+++ 2016 バレンタイン企画 +++
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ダンスパウダー製造工場を視察し、技術者達との食事会を終えてレインベースへと帰り着いたときには、既に時計の針は頂点を越えていた。計画が順調であることに機嫌を良くして、つい飲み過ぎてしまったせいだ。いつもは冷たく感じる砂漠の夜の風が、今日は火照った体に心地良い。ニコ・ロビンが起きていれば、今日の報告をしてから休むとしよう。俺はF-ワニの背から降りて、裏口から既に閉店している店へと入った。
店内に入ると、ディーラー達は既にあがっており、ボーイが2人、キャッシャーの締め作業を行っていた。私語をしながらのんびりと札束を数えていた2人は、俺の姿を認めると、慌てて口を噤む。普段であれば見咎めていただろうが、今日は幸い機嫌が良い。
「無駄口叩いてねェで、さっさと終わらせて帰りやがれ。夜は冷えるぞ」
「は、はいっ!」
そう言うと、2人は何やら感激したようなうっとりとした面持ちで一礼する。叱られたのにこんな反応をするとは、コイツら……いや、その先はあまり考えたくねェな。俺は小さく頭を振ると、足早に地下へと戻った。
地下へ続く扉を開けると、何やら甘い香りが漂ってきた。辺りを見渡せば、非常用の灯りだけしか灯っておらず薄暗い中、灯りの漏れている箇所がある。位置的に、あれはミニキッチンだ。この甘い香りも、どうやらそこから漂ってきているらしい。俺は階段を下り、その光源へと向かった。
「――何をしている」
「ぅわっ! ……あぁ、クロコダイル。お帰りなさい」
「ああ……それは?」
ミニキッチンにいたのは、ネーナだった。何やら小さな片手鍋を火にかけながら、手元では苺やバナナ、キウイなどの果物を一口大に切り、皿に盛っている。
「ああ、これ? ほら昨日、チョコ渡せなかったじゃない」
そう言って、もういいかな、と呟くと、ネーナは鍋を火から下ろした。
「作り直すにも仕事だったから時間もないし、諦めようかなって思ったんだけど……やっぱり日頃の感謝の気持ちは伝えたいなって思って。レストランから貰ってきた余り物で申し訳ないんだけど」
鍋とフルーツが盛られた皿をトレンチに乗せて、ネーナが歩み寄る。鍋の中身は、滑らかなチョコクリームだった。
「チョコレートフォンデュ。一緒にどう?」
「……ああ、いただこうか」
俺の返事を聞いて、ネーナは満足気に微笑む。疲れたから甘い物食べたかったんだぁ、と笑うその姿に、自分が食べたかっただけじゃねェのか、とも思ったが――成程、こうやって一緒に楽しむってのも、悪くねェ。寧ろこっちの方が、ドフラミンゴは羨ましがるかもしれねェな。でかしたぞ、ネーナ。あのフラミンゴ野郎の浮かれた顔が悔しさに歪むのを想像して、俺はクハハ、と小さく笑った。
「何が可笑しいの?」
「いや、何でもねェさ」
行くぞ、と言って、俺はネーナの左隣に立って歩き出す。うん、と言って並んで歩き出した傍らの女の肩を、俺は抱き寄せた。歩きにくいんだけど、と文句を言われても、無視。昨日の報告をニコ・ロビンにするのも、後回し。
今はただ、この甘い時間を、自分の手の中に閉じ込めておきたい。
*****
お題配布元:TOY様
★その他編
・手作りだけが愛じゃない
店内に入ると、ディーラー達は既にあがっており、ボーイが2人、キャッシャーの締め作業を行っていた。私語をしながらのんびりと札束を数えていた2人は、俺の姿を認めると、慌てて口を噤む。普段であれば見咎めていただろうが、今日は幸い機嫌が良い。
「無駄口叩いてねェで、さっさと終わらせて帰りやがれ。夜は冷えるぞ」
「は、はいっ!」
そう言うと、2人は何やら感激したようなうっとりとした面持ちで一礼する。叱られたのにこんな反応をするとは、コイツら……いや、その先はあまり考えたくねェな。俺は小さく頭を振ると、足早に地下へと戻った。
地下へ続く扉を開けると、何やら甘い香りが漂ってきた。辺りを見渡せば、非常用の灯りだけしか灯っておらず薄暗い中、灯りの漏れている箇所がある。位置的に、あれはミニキッチンだ。この甘い香りも、どうやらそこから漂ってきているらしい。俺は階段を下り、その光源へと向かった。
「――何をしている」
「ぅわっ! ……あぁ、クロコダイル。お帰りなさい」
「ああ……それは?」
ミニキッチンにいたのは、ネーナだった。何やら小さな片手鍋を火にかけながら、手元では苺やバナナ、キウイなどの果物を一口大に切り、皿に盛っている。
「ああ、これ? ほら昨日、チョコ渡せなかったじゃない」
そう言って、もういいかな、と呟くと、ネーナは鍋を火から下ろした。
「作り直すにも仕事だったから時間もないし、諦めようかなって思ったんだけど……やっぱり日頃の感謝の気持ちは伝えたいなって思って。レストランから貰ってきた余り物で申し訳ないんだけど」
鍋とフルーツが盛られた皿をトレンチに乗せて、ネーナが歩み寄る。鍋の中身は、滑らかなチョコクリームだった。
「チョコレートフォンデュ。一緒にどう?」
「……ああ、いただこうか」
俺の返事を聞いて、ネーナは満足気に微笑む。疲れたから甘い物食べたかったんだぁ、と笑うその姿に、自分が食べたかっただけじゃねェのか、とも思ったが――成程、こうやって一緒に楽しむってのも、悪くねェ。寧ろこっちの方が、ドフラミンゴは羨ましがるかもしれねェな。でかしたぞ、ネーナ。あのフラミンゴ野郎の浮かれた顔が悔しさに歪むのを想像して、俺はクハハ、と小さく笑った。
「何が可笑しいの?」
「いや、何でもねェさ」
行くぞ、と言って、俺はネーナの左隣に立って歩き出す。うん、と言って並んで歩き出した傍らの女の肩を、俺は抱き寄せた。歩きにくいんだけど、と文句を言われても、無視。昨日の報告をニコ・ロビンにするのも、後回し。
今はただ、この甘い時間を、自分の手の中に閉じ込めておきたい。
*****
お題配布元:TOY様
★その他編
・手作りだけが愛じゃない