きみとしたいこと。















《ティッシュの代わり》








ずっ

ぐす、



「…ほら」

「ーーーっ…ぅん」



ずずっ、







ーーーさて。
なにが起きてるかって?

なんだと思う?





ぐしぐしっ、



ずずっ、ず、







「泣きすぎ」

「っぅ、ううぅ、だって…」





隆は涙腺決壊してさっきから大変な事に。
ーーー苛めたのかって?
違うって。
映画だよ。
休日の夜、テレビのロードショー。
古い洋画の名作。
今まで何度も観てきたけど、やっぱり何度観ても感動してしまって。

隆は止まらない涙。
俺は傍らのティッシュを一枚一枚渡していたけど、遂には最後の一枚を手渡したところで隆の涙を拭うものが無くなって。
それでも泣き止まない隆だから。
俺はやれやれ…と。
隆を抱きしめて。
自らの服をティッシュの代わりに提供してやった。





ずび、



「…よく泣くなぁ」

「ーーーだっ、てぇ」

「いいじゃん、喜怒哀楽がいっぱいあるって。俺はすげぇいいと思うよ」

「ぅう、ありが…と」

「いいよ、俺の服で存分に涙拭いて」

「ーーーん、」

「お前だけだけどな?」

「ーーー?」

「俺がティッシュの代わりになるってさ」





こんな時に改めて思い返してみると。
隆になら、隆だからいいやって思う事ってたくさんあるなぁ…って。



ーーーそれってさ。






「愛ゆえ」

「ーーーふぇ、?」



ぽかーん、と。
兎みたいに真っ赤な目と頬っぺたで。
隆は俺を見上げてくる。




「可愛い過ぎだ、ばか」

「っ…」

「ばかりゅー」

「っ…ぅ、酷…」

「俺以外にすんなよ」

「ーーーーーーーいじわるいのー」




するわけないじゃん!って。
隆は俺をぎゅっと睨んだ。
俺は笑って、泣き虫な恋人にキスをした。








end






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