問題児たちはオンボロ寮の合鍵が欲しい
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薄暗い談話室のテーブルの上に並んだ四つの合鍵を、カリム・アルアジームは不思議そうに覗き込んだ。金属特有の鈍い光を放つそれらを、指先で一つずつつついては音を鳴らしている。
「これ、学園長からもらったオンボロ寮の合鍵なんです。防犯のために信頼できる人に預けろって言われて、誰に預けるか今は検討中で」
「へえ、合鍵か! オレも貰っていいのか?」
カリムは躊躇なく満面の笑顔で手を差し出した。
彼にとってオンボロ寮は、いつでも温かく迎え入れてくれる心地よい場所。鍵をもらえば今まで以上に気軽に遊びに来られると疑いもしない。
「ちょっと待つんだゾ! カリムに鍵を渡したら、どんな良いことがあるんだ?」
グリムがテーブルの上に飛び乗り、カリムの手を遮るように鍵の上に覆い被さる。
「オレが鍵を持っていれば、いつでもスカラビアから美味いもんをたくさん持ってこれるぜ!」
「ふなっ! カリム、それなら毎日ここで宴を開いて、オレ様に美味いもんをたくさん食わせてくれるんだゾ!?」
グリムが目を輝かせて大喜びする。見たこともない美味い料理の山を想像しているのか、すでに口元が緩んでいた。カリムはあははと快活に笑った。
「おう、もちろんだ! 毎日だって構わないぜ! 鍵があればななしが留守の時でも、オレがジャミルを連れてごちそうの準備をしておけるだろ? 買い出しも仕込みもオレたちだけで先に済ませておけばお前たちが帰ってきてすぐに宴を始められるさ」
カリムは実に楽しそうに、具体的な宴の計画を語り始めた。サプライズで用意された豪華な食卓を想像してグリムはさらに声を弾ませる。
「それは最高なんだゾ! 毎日がパーティーだ!」
「だろ? だからその鍵をオレに一本預けてくれよ」
期待に満ちた目でまっすぐに見つめてくるカリムに対し、ななしは少し困ったように眉を下げた。
「うーん……。でも、やっぱりカリム先輩に預けるのは、ちょっと悩むんです」
「えっ、なんでだ!?」
カリムが驚いたように小さく首を傾げる。断られるとは全く予想していなかったようで、差し出した手を泳がせた。
「カリム先輩、ただでさえいつもジャミル先輩に『勝手に行動するな』って怒られてるじゃないですか。もしここで勝手に話を進めたら、またジャミル先輩に怒られません?」
ななしは、カリムがまた手痛いお説教を食らうのではないかと本気で心配そうな笑顔を浮かべた。ジャミルの胃にどれほどの激痛が走るか想像に難くない。
「あ……。確かに、ジャミルの奴ものすごく怒るかもな。前に勝手に宴を計画した時もめちゃくちゃ怒られたっけ……」
カリムは過去の記憶を思い出したのか、苦笑いを浮かべながら自身の頭を掻いた。
「それに、宴をするならスカラビア寮でやった方が、広くて道具も揃っていて絶対に楽しいですよ」
カリムは目を見開いたまま言葉を失った。
ジャミルの小言を案じられ、さらに自分たちが最高に楽しめる場所のことを真っ直ぐに気遣われたことに胸の奥が温かいもので満たされていく。
ただ便利だから、楽しいからという理由ではなく、自分の状況や気持ちを一番に考えてくれたことが何よりも嬉しかった。純粋な好意を受け止め、照れたように鼻の頭を掻いた。
「そっか……。オレのことをそんなに気遣ってくれてたんだな。言われてみれば、スカラビアでやった方がジャミルの料理も作りやすいし、みんなで大騒ぎできるもんな」
嬉しそうに口元を綻ばせる。
「いいよ、今は考え中なんだろ? 無理に今すぐくれとは言わないさ」
カリムは立ち上がると、弾けるような眩しい笑顔をななしに向けた。
「だけど、もし他の奴に鍵を渡すって決めたら、オレにも絶対に教えてくれよな?」
目に見える鍵は保留されたものの、カリムは約束を取り付けることで満足そうに笑った。検討段階の合鍵を巡る騒動は、光を宿した先輩の独占欲に確かな火をつけたようだった。
「これ、学園長からもらったオンボロ寮の合鍵なんです。防犯のために信頼できる人に預けろって言われて、誰に預けるか今は検討中で」
「へえ、合鍵か! オレも貰っていいのか?」
カリムは躊躇なく満面の笑顔で手を差し出した。
彼にとってオンボロ寮は、いつでも温かく迎え入れてくれる心地よい場所。鍵をもらえば今まで以上に気軽に遊びに来られると疑いもしない。
「ちょっと待つんだゾ! カリムに鍵を渡したら、どんな良いことがあるんだ?」
グリムがテーブルの上に飛び乗り、カリムの手を遮るように鍵の上に覆い被さる。
「オレが鍵を持っていれば、いつでもスカラビアから美味いもんをたくさん持ってこれるぜ!」
「ふなっ! カリム、それなら毎日ここで宴を開いて、オレ様に美味いもんをたくさん食わせてくれるんだゾ!?」
グリムが目を輝かせて大喜びする。見たこともない美味い料理の山を想像しているのか、すでに口元が緩んでいた。カリムはあははと快活に笑った。
「おう、もちろんだ! 毎日だって構わないぜ! 鍵があればななしが留守の時でも、オレがジャミルを連れてごちそうの準備をしておけるだろ? 買い出しも仕込みもオレたちだけで先に済ませておけばお前たちが帰ってきてすぐに宴を始められるさ」
カリムは実に楽しそうに、具体的な宴の計画を語り始めた。サプライズで用意された豪華な食卓を想像してグリムはさらに声を弾ませる。
「それは最高なんだゾ! 毎日がパーティーだ!」
「だろ? だからその鍵をオレに一本預けてくれよ」
期待に満ちた目でまっすぐに見つめてくるカリムに対し、ななしは少し困ったように眉を下げた。
「うーん……。でも、やっぱりカリム先輩に預けるのは、ちょっと悩むんです」
「えっ、なんでだ!?」
カリムが驚いたように小さく首を傾げる。断られるとは全く予想していなかったようで、差し出した手を泳がせた。
「カリム先輩、ただでさえいつもジャミル先輩に『勝手に行動するな』って怒られてるじゃないですか。もしここで勝手に話を進めたら、またジャミル先輩に怒られません?」
ななしは、カリムがまた手痛いお説教を食らうのではないかと本気で心配そうな笑顔を浮かべた。ジャミルの胃にどれほどの激痛が走るか想像に難くない。
「あ……。確かに、ジャミルの奴ものすごく怒るかもな。前に勝手に宴を計画した時もめちゃくちゃ怒られたっけ……」
カリムは過去の記憶を思い出したのか、苦笑いを浮かべながら自身の頭を掻いた。
「それに、宴をするならスカラビア寮でやった方が、広くて道具も揃っていて絶対に楽しいですよ」
カリムは目を見開いたまま言葉を失った。
ジャミルの小言を案じられ、さらに自分たちが最高に楽しめる場所のことを真っ直ぐに気遣われたことに胸の奥が温かいもので満たされていく。
ただ便利だから、楽しいからという理由ではなく、自分の状況や気持ちを一番に考えてくれたことが何よりも嬉しかった。純粋な好意を受け止め、照れたように鼻の頭を掻いた。
「そっか……。オレのことをそんなに気遣ってくれてたんだな。言われてみれば、スカラビアでやった方がジャミルの料理も作りやすいし、みんなで大騒ぎできるもんな」
嬉しそうに口元を綻ばせる。
「いいよ、今は考え中なんだろ? 無理に今すぐくれとは言わないさ」
カリムは立ち上がると、弾けるような眩しい笑顔をななしに向けた。
「だけど、もし他の奴に鍵を渡すって決めたら、オレにも絶対に教えてくれよな?」
目に見える鍵は保留されたものの、カリムは約束を取り付けることで満足そうに笑った。検討段階の合鍵を巡る騒動は、光を宿した先輩の独占欲に確かな火をつけたようだった。
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