リュウ
◻︎◻︎INO
知らなかった。
こんなに気持ちいいなんて。
俺の中にこんな気持ちがあったなんて。
恋愛だって、身体に触れることだって。
これが初めてじゃないのに。
隆を今こうして抱きしめると込み上げてくる気持ちはなんだ?
今まで味わった事のない気持ち。
興奮とか衝動とか。
それもあるんだろうけれど、それだけじゃなくて。
愛おしさとか、切なさとか。
何より心が満たされて。
優しくしてあげたい、守ってあげたい、全部見せて欲しい。
隆の全部、欲しい。
そんな気持ちがとめどなく溢れて窒息しそうだ。
「ーーー綺麗だな」
「…ゃ、」
隆って言ったら海通いのイメージがあるから日焼けしてると思っていたけれど。
そんなことはなくて。
服に隠れている部分も、そうじゃない所も。
隆の肌は白くてさらさらしてる。
触れる手のひらが拾う体温がとてもあたたかいのは。
身体が熱いのは熱のせい?
「隆、」
「ーーーっ…ぁ」
「気持ちいい?」
首筋とか鎖骨。
それから肩口から胸。
ひとつひとつ唇を落としていくと、隆はその度にぎゅっと目を瞑って、身体を震わせる。
まだたったそれだけ。
戯れるみたいな愛撫に身を捩る。
「ーーーーー初めて…だよ」
「ーーー…ぁ…っ…ん…なぁ、に?」
「隆…そんな顔もするんだな」
「ぇ?……あっ…」
「初めて…見た」
溢れる涙はもう止めようがないんだろう。
俺の言葉に頬を赤らめて、何度もごしごしと濡れた目元を手の甲で拭うけれど間に合わない。
次から次へと溢れる涙。
ずっと泣くのを我慢していたみたいな。
「泣いてもいいけど擦るな」
「…ん、」
「真っ赤になるぞ」
俺の言葉に擦る手を止める。
けど、その間にもぽろぽろ溢れる涙は止まらない。
そんな様子を見ていたら可笑しくて。
笑っちゃ悪いんだろうけど、どうしようもなくて。
行き場を無くした隆の手を掴んで、俺の肩口に回させて。
涙で濡れる目元にキスをする。
間近にある隆の睫毛が震えてる。
俺の前でこんなに感情を出してくれる隆が、心底愛おしくて。
「…ぁ…ん…」
「ーーーーーここ?」
胸を弄る。
先端を摘んで、唇で吸うと。
ぎゅっと、俺の肩に回った隆の手に力がこもる。
「ーーーーー…ゃ…変…に…なっちゃ…」
「ほら。なれよ、もっと」
「ぁあんっ…」
ぎりっ…
爪が食い込む。
無意識なんだろう。
でもそれは、俺にとっては嬉しいこと。
俺のする事で気持ちいいって、感じてくれているんだろうから。
だから俺も少し図々しくなる。
隆の脚を撫でて、膝裏に手をかけて。
ぐっと、脚を開かせる。
びくりと隆が肩を揺らしたのは気付いたけれど、まだ止めることはしない。
そっと隆の秘部に指先で触れる。
顔を見ながら、もしも拒絶されたら止めるつもりで、ゆっくりと。
「ーーーっ…イノ…ちゃ…」
「指で触れてるだけ。まだ、痛くないだろ?」
「…そ、じゃなく…て、そんな…とこ」
「平気。俺は隆のどんなことだっていいよ」
「でもっ…」
「ーーー隆の全部、可愛いって思う。今日見せてくれた泣き顔も、風邪ひいてちょっと弱ってる隆も、全部好きだ」
「ーーーーーっ…」
「熱があってちょっと熱い身体も、隆の首筋も、胸も」
「ーーーあ…っ…ぁ、」
「ーーーココ…に、」
くちゅっ…
「んっ…」
くちっ…ちゅく…
「ーーーーーっ…ん…っ…んん…」
「隆のココに入りたいって、思うよ」
ゆっくり語りかけながら、指先を少しずつ挿れていく。
指先の関節がひとつひとつ進む毎に、隆はぎゅっと唇を噛み締めて俺に縋り付く。
「ーーー痛い?」
「ーーーーーーーっ…ん…」
「隆?」
「っ…んん…ん…………ぃ…き…」
へ い き
潤んだ目で、言葉にならない声で、教えてくれる。
涙で濡れた目で、微笑んで。
「ーーーっ…隆」
どうにか慌てない素振りは見せているけれど。
内心は、それどころじゃない。
こんな隆を見下ろして、興奮しておかしくなりそうで。
挿し込んでいた指先を引き抜くと、主張している隆のものの先端にキスをして。
さっきから痛い程に勃ち上がっている俺自身を、隆の秘部に擦り付けた。
◻︎◻︎隆
「ーーーぁ…っ…あん…んっ」
熱い…
熱い……俺の身体
風邪のせいだよね。
でも、それだけじゃなくて。
イノちゃんと繋がっているところが、火みたいに熱い。
まだ、信じられない。
イノちゃんとこんなことしてる自分。
嫌悪も躊躇もなく。
自分からも欲しいって、思ってる事が。
キシッ…ギッ…
「ーーー…ぁ…やっ…ぁん…」
「っ…隆…隆……すげ…」
「ぁ…あ…ぁん…んっ…」
「ーーー…イイっ…よ」
熱っぽい声で、イノちゃんは囁いてくれる。
俺の中を激しく突きながらも、ばかみたいに優しく。
俺の喘ぐ声も全部ちょうだいって、唇をなん度も重ねて。
鎖骨に歯を立てて、胸を弄られて、それだけで意識が飛んでしまいそうなのに。
もっと奥まで、イノちゃんに犯されて。
俺自身も擦り上げられて。
どうしよう…
こんなになってしまう自分がいるなんて知らない。
知らない。
初めて知る自分、感情。
見せないようにしてきた自分を曝けてもいいと思えるひと。
俺の全部を差し出しても構わないと思えたひと。
今までずっと側にいたのに。いてくれたのに。
今、初めて気が付いたよ。
「…ぁあっ…ぁ…イ…ノ…」
「ーーーーーっ…りゅ…」
ぎりっ…がり…
イノちゃんの熱いものが俺の中に注がれた瞬間。
俺は彼の肩口に回した両手で爪を立てた。
快感に耐えかねた行動でもあったかもしれないけれど、でも。
この冬の日の事を。
今まで一緒に過ごしてきた日々を。
どうか、忘れないで…と。
イノちゃんは優しいから、側にいるって言葉をくれるけれど。
それはできないことくらいわかってる。
だから。
「ーーーーーーーイノ…ちゃん」
ココロだけでもいい。
側に…いて。
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