+++ 2016 バレンタイン企画 +++
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
プルプルプルプル……ガチャ。
「よう、鰐野郎……調子はどうだ?」
「最低だ。今、この電話を受けた瞬間からな」
「フッフッフ! 相変わらずムカつく野郎だぜ……!!」
電話の向こうから聞こえてくる不機嫌な声に、ドフラミンゴは口角を吊り上げる。電伝虫があの小憎たらしい男の、人を見下したような目そっくりに擬態するのを見て、ドフラミンゴはぎり、とその背中の殻を握った。
「それはそうと……忘れたわけじゃねェだろう? 今年も結果発表といこうじゃねェか」
「ふん、くだらねェ……」
「フッフ! 負けるのが怖ェんだろう? 行くぜ……せーの!!」
「1、だ」「6177だ! ……あァ?」
聞こえてきた数に、ドフラミンゴは眉根を寄せる。1、だと? 有り得ない。いや、自分より少なかったという点では何ら問題ないのだが、王下七武海という地位にあって、その力に擦り寄りたい馬鹿女共が大量にチョコを送ってくる中で、そんな数字になどなるはずがないのだ。
「テメェ、どういうことだ?」
「童貞のガキじゃねェんだ……数で争うなんざ、無意味。そうは思わねェか? フラミンゴ野郎」
「……何が言いたい?」
「数えるのは、貰って意味のある物だけでいいだろう? ってこった」
「……フッフッフ! 成程、そういう事か」
嘲笑うかのような声色に、ピンと来る。クロコダイルの意図が読めて、ドフラミンゴは笑った。
「残念だったな、鰐野郎! 勝ったと思ったか? ネーナからは俺も貰ってんだよ……しかも、手作りをな!!」
当然、事前に根回しをしていたことは伏せる。それにしても、この俺がネーナからチョコを貰えないと踏んで、この男はこんな気障ったらしい事を言いやがったのか? そう考えると、ますます腹立たしい。そんな男が今受話器の向こうでどんな表情をしているのかを想像すると、胸が空く思いがする。
だが、意外にも、電伝虫はいつもと変わらず取り澄ました表情をしていた。それどころか、口元には笑みさえ浮かべている。不審に思っていると、受話器から渇いた笑い声が聞こえてきた。
「クハハハハ……手作りチョコぐれェでご満悦とは、青いな」
「……なんだと?」
クロコダイルの言葉に、ドフラミンゴの顔から笑みが消える。電伝虫を通してその表情が伝わったのだろう。再び、受話器の向こうから満足気な笑い声が聞こえた。
「俺はアイツと一緒に『チョコレートフォンデュ』とやらを楽しんだ。やっぱり同じ時間を共有するってのは、どんなチョコを貰うより大きいモンだろう?」
「ぐ……っ!」
苦虫を噛み潰したような表情になったドフラミンゴに、クロコダイルはダメ押しのように、あーん、もしてもらったしな、と告げる。ドフラミンゴは蟀谷に青筋を浮かべながら、悔しさを押し殺すように嗤った。
「フフッ……フッフッフ! そうかよ……だがな!! テメェがいい歳こいて、そうやって自慢げにチョコを貰ったのを吹聴してやがると知ったら、ネーナは幻滅するだろうな!」
ガチャン! と怒りに任せて受話器を叩き付ける。チョコレートフォンデュとやらがどういった物かは知らないが、何故だか猛烈に羨ましかった。ネーナには、言いつけどおりチョコを手作りした褒美をやろうと思っていたが、撤回するべきだろうか。
(いや、まだ終わってねェ……アイツが一瞬で心奪われる褒美をやりさえすれば……!)
――それが何かは、正直見当もつかないのだが。一般に、バレンタインデーのお返しをするホワイトデーには、まだ1カ月ある。それまでに、親しくしている女共にリサーチすれば良いだろう。
(それにしても、面白くねェ……!)
目の前のテーブルを力任せに蹴り上げ、ドフラミンゴは立ち上がる。憂さ晴らしに飲みにでも行くか。そう決めてドフラミンゴは窓を開けると、手近な雲に糸を絡ませてひらりと外へ舞い出たのだった。
「よう、鰐野郎……調子はどうだ?」
「最低だ。今、この電話を受けた瞬間からな」
「フッフッフ! 相変わらずムカつく野郎だぜ……!!」
電話の向こうから聞こえてくる不機嫌な声に、ドフラミンゴは口角を吊り上げる。電伝虫があの小憎たらしい男の、人を見下したような目そっくりに擬態するのを見て、ドフラミンゴはぎり、とその背中の殻を握った。
「それはそうと……忘れたわけじゃねェだろう? 今年も結果発表といこうじゃねェか」
「ふん、くだらねェ……」
「フッフ! 負けるのが怖ェんだろう? 行くぜ……せーの!!」
「1、だ」「6177だ! ……あァ?」
聞こえてきた数に、ドフラミンゴは眉根を寄せる。1、だと? 有り得ない。いや、自分より少なかったという点では何ら問題ないのだが、王下七武海という地位にあって、その力に擦り寄りたい馬鹿女共が大量にチョコを送ってくる中で、そんな数字になどなるはずがないのだ。
「テメェ、どういうことだ?」
「童貞のガキじゃねェんだ……数で争うなんざ、無意味。そうは思わねェか? フラミンゴ野郎」
「……何が言いたい?」
「数えるのは、貰って意味のある物だけでいいだろう? ってこった」
「……フッフッフ! 成程、そういう事か」
嘲笑うかのような声色に、ピンと来る。クロコダイルの意図が読めて、ドフラミンゴは笑った。
「残念だったな、鰐野郎! 勝ったと思ったか? ネーナからは俺も貰ってんだよ……しかも、手作りをな!!」
当然、事前に根回しをしていたことは伏せる。それにしても、この俺がネーナからチョコを貰えないと踏んで、この男はこんな気障ったらしい事を言いやがったのか? そう考えると、ますます腹立たしい。そんな男が今受話器の向こうでどんな表情をしているのかを想像すると、胸が空く思いがする。
だが、意外にも、電伝虫はいつもと変わらず取り澄ました表情をしていた。それどころか、口元には笑みさえ浮かべている。不審に思っていると、受話器から渇いた笑い声が聞こえてきた。
「クハハハハ……手作りチョコぐれェでご満悦とは、青いな」
「……なんだと?」
クロコダイルの言葉に、ドフラミンゴの顔から笑みが消える。電伝虫を通してその表情が伝わったのだろう。再び、受話器の向こうから満足気な笑い声が聞こえた。
「俺はアイツと一緒に『チョコレートフォンデュ』とやらを楽しんだ。やっぱり同じ時間を共有するってのは、どんなチョコを貰うより大きいモンだろう?」
「ぐ……っ!」
苦虫を噛み潰したような表情になったドフラミンゴに、クロコダイルはダメ押しのように、あーん、もしてもらったしな、と告げる。ドフラミンゴは蟀谷に青筋を浮かべながら、悔しさを押し殺すように嗤った。
「フフッ……フッフッフ! そうかよ……だがな!! テメェがいい歳こいて、そうやって自慢げにチョコを貰ったのを吹聴してやがると知ったら、ネーナは幻滅するだろうな!」
ガチャン! と怒りに任せて受話器を叩き付ける。チョコレートフォンデュとやらがどういった物かは知らないが、何故だか猛烈に羨ましかった。ネーナには、言いつけどおりチョコを手作りした褒美をやろうと思っていたが、撤回するべきだろうか。
(いや、まだ終わってねェ……アイツが一瞬で心奪われる褒美をやりさえすれば……!)
――それが何かは、正直見当もつかないのだが。一般に、バレンタインデーのお返しをするホワイトデーには、まだ1カ月ある。それまでに、親しくしている女共にリサーチすれば良いだろう。
(それにしても、面白くねェ……!)
目の前のテーブルを力任せに蹴り上げ、ドフラミンゴは立ち上がる。憂さ晴らしに飲みにでも行くか。そう決めてドフラミンゴは窓を開けると、手近な雲に糸を絡ませてひらりと外へ舞い出たのだった。