短編集・2















偶然。
思いもよらず。
訪れた、幸せな時間。
こうゆうのがあるから、隆との時間は堪らない。










ザアアアアアアアア。
バチバチバチッ
ザァァッ


降り頻る雨。
…というより、叩き付ける雨だ。




「…何この土砂降り」

「ん?」

「何この土砂降り」

「ーーー悪りい、雨の音が凄過ぎてよく聴こえない」

「んもぅ!何この土砂降り‼」

「ああ!…な。向こうが霞んで見えないし」

「今日ってこんな降る予報だった⁉」

「…では無かった筈なんだけどなぁ」



だって昨夜見た予報はこんなじゃ無かった。だからこそ今日の予定を立てたわけだし。
…でも、まぁ。
そこは雨男の俺ら。
最近はそうでもないかも?
雨男返上か⁇なんて思ってたけど。
どうやら久々に雨男パワー本領発揮したらしい。










秋真っ盛り。
テレビの特集でも、秋の行楽に関するものが多くなるこの季節。
隆と付き合い始めて、季節を愛でる機会が多くなった気がする。何しろ外に出る事が大好きな恋人だから。これまでも季節を感じられる場所、隆と色んな所に出掛けてきた。

そんな事で。
今年も秋の空気をいっぱい吸いたいねぇって言い合って。
日にちは決まった。
二人のWオフ。しかもこの日はハロウィンだ。
行き先は…色々考えた。
ハロウィンらしい、華やかな街歩きもいいなとも思ったけど。せっかくの二人きりの秋デート。二人きりなら、とことん二人きりな場所にって。
まだ緑が多いけど、色づき始めた紅葉。
秋の山に、散策に行くことにしたんだ。




「お弁当作ったよ!」

「マジ⁉隆ちゃんいつのまに⁇」

「へへ!まだイノちゃんが起きる前。今日はねぇ、サンドイッチをたくさん!あとタコさんの…

「待った!隆ちゃん、あとは昼のお楽しみにしたい」

「お楽しみ?」

「ランチボックスの蓋を開けた時のお楽しみ。ーーーありがと、隆。早起きしてくれたんだな」

「早起きは慣れてるもん。それに昨夜はイノちゃんも我慢してくれたしね?」

「あ、だからか」

「ふふっ、うん」



昨夜は頑なに首を縦に振らなかった隆。
オフの前の夜は、大抵心ゆくまで身体を重ねる事が多い俺たちだけど。さっさと布団に潜って、明日は山歩きだよって。早々に寝てしまった隆を隣に、しばらく悶々としてた俺だけど。
ーーーそっか。
こんな嬉しい事を企んでてくれたからなんだな。


にこにこと隣で微笑む隆。
本当に最高の恋人。
そんな隆の為にも、今日は楽しい一日にしたい。

ーーーでもな?



「隆」

「ん?」


隆を引き寄せて、その耳元で囁いた。



「ーーー昨夜しなかった分、」

「え?」

「その分は今日。…な?」

「っ…ばかぁ」

「いいだろ?せっかくの、こんなさ」

「~~~っ…」

「二人きりの一日なんだから」

「っ…ーーーうん」




顔を真っ赤にして頷いてくれた隆に、掠めるくらいの軽いキスで返事する。
出だしは上々。
俺たちは、青く澄んだ秋空の下を出発した。


ーーーーーー筈だったんだけど。




ザアアアアアアアア。
バチバチバチッ
ザァァッ


降り頻る雨。
…というより、叩き付ける雨だ。




「…何この土砂降り」


この通り。冒頭のやり取りってわけだ。




山の散策ルートを歩き始めて少しして。
そろそろ昼休憩の時間。どこで隆のお手製ランチを頂こうか?なんて言っていた時だ。


ポツ。


「ん?」


鼻の頭に、一雫。
ーーーなんだろう?雨なわけないよな…って空を見上げたら。


「ーーーあれ…なんか」

「イノちゃんどうしたの?」

「ん?ああ、いやさ。ーーーなんか空が」

「え?」



隆と空を見上げた途端だ。

パラパラパラ…

細かな水滴が…ーーーーーー



「あ」

「あ」



気付いた時には遅かった。
急激に暗くなった空から、大粒の雨。
嘘だろっ⁉って言ってる間にもどんどん降って。



「とりあえずイノちゃん、雨宿り!」

「ああ!確かこの先に休憩所が…」

「うん!」



走った。
隆の手を掴んで、なるべく木の葉の覆い茂る木の下を選んで先を急いだ。
顔にかかる雨粒が煩わしい。
分かれ道の度に木のプレートの矢印があるからそれに従って進んでいたけれど。
何しろまともに目も開けられないから。
どうやら。

ひとつ間違えたらしい。
進むべき道を。

散策ルートの入口でもらった地図はおおよそ頭に入れていた。だからそろそろ休憩所があってもいい筈なのに…と思っていてもなかなか着かない。
おかしいなって、それでも進むよりはって。
葉のせり出した大木の下で立ち止まる。
地図を取り出して、やっとわかった。



「隆ごめん。分かれ道、ひとつ間違えた。少し戻れば元のルートに出るから」

「ーーー戻る?」

「この先に進んでも、大回りにはなるけど着くんだけど。…この雨だからさ」

「戻って休憩所に寄ったほうがいいよね」

「風邪ひくとあれだし。…せめて雨が小降りになるまでは休もう」

「うん」



じゃあ、戻ろうって。
再び隆の手を繋いでそこから動こうとした時だ。
隆がぎゅっと俺の手を引いた。




「ーーーねぇ、イノちゃん」

「ん?」

「あそこ。ーーーほら」

「ーーーーーあ、」




雨に霞む木々の隙間に見えたのは。
小さな小さな、ログハウスのような…














「っ…ーーーあ~!びしょ濡れ!」

「ホント、いきなりだったもんな。隆、大丈夫か?」

「大丈夫。山の天気は変わりやすいって本当だね」

「それにしたって…。でも助かった、この小屋」

「ね。なんだろうね?こうゆう…俺たちみたいな困った時用に用意してくれてるのかな」

「…ん。戸は開いてたし、一応入り口に〝どうぞ〟って」

「ーーーウェルカムな感じではあったよね」




土砂降りの中見つけたこの小さな小屋の入り口には。
この時季だからだろうか?
大きなオレンジ色のカボチャがゴロンと転がって。
あのお馴染みの三角目は無いものの、その愛嬌ある見た目に。二人でずぶ濡れになりながらも、クスッと微笑んだものだった。



「でもホント、助かった」

「雨宿りできるしね」

「さすがにここまで濡れると…」



小さな小屋の中はごくシンプルな作りだ。
窓が二つと木の椅子とテーブル。
部屋のあちこちには蜘蛛の巣がある。
それから壁を見るとコンセントがひとつ。
電気も通っているんだ。よく見れば天井にもコードが伝って、その先にランプがひとつ。
それから。



「暖炉?」


窓の側に小振りな暖炉。…こんな無人の小屋に?薪の暖炉?って思ったけど。よく見るとスイッチがついている。側にはコンセントとプラグも伸びている。
本来薪を焚べる場所には…銅線か?
ーーーって事は、電気で暖まる暖炉なのか?



「ーーー動くのかな」

「プラグ挿してみようか」

「うん。ーーーーーあ、」



電源を入れたら、ぽぅっと赤くなる熱源。
濡れて冷え切った指先が、ジン…と暖まる。



「うわ、マジで助かる」

「暖炉型の電気ストーブって感じかな?これで少し服も乾かせるかもね」

「そうだな。ーーーホント、無断でお邪魔した上に…助かります!」

「少しだけ暖まらせてもらいます!」



ありがとう!と、隆と一緒に感謝の言葉。
伝える相手は…今はここにいないから。
この小屋を守る大きなカボチャに、せめてもの感謝を。






ーーー幸いな事に。
びしょ濡れになったのはお互いアウターと靴と荷物で。
アウトドア用の物を着てきたから、多少の雨避けにはなったみたいだ。
上着の下は、まぁそこそこ。下着までは濡れていなかった。

濡れた物をなるべく広げて乾かして。
そう言えば昼食!って。
隆はランチボックスを取り出した。



「良かった。お弁当は無事」

「走る時抱えてたもんな」

「だってイノちゃん楽しみにしててくれたから」

「ん?」

「濡れちゃってダメになったら悲しいし」



だから良かった。
イノちゃんどうぞって、隆はランチボックスを差し出した。



「じゃあ、お楽しみの隆ランチ。いただきます」

「はい!どうぞ」



パカっと蓋を開けると、なんて美味そうな。



「隆。…これ、マジで?」

「どうかな?美味しいといいけど」

「いや…どう見ても美味いだろ」



色んな種類のサンドイッチ。
チーズ、ハム、ツナ、トマト、レタス、ハーブチキン…
それからフルーツのもある。イチゴやキウイやオレンジとクリームの。
それから添えてあるのはタコウインナー、ハッシュポテト、オリーブやエビのマカロ二サラダだ。



「サーモボトルにあったかいコーヒーも入れてきたの。イノちゃん飲むでしょ?」

「ーーー隆」

「こんな、ちょっとハプニングあったけど」

「ーーー」

「やっぱり楽しいね。イノちゃんと一緒なら、なんだって」

「隆ちゃん…」




にこにこ。
こんな状況でも笑顔が絶えない、隆。
俺と一緒なら…なんて、嬉しい言葉をくれる隆。
ーーーそんなの。
それを言いたいのは俺の方だよ。
すぐにでも隆を抱き寄せてくっ付きたい気持ちになるけれど。
せっかく広げてくれた昼食。
今はぐっと我慢して、隆の料理に手を合わせた。




















ザアアアアア。



昼食を終えて。
依然、雨音は激しい。
雨粒が窓に当たるバチバチという音が、小屋の中に大きく響いた。




「っ…くしゅ」



隆がくしゃみした。
見ると両腕をさすってる。
ーーー寒いのかな。



「隆、寒いか?」

「え?…あ、ううん!平気」

「でも今、腕さすって…

「はっくしゅ!」

「ああ…ほら」

「ぅう…」



ずびっ。
鼻をすする隆。
そうだよな。そりゃ寒いだろう。
ストーブったって小さな物だし。
雨降りの秋の気温はぐっと下がるだろう。



「……」


広げているアウターに触れる。
最初に比べればだいぶ表面は乾いてきたように思うけど。
それでもまだヒンヤリと湿ってる。
とても着られるような状態じゃないな。



はくしゅんっ


また、隆のくしゃみが響く。
これは早急になんとか手を打たないと風邪をひく。
ヴォーカリストに風邪はなるべくならひかせたくない。



「ーーーなんか…」


何かないかと、小屋を見回す。
窓の側に寄ると、大きなカボチャが窓越しに見えた。
ーーーアイツも濡れて寒いだろうなぁ…なんて、ちょっと思ったら。





「え?」



一瞬だ。
ホントに、一瞬だったけど。
オレンジ色のカボチャが、笑ったように見えたんだ。












大切ひとと。
大好きなひとと。

さあ、カボチャを囲もう。

秋の恵みを大いに楽しんで。
この季節の空気をいっぱいに吸って。
ハプニングも幸運に変えて。
見つけた幸運は、もっともっとあたためて。


ジャックオランタンは、そんな君のすぐ側に。









「隆」




ばさっ。


この際、ある物は使わせていただこう。
俺はカーテンを外すと、そのまま隆の肩に羽織らせた。

ぱちぱちと目を丸くする隆。
取っちゃっていいの?って顔で俺を見る。



「あとで、後日ちゃんとお礼に来るから。だから、今は気にするな」

「イノちゃん…」

「風邪ひく方が心配だ。隆は特にだ」

「っ…ーーー」

「これ掛けてるだけで違うだろ?」

「うん。イノちゃんありがとう」



よっぽど冷えてたんだろう。
隆はカーテンに埋もれるように、ぎゅっと身体を丸くした。





ザアアアアア。






止まない雨。
ーーー今日は一日、こうなのかな。


まだ道程の途中だという事を思い出す。
さすがにここに寝泊まりする訳にはいかないだろうけれど、このまま降り続いたらどうするか考えないといけない。
時間も、もう昼を過ぎた。
ちゃんとしたハイキングコースとはいえ、山の中は暗くなるのも早いだろう。




「はくしょん」

「隆」

「っ…くしゅん」

「ーーー熱、ないよな?」

「うん。それは大丈夫だと思う。…けど」

「ん?」

「ーーーちょっと寒い」


隆を見る。
するとカーテンの端を握る隆の手が、小さく震えているのに気が付いた。



「我慢すんな」

「…ん」

「震えてんじゃん」

「ーーーだいじょ…ぅ…

「…ぶ。じゃないだろ」




まったく。こういう時、意地っ張り頑固は困る。ーーーマジで風邪ひくぞ。

隆が被ってるカーテンの端を捲って、空いた隆の隣に入り込む。俺の突然の行動にまた目をぱちぱちさせてる隆。
ぽかんとした顔が可愛くて可笑しくて、カーテンの中で隆を抱き寄せた。



「うぁ、イノちゃん」

「こうしてくっつくとあったかいだろ?」

「っ…う、ん」

「なんかよくあるじゃん。こーゆう展開さ?」

「こーゆう?」

「好きなひとと迷子になって、山小屋で二人きり…とかさ」

「ああ、」



隆がふふっ…と笑った振動が伝わる。
少女漫画とかでありそうだね。って言う隆は、頬が染まってる。
ーーー寒さからなのか。
ーーーそれともこの状況にはにかんでいるのか。

どちらにしても、今の俺たちは。
好きなひととふたりきり。
その状況に変わりはないんだ。





「隆」



冷たい。
冷えてしまっている隆の唇をあたためてあげたくて。
大きな白い布の中で、密やかに唇を重ねた。
隆の視界を覆うように、何度も何度も啄むキス。



「っ…ん、ん。…ふふっ、」



溢れる隆の小さな笑み。
こんなんじゃ、まだまだ余裕があるようで。
それがちょっと癪で、もう少しだけ深く唇を追いかけた。



「ーーーんっ…ふ、ぁっ…」



ぴちゃ、ちゅっ


こんな音が聞こえると止まらない。
柔らかい隆の唇を抉じ開けて舌先を挿し込む。
逃げる隆の舌を捕まえて、絡ませて。
隆の吐息交じりの声が聞こえる頃には、その唇はジンと熱くなっていた。



「ーーーごめん、」

「っん、え?」

「止まんない」



「ぁっ…いの」




雨を吸い込んで、少しだけ湿った隆のシャツの上から手で触れる。
いつもするみたいに、優しく身体のラインに沿って触ると、ツンと引っ掛かる胸の飾り。
もうすでに感じてくれているのが嬉しくて、俺はそっと微笑んだ。布越しにそこを刺激すると、隆は仰け反って身体を硬くした。



「ーーー勃ってる。…気持ちイイ?」

「んっ、んん」

「昨夜してないし。今日はしようって言ったもんな?」

「…で、も」

「ん?」

「ーーーこんな、とこ、でっ…ぁ、」

「たまにはこうゆうのも、良くない?」




すでに涙目。
隆が首を振る度、涙が散った。



「どうせ雨が落ち着くまでは動けない。ーーーそれに冷えた身体をあっためるのに、セックスって最適じゃない?」

「イノちゃっ…」



隆をカーテンに包んだまま壁に追いやって、じっと見つめてやると隆は観念したようで。
コクンと頷いて、両手を俺に絡ませた。
それだけで、隆の表情が艶やかに変わる。
こんなところで、淫らになる隆がめちゃくちゃ可愛くて。
服に手を突っ込んで、今度は直に隆の身体を弄った。



「ーーーっ…あ、やぁっ」

「っ…いいよ」

「ぁんっ…ん、ん」

「俺しか見てない」

「っ…ーーー見せない、もん」

「ん?」

「イノちゃ…に、しか」

「隆っ…」



そんな事を言ってくれて、堪らなくなって。
ぐっぐっ…と、ジーンズ越しに、硬くなった自身を隆のそこに押し付けると。
隆は身を捩って、自らジッパーに手をかけた。



「っ…も、挿れ…て」

「ーーーん…待てない?」

「ん、ぅん」

「いいよ。ーーー俺も」



もう待てない。

隆のジーンズを勢いよく抜き取って。
脚を抱えて、反り勃った自身を奥深くまで。



「りゅ…っーーー気持ちイイ?」

「んっぁ、あ…ーーーーいのっ」

「ーーーん?」




隆が涙で濡れた瞳をうっすら開けて。
何か言いたげに、じっとこちらを見つめるから。
隆の側に顔を寄せた。

…ら。


掠れて、それでも。
甘い甘い声で。




「ーーー気持ち…イイ。し、あ…わ……せ。ーーーーーだよ?」





幸せだよ。

ーーーそうだ。
ーーーそうだよ。

ーーーそれはもちろん、俺だって。

ーーー隆といられて、幸せしかないよ。









































「ーーー夕焼け。…綺麗」

「いつの間に…」




隆と散々愛し合って。
触れる隆の身体がぽかぽかとあったかくなってきたな…と思った頃。
ふと、窓の外を見たら。

それはそれは鮮やかな夕焼け空が目に映った。



「オレンジ色」

「すっかり雨も上がったな」

「良かったね!帰れるね」

「ああ」




広げておいた濡れた服も、着られるくらいに乾いていた。

使わせてもらったカーテンはぐしゃぐしゃになってしまったから。(汚してもあるし…。まぁ、色々な?)
ここに置いて帰るのは気がひけるから、これは持ち帰って。後日新品のを、このハイキングコースの管理事務所に送ろうと思う。

身支度を終えて、小屋を出た。
するとそこにはやっぱり、オレンジ色のカボチャ。
雨に濡れて、夕陽を浴びて光って見える。




「そういえば今日はハロウィンだよね?」

「そうだよ。めちゃくちゃ濃いハロウィンだった」

「ね。ハイキングして、雨に遭って」

「山ん中でセックスして」

「もぅ!イノちゃん」

「でもいいじゃん?忘れられないハロウィンになった」

「ーーーなった、って。まだ終わってないよ?」

「え?」

「帰ったらハロウィンの続きだよ?ーーーだってさ」

「ーーー」

「まだ俺言ってないもん」

「ーーー何、を?」

「トリック オア トリート?って、イノちゃんに」

「ーーーーー隆、」



「ねぇ、イノちゃんはどっちがいいの?」




夕陽に照らされた隆が艶やかに微笑んだ。


くすくすくす。

一瞬ここは、山の中じゃなく。
隆を抱きしめる、ふたりの空間に思えた。




トリック オア トリート?

くすくすくす。
後ろからも、笑い声?…と思ったら。


あのオレンジ色のカボチャが、三角の目で、笑っているように見えた。






end







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