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前編
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「おのれ、賊め……っ!」
「やめろたしぎ!」
たしぎの一閃と同時に、パァン! と銃声が聞こえ、辺りが眩しい光に包まれる。閃光弾だ。思わず目を瞑ったスモーカーの頬に、生温かい雫が1滴、触れた。
「アンタの提案。ちょっと嬉しかったけど、今は受けられない。私にはやらなきゃいけないことがあるんだ」
「そうか……『今は』ってことは、気が変わる可能性もあるんだな?」
あまりの眩しさに目が慣れず、スモーカーは薄目で雪櫻と言葉を交わす。表情は、見えない。だがその声色は、どこか優しかった。
「それは分からない。次に会った時にでも聞いて」
「あァ、分かった。お前も、気が変わったらいつでもローグタウンへ来いよ」
「はは、めんどくさ」
雪櫻は小さく笑うと、タンッと屋根を蹴って駆け出した。遠くなっていく足音。その音が聞こえなくなってようやく、スモーカーとたしぎの視界が元に戻る。
「スモーカーさん、すみません……! また迷子になってしまった挙げ句、雪櫻を取り逃がしてしまうだなんて……」
スモーカーの身体を覆う監獄弾の網を取り外しながら、たしぎが詫びる。だがスモーカーの胸には怒りどころか、清々しさと、何か温かいものが満ちていた。
頬に触れた雫。それを手に嵌めたグローブで拭うと、拭った場所が赤く染まった。たしぎの一閃が、雪櫻の身体のどこかを傷付けたのだろうか。
(この傷が癒える頃には、「やらなきゃいけないこと」も終わっているだろうか)
その時こそは、と決意して、網が取れて自由になったスモーカーは、帰るぞ、とたしぎに声を掛けて港に向かって歩き出す。港へ戻って来ていた軍艦から、将校達が駆け寄ってくるのが見えた。背後から追わなくていいんですか、とたしぎの声がし、大丈夫だったか?! 雪櫻は?! と、将校達が口々に尋ね、スモーカーを囲む。その全員に聞こえるように、スモーカーは言った。
「アイツは、俺の
……後編【クロコダイル編】へ続く。