歌詞シリーズ
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夕暮れ時の静かな室内は、オレンジ色の光が斜めに差し込んで宙に舞う小さな埃をきらきらと輝かせている。ソファに深く腰掛けたエースは手元のトランプを器用にシャッフルしながら、向かいに座るななしの顔を覗き込んだ。
「ねえ、ななし。さっきから何回同じページめくってんの」
「え? あ、ううん。ちょっと考え事」
ななしは慌てて手元の本に目を落とすが、文字はちっとも頭に入ってこない。窓から吹き込む風がエースの制服の襟元をわずかに揺らす。
「ふーん。考え事ねえ」
エースはトランプを机に置くと頬杖をついてななしとの距離を少しだけ詰める。その距離の近さにななしの心臓が小さく跳ねた。
「そんな熱心に教科書見つめられちゃうと、ちょっと妬けちゃうんだけど」
「もうっ、何言ってるの。普通に課題の復習をしてるだけだよ」
「へえ、普通ねえ〜」
エースはニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべる。
いつも通りの軽口。いつも通りの距離感。
それなのに今日に限ってはその声のトーンや自分を見つめる瞳の奥にある熱がいつもと違うように感じられて仕方がなかった。
部屋の時計がカチカチと静かに時を刻む。
日が沈み明かりを点けないままの室内は急速に夜の闇に喜びも悲しみも溶かし込んでいく。それと比例するように、二人の間の空気はじわじわと甘く熱を帯び始めていた。
「……なぁ、ななし」
「なに?」
「なんか今日のお前、いつもより静かじゃん」
エースがソファから移動しななしのすぐ隣に腰掛けた。
途端に彼の体温がダイレクトに伝わってくる。
ななしの心臓の鼓動は、もう誤魔化しようがないほどに速くなっていた。トクトクと肋骨の裏側がうるさいほどに脈打つ。
「そんなことないよ」
「嘘つけ。オレの顔、一回も見ようとしないし」
エースの指先がななしの顎に触れた。
ひんやりとした指先とは対照的に、触れられた肌の奥が熱くなるのがわかる。そのままゆっくりと顔を上向かせられると、暗がりの中でもはっきりと分かるほどエースの瞳がまっすぐにななしを捉えていた。
「やっと目が合った」
「……エース、近いよ」
「近くないと、お前が何考えてるか分かんないだろ」
エースの息がななしの唇のわずか数センチ上で触れ合う。
お互いの呼吸が混ざり合うような感覚にななしは指先まで痺れるような錯覚を覚えた。
「オレさ、結構前から限界なんだよね」
「なにが?」
「気づいてないフリしてんのか、マジで鈍いのか分かんないけどさ。……オレななしのこと、そういう目でしか見てないから」
エースの声はいつもの軽快さを完全に失っていた。低く少しだけ掠れたその声がななしの鼓膜を震わせ、そのまま胸の奥深くまで染み込んでいく。
部屋にはもう窓から差し込む月光しか残されていない。
青白い光に照らされたエースの表情はどこか切なげで、それでいてひどく雄弁にななしへの独占欲を物語っていた。
「ななし、オレさ。お前が他の奴と楽しそうに話してるだけで胸の奥がめちゃくちゃに掻き乱されるんだよね」
「エース、それって……」
エースの手が顎から頬へと滑り、そのままななしの髪を優しく梳き上げる。その手のひらの熱さがななしの内面に渦巻く感情をさらに濃密なものへと変えていく。
ななしの頭の中はエースの存在だけで満たされていた。
彼の言葉、彼の温度、彼の匂い。そのすべてが自分の身体の細胞ひとつひとつに刻み込まれていくような濃烈な一体感。
「ななしの全部が欲しい。オレだけのものになってよ、ななし」
エースの瞳が光を反射して深く輝く。
ななしはもう何も言葉を返すことができなかった。
ただ彼の胸元にそっと手を添えることしかできない。
その手のひらから伝わるエースの心臓の鼓動もまた、自分と同じように激しく熱く脈打っていた。
「……へぇ、拒絶しないんだ。じゃあ期待していいわけ?」
エースの顔がさらに近づく。
二人の影が月明かりの中で完全に一つに重なり合おうとしていた。
「エース、わたし――」
「今さら止めてなんて言っても、もう絶対に離してあげないから」
言葉が終わるのを待たずに熱い唇が重ねられた。
それは驚くほど柔らかく貪るような強さを含んだ口づけ。
ななしの唇がわずかに開いた隙を突くように、深い熱が容赦なく侵入してくる。
脳の奥がジリジリと痺れ、正常な思考が音を立てて崩れていく。
ふざけ合っていた日々の記憶が、この一瞬の濃密な熱によって甘いジャムのように溶かされていくようだった。
一度離れた唇がすぐにまた名残惜しそうに重ねられる。
今度はさっきよりも深く確かめるような角度で。
エースの手がななしの腰へと回り、引き寄せるように強く力が込められた。密着した身体の衣服越しに伝わる彼の体温は驚くほどに熱い。
心臓の音がどちらのものか分からないほどに激しいリズムで重なり合い、室内の静寂に木霊している。
「ん……っ、エース……」
「……はぁ、ななし。お前そんな声出せんの、ずるいって。……もっと聞かせてよ」
エースは唇を離すと、そのまま這わせるようにしてななしの耳元へ、そして首筋へと甘く噛みつくような口づけを落としていく。
触れられるたびにななしの背筋をゾクゾクとした震えが駆け抜けた。
指先が今度はななしのシャツの裾からそっと忍び込み、剥き出しの肌へと直接触れる。ひんやりとした外気に晒されていた肌にエースの熱い掌が密着した瞬間、電流が走ったような衝撃にななしは思わず彼の肩を強く掴んだ。
「オレだけで頭いっぱいにしてよ」
「エース……っ」
「お前の口からオレの名前が聞こえるたびにさ、胸の奥がめちゃくちゃに熱くなって、おかしくなりそう」
エースの瞳はこれまで見たこともないほどに深く、暗い欲望の色を帯びていた。
部屋に満ちる空気は完全に二人の甘い体温と吐息で飽和していた。エースは再びななしの顔を両手で挟み込むと、親指でその濡れた唇をゆっくりとなぞる。
その仕草一つをとっても、壊れ物を扱うような優しさと決して逃がさないという独占欲が同居していた。
「……なぁ、ななし。お前の初めても特別も、全部オレがもらうから。他の誰にも指一本触れさせない」
「うん……」
「返事良すぎ。……これ、マジで引き返せないからね?」
エースは満足げに笑うとななしを包み込むようにしてソファへと押し倒した。視界が大きく傾き、彼の広い肩と月明かりを背負ったシルエットが天井を覆い隠す。
完全に逃げ場をなくされたその空間で、ななしはただエースが紡ぐ熱い愛の言葉と途切れることのない口づけに自らのすべてを委ねて溶けていった。
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Song by Novelbright
「ねえ、ななし。さっきから何回同じページめくってんの」
「え? あ、ううん。ちょっと考え事」
ななしは慌てて手元の本に目を落とすが、文字はちっとも頭に入ってこない。窓から吹き込む風がエースの制服の襟元をわずかに揺らす。
「ふーん。考え事ねえ」
エースはトランプを机に置くと頬杖をついてななしとの距離を少しだけ詰める。その距離の近さにななしの心臓が小さく跳ねた。
「そんな熱心に教科書見つめられちゃうと、ちょっと妬けちゃうんだけど」
「もうっ、何言ってるの。普通に課題の復習をしてるだけだよ」
「へえ、普通ねえ〜」
エースはニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべる。
いつも通りの軽口。いつも通りの距離感。
それなのに今日に限ってはその声のトーンや自分を見つめる瞳の奥にある熱がいつもと違うように感じられて仕方がなかった。
部屋の時計がカチカチと静かに時を刻む。
日が沈み明かりを点けないままの室内は急速に夜の闇に喜びも悲しみも溶かし込んでいく。それと比例するように、二人の間の空気はじわじわと甘く熱を帯び始めていた。
「……なぁ、ななし」
「なに?」
「なんか今日のお前、いつもより静かじゃん」
エースがソファから移動しななしのすぐ隣に腰掛けた。
途端に彼の体温がダイレクトに伝わってくる。
ななしの心臓の鼓動は、もう誤魔化しようがないほどに速くなっていた。トクトクと肋骨の裏側がうるさいほどに脈打つ。
「そんなことないよ」
「嘘つけ。オレの顔、一回も見ようとしないし」
エースの指先がななしの顎に触れた。
ひんやりとした指先とは対照的に、触れられた肌の奥が熱くなるのがわかる。そのままゆっくりと顔を上向かせられると、暗がりの中でもはっきりと分かるほどエースの瞳がまっすぐにななしを捉えていた。
「やっと目が合った」
「……エース、近いよ」
「近くないと、お前が何考えてるか分かんないだろ」
エースの息がななしの唇のわずか数センチ上で触れ合う。
お互いの呼吸が混ざり合うような感覚にななしは指先まで痺れるような錯覚を覚えた。
「オレさ、結構前から限界なんだよね」
「なにが?」
「気づいてないフリしてんのか、マジで鈍いのか分かんないけどさ。……オレななしのこと、そういう目でしか見てないから」
エースの声はいつもの軽快さを完全に失っていた。低く少しだけ掠れたその声がななしの鼓膜を震わせ、そのまま胸の奥深くまで染み込んでいく。
部屋にはもう窓から差し込む月光しか残されていない。
青白い光に照らされたエースの表情はどこか切なげで、それでいてひどく雄弁にななしへの独占欲を物語っていた。
「ななし、オレさ。お前が他の奴と楽しそうに話してるだけで胸の奥がめちゃくちゃに掻き乱されるんだよね」
「エース、それって……」
エースの手が顎から頬へと滑り、そのままななしの髪を優しく梳き上げる。その手のひらの熱さがななしの内面に渦巻く感情をさらに濃密なものへと変えていく。
ななしの頭の中はエースの存在だけで満たされていた。
彼の言葉、彼の温度、彼の匂い。そのすべてが自分の身体の細胞ひとつひとつに刻み込まれていくような濃烈な一体感。
「ななしの全部が欲しい。オレだけのものになってよ、ななし」
エースの瞳が光を反射して深く輝く。
ななしはもう何も言葉を返すことができなかった。
ただ彼の胸元にそっと手を添えることしかできない。
その手のひらから伝わるエースの心臓の鼓動もまた、自分と同じように激しく熱く脈打っていた。
「……へぇ、拒絶しないんだ。じゃあ期待していいわけ?」
エースの顔がさらに近づく。
二人の影が月明かりの中で完全に一つに重なり合おうとしていた。
「エース、わたし――」
「今さら止めてなんて言っても、もう絶対に離してあげないから」
言葉が終わるのを待たずに熱い唇が重ねられた。
それは驚くほど柔らかく貪るような強さを含んだ口づけ。
ななしの唇がわずかに開いた隙を突くように、深い熱が容赦なく侵入してくる。
脳の奥がジリジリと痺れ、正常な思考が音を立てて崩れていく。
ふざけ合っていた日々の記憶が、この一瞬の濃密な熱によって甘いジャムのように溶かされていくようだった。
一度離れた唇がすぐにまた名残惜しそうに重ねられる。
今度はさっきよりも深く確かめるような角度で。
エースの手がななしの腰へと回り、引き寄せるように強く力が込められた。密着した身体の衣服越しに伝わる彼の体温は驚くほどに熱い。
心臓の音がどちらのものか分からないほどに激しいリズムで重なり合い、室内の静寂に木霊している。
「ん……っ、エース……」
「……はぁ、ななし。お前そんな声出せんの、ずるいって。……もっと聞かせてよ」
エースは唇を離すと、そのまま這わせるようにしてななしの耳元へ、そして首筋へと甘く噛みつくような口づけを落としていく。
触れられるたびにななしの背筋をゾクゾクとした震えが駆け抜けた。
指先が今度はななしのシャツの裾からそっと忍び込み、剥き出しの肌へと直接触れる。ひんやりとした外気に晒されていた肌にエースの熱い掌が密着した瞬間、電流が走ったような衝撃にななしは思わず彼の肩を強く掴んだ。
「オレだけで頭いっぱいにしてよ」
「エース……っ」
「お前の口からオレの名前が聞こえるたびにさ、胸の奥がめちゃくちゃに熱くなって、おかしくなりそう」
エースの瞳はこれまで見たこともないほどに深く、暗い欲望の色を帯びていた。
部屋に満ちる空気は完全に二人の甘い体温と吐息で飽和していた。エースは再びななしの顔を両手で挟み込むと、親指でその濡れた唇をゆっくりとなぞる。
その仕草一つをとっても、壊れ物を扱うような優しさと決して逃がさないという独占欲が同居していた。
「……なぁ、ななし。お前の初めても特別も、全部オレがもらうから。他の誰にも指一本触れさせない」
「うん……」
「返事良すぎ。……これ、マジで引き返せないからね?」
エースは満足げに笑うとななしを包み込むようにしてソファへと押し倒した。視界が大きく傾き、彼の広い肩と月明かりを背負ったシルエットが天井を覆い隠す。
完全に逃げ場をなくされたその空間で、ななしはただエースが紡ぐ熱い愛の言葉と途切れることのない口づけに自らのすべてを委ねて溶けていった。
---
Song by Novelbright
