたら、もっと大事にしなさいって事なのかもしれない。
今より更に、色んな事を…。






「…隆?」

「ん?」

「どした?眠れない?」

「っ…ううん。大丈夫だよ」

「ん」



ーーーそうだ。
この大好きなひとの事も。



「イノちゃん…」

「ん?」

「ーーー」

「?…ーーーどした?」

「…うん、あのね」

「うん?」

「ーーー大好きだよ?」

「…隆」

「ずっとだよ」




こうして面と向かってこんな事を言うのは、やっぱり照れくさいけれど。
改めて言いたかった事に変わりはないから、勇気を出した。

俺の言葉を聞いたイノちゃんの目が、優しく俺を見る。
弓形に微笑んだ唇が、ゆっくりと俺に迫る。



「…ぁ」

「なんだよ。何か俺がバースデープレゼント貰ったみたいじゃん」

「!」

「ーーー俺も言ってあげなきゃな?」

「え…?」




ギシ。


真上からイノちゃんが被さって見下ろしてる。
暗がりでもわかる。
何度見たって飽きる事ない、大好きなイノちゃんの表情で。





「隆?」

「ーーーうん」

「ずっと一緒に行こうな?」

「っ…」

「最後までさ」





日付変わっちゃったけど、誕生日おめでとう。

キスと共に落ちてきた、バースデーメッセージ。
目を閉じると、ステージでイノちゃんが歌ってくれた、あの曲が。

まだ知らないその先へと、連れ出した。
一緒なら怖くないと。
手を繋いだ、俺たちを。







end




happy birthday …ryu




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