短編集・2











真冬の晴れ日。
昼下がり。

空は高く青く透き通って。
テラスから見える周りの木や葉っぱはカラカラはらりと時折落ちる。
冬らしい赤い実に丸いすずめが啄ばんでいるのを見えるとつい微笑みが溢れる。

…外に出ると風は冷たいんだけどね。










《君と過ごす日》











俺はリビングテーブルに淹れたてコーヒーを置いてのんびりタイム。
外の景色を眺めながら、なんとも言えないリラックス感。
ああ…いいなぁ、この感じ。
音楽でも聴こうかな。
それともこの間買っといた本を読もうか。
それとも…それとも…
遊びに来ている恋人もそろそろ昼寝から起きるだろうから一緒に遅いランチでもどうだ。
(午前中俺んちに到着早々、乾燥機でふんわりさせた布団を目敏く見つけたお姫様…もとい…隆は。あったかそう!気持ち良さそう!お布団いいにおーい…なんて言いながらモソモソ布団に懐いてそのまま入眠…)

遊びに来てくれたらあれやって、これやって…なんて俺の脳内妄想…予定は見事に掻き消え。
しかし起こすのは可哀想で、結局は突如わいた空き時間を持て余す俺。





「…隆には勝てないよな……」



でももうそろそろ起きてくるかな…って。
俺はコーヒーもそのままにソファーから立ち上がった。
…ら。




「ーーーっ…⁉︎‼︎⁈」



な…何故。
寝ているはずの隆がテラスの外にいるんだ…。



「いつ起きたんだ⁈ってか、いつの間にテラスに⁇」



寒かろうに上着も羽織らず薄着で!あのばか!
しかも何してんだ⁈手にジョウロ持って鉢植えに水やってる⁈‼︎





ガラッ‼︎





「隆‼︎こら、おまえ!」

「え?ぁ、イノちゃーん!」

「イノちゃーん、じゃない!何やってんだそんな薄着で!寒い外で!つかいつ起きたんだお前!」

「…イノちゃん質問責め…。起きたのはちょっと前だよ。起きたら喉が渇いて何か飲もうと思って…。そしたら窓の外の植物がカラカラで鉢植えにもお水あげなきゃって思って…」

「ーーーっ…に、しても!」

「起きてすぐにイノちゃんに声掛けなかったのはごめんなさいーーーでもイノちゃんと一緒に植えたハーブの鉢植えが気になって…。ぁ、あと風でテラスのサンダルが片一方…」

「サンダル…?ーーーーーあっ!」



見ると隆はこともあろうに裸足。
テラスのタイルは冷えひえだろうに裸足!



「片方拾いに行こうと思ったんだけど、玄関から別な靴持ってくるの面倒で…」


ちょこっとだし裸足で拾いに行けばいいやって。
えへへ…って、はにかむ隆。

ああああぁああぁ…もぅ‼︎







「ーーーっ…ぁ」




ツカツカと俺はテラスに出て(俺は室内スリッパ!もういい!)ジョウロ片手に裸足で薄着の隆をひょいっと抱き上げる。
反動でジョウロの水が少し溢れたけど大したことはない。



「…っ……イノちゃ、」

「部屋入るぞ」



隆は目を丸くしてたけど、もしかしたら俺が怒ったと思ったのかも。
きゅっと唇を噛んで、俯いて。
銀色のジョウロを両手でぎゅっと握りしめて黙ってしまった。










きしっ…




そっとおろしたのはさっきまで俺がいたリビングのソファー。
ジョウロは隆の手から抜き取ってテーブルに置く。
無防備な両脚は白い足首まで捲れて、足先に触れるとやっぱりひんやり冷たい。




「ーーー冷えてる。…待ってな、」

「っ…イノ、」




隆の言葉を聞き終わる前に俺は立ち上がって洗面所へ向かう。
熱い湯を出してタオルを絞る。
そしてほかほか湯気の立つそれを持ってもう一度隆の元へ。

ソファーの上で隆は大人しく待ってた。
ーーーちょっとだけシュン…としたように見えるのは気のせいじゃないだろう。
隆の座るソファーの前で跪いて、まず片足を持ち上げて湯で絞ったタオルでそっと包んだ。




「…ぁ」

「あったかいだろ?ーーーあんなとこ裸足で歩いたりするから」

「ーーーぅ…うん」

「ほら、こっちの足も」

「っ…いいよ、自分でできる」

「だめ」

「ぇ?」

「ーーー待ってたんだから」

「っ…」

「隆が遊びに来てくれて、目が覚めるまで」

「ーーーイノちゃん…」

「早く隆を抱きしめたくて、待ってたんだからな?」




もう片方も足先を温めて、済まなそうにタオルを取ろうとする隆の手を逆に掴んで。
もう片手で腰を引き寄せて。
やっと今日、好きなひとを抱きしめた。




















「ーーー隆が来てくれたらしたかったこと…」

「…俺と?」

「早々に昼寝しちまうから…」

「ぅ…。ごめ…」

「いいよ。隆に寝てもらいたくてふかふかにしといたベッドだ。だからいいよ」

「ーーーありがとう、」

「ん。…だからさ、ここから仕切り直しで」

「!」

「ーーーーーしていいか?」






していいか?と問うたものの、隆はすでに俺に脱がされて、ソファーに沈められて恥ずかしげに顔を逸らしてる。
俺はきっとすげぇ微笑んで(だって可愛くて)隆の顎をそっと掴んで、視線を合わせて。
もう待てなくて、最初から深く唇を重ねた。





ちゅっ…ちゅ、くちゅっ…



「…んっ…ん、ふっ…」

「ーーーっ…隆…」

「ふぁっ…ぁ…ん、んっ…ん」



ぴちゃっ、


隙間から隆の吐息と濡れた音がひっきりなしに溢れる。
俺の襟足で絡む隆の指先が震えてる。
キスだけでこんな…気持ちいい。



「ーーーーーっ…ぁ…はぁ」

「隆、」

「…ん、」



お前は照れるだろうけど、思った事は素直に。
何度だって、伝えるのがいい。





「ーーーすげ…可愛い」

「ーーーーっ…ゃ、」

「なんで?」

「…っ…恥……かし…よ」

「でも事実だし」

「…ィノ」

「ーーー隆可愛い、すきだよ」




ちゅぷっ



「…ぁんっ…」



シャツの隙間から覗く胸を弄る。
片方は舌先で転がしながら、もう片方は摘んだり引っ掻いたりして愛撫する。
ここが弱いって知っているから、ついつい攻め立ててしまう。



「ーーーっ…ぁ…ゃ、んっ…ん」

「もっと」



ぴちゅっ、ちゅくっ…ちゅ、



「ぁんっ…ひぁっ…ゃ…やぁっ…」


口内で乳首をちゅうっと吸うと、隆は背をのけ反らせて喘ぐ。
俺に弄られ過ぎたそこはいやらしく赤く熟れて俺を誘う。
でも涙を溢して見つめてくる隆を見ると込み上げてくる庇護欲。
ちょっと可哀想かな、とか思ってしまうから、俺はそっとキスをしてそこから手を離す。




「ーーー…ふっ…ぅ…」

「ごめん、可愛くてつい」

「っ…イノちゃ、」

「ん、じゃあ今度は一緒に」

「ぅん」

「気持ちよくなろうな」











ちゅっ…くちっ…



「ーーー…ん、はぁ…」

「りゅ…っ…」

「…んっ、ーーーぁ…そこ…」

「ーーー気持ちいい?」

「ぅんっ…んっ…ぁん…」




キスをしながら、隆の後孔を解す。
指先を挿し込んで慣らしていると、そこに隆の手が添えられて俺の手を制す。

もう平気。
もういいよって、微笑んで頷いてくれる。

こうゆう表情なんだ。
隆の優しい表情。
テラスで水をやっていた時も微笑んでいた。
今もそう。
俺の大好きな、隆の微笑み。

そうゆうのも全部、欲しいと思うよ。







「ーーー…っ…ぁ…あっ…ぁあ」

「りゅ…りゅっ…ぅ…」



繋がって、奥まで進む間。
隆の手のひらに手を重ねて、ぎゅっと指先を絡ませて。
額に、瞼に、頬に、首筋に、胸に。
何度も何度も痛みを逃すようにキスをして、噛み締める唇を解くように、唇を重ねて。
俺を受け入れてくれる感謝と、何度言っても足りない好きって気持ちを。





キシッ…ギシ、ギッ…



「…あんっ、ぁん…ぁ…」

「ーーー…っ…可愛い…よ、隆っ…」

「ぁ…あぁっ…ん…ぁ…イノ…っ…ちゃ…ぁ…」

「隆っ…りゅ…隆…隆っ…」




隆の奥に放つ瞬間、耳元で。
好きだよって、今日何度目かもうわからないけれど伝えながら。
ふにゃりと笑う裸の隆を抱きしめながら、飽きもせずキスを交わした。


















ふわん。



「ーーーやっぱりふかふか、イノちゃんありがとう」

「ん?いや、こんくらい」

「気持ちいい」






あの後隆を抱き上げて一緒に風呂に入って。
気怠気に腰をさする隆を座らせて髪を乾かしてやって。
また隆を抱き上げて、さっき大絶賛だった寝室ベッドに今度はふたりで潜り込んでベッドタイム。
隆は早速俺にペタリとくっ付いて気持ちよさそう。




「ーーー隆、もう寝るのか?まだ飯も食ってないし、時間も早い…」

「んー、でもこのお布団きもちよくて」

「気に入っていただけて何より」

「ふふっ」

「ーーー隆?」

「ーーーーーん、」

「寝るの?」

「ーーーねな…ぃ」



眠そうな声で寝ないって言えれても説得力ないぞ…。
まだ夜は長いし隆との時間まだ楽しみにしてたのに…って言っても仕方ないか…
そっと肩を落としていると、隆がいつのまにかじっと見つめているのに気がついた。




「ーーー隆?」

「寝ないよ。まだイノちゃんとしたいことあるもの」

「え、」

「これからテレビも観るでしょ?ご飯食べて、音楽聴いて」

「ーーーーー」

「あと、」

「ーーーりゅ、」

「えっち、もうしないの?」

「っ…」

「イノちゃん…」





ふかふかの布団の中で。
ぎゅっと大切な隆を抱きしめたのはこのすぐ後。

俺たちのふたりの時間は、まだまだこれから…









end




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