+++ 2016 バレンタイン企画 +++
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ホワイト・ブロー!」
「うわぁぁぁぁぁ!」
煙の拳の一撃を食らった海賊が、派手に吹き飛ばされる。男の体はそのまま八百屋の店先に突っ込み、店頭に並んでいたじゃが芋の山を崩した。倒れ込んだその頭にじゃが芋の1つがコン、と落ちてきたのと同時に、男は気を失う。
ぱちぱちぱちぱち
勝負がつくと同時に背後から聞こえてきた拍手の音に振り返ると、そこには士官学校時代からの同期の姿があった。
「流石ね、スモーカー君。ヒナ感心」
「……何しに来た」
「あら、ご挨拶ね。どうせ読んでないだろうと思って、本部からわざわざ昇格の再通知を持って来てあげたっていうのに」
「ふん……野犬なんて持て余すモンを昇格させて何になるってんだ」
ヒナが手にした封筒をヒラヒラとさせる。俺はそれを奪い取ると、乱暴に封を切った。
「!」
「……何かいい事でも書いてあった?」
「ローグタウン……海賊王が処刑された町か……!」
通知書を持つ手が震える。これまでは本部付で、任務毎に対象の場所へと派遣されていたが、今回の昇格で大佐になり、管轄を与えられることになった。その管轄地が、かの海賊王、ゴールド・ロジャーの処刑された町であったことに、俺は興奮を禁じ得なかった。
「良かったじゃない。期待の表れかしらね? ヒナ嫉妬」
「お前だって昇格したんだろう、どこ付だ?」
「私は変わらず本部よ。どこかの基地でのんびりしたかったのだけれど。ヒナ残念」
「まァお前にはエリートへの道が約束されてるからな」
読み終わった通知書に葉巻の火を燃え移らせる。チリチリと端から消し炭になっていく通知書を見て、ヒナはちょっと! と声を荒げた。
「もう! 折角持って来たのに、なんて事するのよ!」
「用済みなんだからいいだろう。俺ァ無駄に書類を手元に置いとくのが好きじゃねェんだ」
その点、任務と並行して報告書などの処理もしている将官達には感心させられる。俺が煩わしげに顔を歪めてみせると、ヒナは溜息を吐いた。
「あらそう。そんなこと言う人には『これ』は渡せないわね」
「あァ?」
ヒナの言葉に振り返ると、その手には小さなピンク色の包みが乗っていた。
「本部に手紙と一緒に届いたのよ。貴方も隅に置けないわね、ヒナ驚愕」
ヒナは意地悪く笑いながら、包みと手紙を差し出す。渋々受け取って封筒の裏面を見ると、そこには万年筆で小さく名前が書かれていた。
(ネーナ……!)
「せっかく女の子が勇気を出して送ってきてくれたんだから、燃やしたりしちゃダメよ? ヒナ心配」
そういう色っぽいモンじゃねェよ、と言いながら、俺の頬は緩む。気にしてくれていたのか、と思うと、手の中の小さな包みを早く開けてみたくてたまらなくなった。
「わざわざ来てもらって悪かったな、ヒナ。勲章の授与式が終わったら奢ってやる」
「それは楽しみね。そのチョコの話も、詳しく聞かせて頂戴」
ふふ、と笑った同期に手を振って、俺はこの町で一番高い建物の屋根まで煙に姿を変えて舞い上がる。自分には似合わない可愛らしい色の包み紙と、緩みっぱなしの顔を見られないようにするために。
*****
お題配布元:TOY様
★モテない男子編
・明らかに義理。でも嬉しい。
「うわぁぁぁぁぁ!」
煙の拳の一撃を食らった海賊が、派手に吹き飛ばされる。男の体はそのまま八百屋の店先に突っ込み、店頭に並んでいたじゃが芋の山を崩した。倒れ込んだその頭にじゃが芋の1つがコン、と落ちてきたのと同時に、男は気を失う。
ぱちぱちぱちぱち
勝負がつくと同時に背後から聞こえてきた拍手の音に振り返ると、そこには士官学校時代からの同期の姿があった。
「流石ね、スモーカー君。ヒナ感心」
「……何しに来た」
「あら、ご挨拶ね。どうせ読んでないだろうと思って、本部からわざわざ昇格の再通知を持って来てあげたっていうのに」
「ふん……野犬なんて持て余すモンを昇格させて何になるってんだ」
ヒナが手にした封筒をヒラヒラとさせる。俺はそれを奪い取ると、乱暴に封を切った。
「!」
「……何かいい事でも書いてあった?」
「ローグタウン……海賊王が処刑された町か……!」
通知書を持つ手が震える。これまでは本部付で、任務毎に対象の場所へと派遣されていたが、今回の昇格で大佐になり、管轄を与えられることになった。その管轄地が、かの海賊王、ゴールド・ロジャーの処刑された町であったことに、俺は興奮を禁じ得なかった。
「良かったじゃない。期待の表れかしらね? ヒナ嫉妬」
「お前だって昇格したんだろう、どこ付だ?」
「私は変わらず本部よ。どこかの基地でのんびりしたかったのだけれど。ヒナ残念」
「まァお前にはエリートへの道が約束されてるからな」
読み終わった通知書に葉巻の火を燃え移らせる。チリチリと端から消し炭になっていく通知書を見て、ヒナはちょっと! と声を荒げた。
「もう! 折角持って来たのに、なんて事するのよ!」
「用済みなんだからいいだろう。俺ァ無駄に書類を手元に置いとくのが好きじゃねェんだ」
その点、任務と並行して報告書などの処理もしている将官達には感心させられる。俺が煩わしげに顔を歪めてみせると、ヒナは溜息を吐いた。
「あらそう。そんなこと言う人には『これ』は渡せないわね」
「あァ?」
ヒナの言葉に振り返ると、その手には小さなピンク色の包みが乗っていた。
「本部に手紙と一緒に届いたのよ。貴方も隅に置けないわね、ヒナ驚愕」
ヒナは意地悪く笑いながら、包みと手紙を差し出す。渋々受け取って封筒の裏面を見ると、そこには万年筆で小さく名前が書かれていた。
(ネーナ……!)
「せっかく女の子が勇気を出して送ってきてくれたんだから、燃やしたりしちゃダメよ? ヒナ心配」
そういう色っぽいモンじゃねェよ、と言いながら、俺の頬は緩む。気にしてくれていたのか、と思うと、手の中の小さな包みを早く開けてみたくてたまらなくなった。
「わざわざ来てもらって悪かったな、ヒナ。勲章の授与式が終わったら奢ってやる」
「それは楽しみね。そのチョコの話も、詳しく聞かせて頂戴」
ふふ、と笑った同期に手を振って、俺はこの町で一番高い建物の屋根まで煙に姿を変えて舞い上がる。自分には似合わない可愛らしい色の包み紙と、緩みっぱなしの顔を見られないようにするために。
*****
お題配布元:TOY様
★モテない男子編
・明らかに義理。でも嬉しい。