きみとしたいこと。
《触れる》
君としたいこと。
ーーー触れる。
君に、触れる。
君が、触れてくれる。
最初は空気なのかもしれない。
二人を包む空気。
二人の隙間の空気。
互いが解き放つ空気。
触れたいなって、気持ちを滲ませた空気。
それが触れ合う。
混じり合って、気がついて、互いに意識を向ける。
見つめ合う。
そうすると、ほら。
一瞬で、求めてしまう。
触れたいって、思う。
「っ…」
君の指先に触れると、その熱さに驚く。
熱あんの?って思うくらい、指先だけじゃなくて、そういえば君の頬っぺたも赤い。
赤いっていうか、薔薇色。
「隆ちゃん、手、熱いよ」
「ぇ、そ…かな」
「そうだよ。自分じゃわかんない?熱々」
「…ふぅん?」
「頬っぺたも」
「…」
「なんだってこんなにほかほかしてんの?」
知ってるけどね。
君がこんなになってる訳。
知ってて、俺はわざと問う。
我ながら意地悪い奴だと思いつつやめられない。
隆の手をサラサラと撫でながら。
頬にそっと触れながら。
耳元で、俺は囁く。
「ーーー触ってるからでしょ?」
「…イ、」
クッと息を詰まらせて、君は俺を見る。(…っていうか、睨まれるに近いかも)
知ってて言うイノちゃんは意地悪だ!
そんな隆の声が聞こえる。
「俺が意地悪なのはずっと前からだよ」
「え、?」
「特に隆と出会ってからだ」
「俺…と?」
「好きな子には意地悪したいって言うだろ?ちょっかい出したいし、隙あらば触りたい」
「っっ…」
「ずっと触れていたいよ」
「ーーーイノ、」
「ーーー隆は?」
「っ…ぅん」
「……」
「ん。…ーーーイノちゃん」
俺も。
end
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