不定期開催!オンボロ寮・美食研究会
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湿り気を帯びた夜風がオンボロ寮の窓を叩く。
今夜のキッチンはいつもとは違う、どこか香ばしくも軽やかな油の音に包まれていた。
「ふなっ! ななし、今夜のは見た目が真っ白なんだゾ! これ本当に火が通ってるのか?」
グリムが首を傾げながら、揚げ鍋を覗き込もうとする。ななしは、菜箸から伝わる振動で、鶏肉の内部の水分が抜ける瞬間を見極めていた。
「大丈夫。これは片栗粉じゃなくて、もっと特別なものを使ってるんだから。魔法で衣をサクサクにする代わりに、異世界の知恵を借りたんだよ」
本日のメニュー
ザクザク新食感!特製おかき衣の塩唐揚げ
【材料(約15個分)】
・鶏もも肉:600g
・下味:酒(大さじ1)、白だし(大さじ2)、すりおろし生姜(1片分)、ごま油(小さじ1)
★特製・衣
・おかき:1袋(麺棒で粉々に砕いたもの)
・コーンスターチ:大さじ3
・レモン・岩塩:お好みで
【作り方】
①鶏肉を下味にしっかり漬け込み、肉の繊維を柔らかくしておく。
②市販の「おかき」を袋の上から叩き潰し、粗めの粉状にする。
③コーンスターチを混ぜたおかきの粉を、肉にぎゅっと押し付けるようにして纏わせる。
④低温でじっくり揚げた後、最後に強火にして一気に表面を焼き固める。
「完成! 『おかき衣の塩唐揚げ』だよ。ソースなし、塩だけで勝負!」
「ふなー! 表面がデコボコしてて、すっげー硬そうなんだゾ!」
グリムがフォークを構えた、その時。
「おや……。今夜のオンボロ寮は、いつにも増して好奇心を刺激する音をさせていますね。モストロ・ラウンジの厨房でも、これほど軽快な音は響きませんよ」
影のように音もなく現れたのは、アズール・アーシェングロット。眼鏡を指先で押し上げ、彼はその鋭い視線を山盛りにされた「白い唐揚げ」に向けた。
「アズール先輩、こんばんは」
「……ななしさん、その唐揚げ、衣に何を使いました? 僕の知るレシピとは、明らかに油の照りや衣の質感が、僕の知るレシピとは明らかに違いますが」
「ふなー! アズールなんかには教えないんだゾ! これは美食研究会の企業秘密なんだゾ!」
「おやおや。ならば僕が実際に食べて、その正体を暴かせてもらいましょうか」
「こいつ許可してねえのに箸持ってるんだゾ」
「まあまあ、アズール先輩、冷めないうちにどうぞ」
アズールは促されることもなく椅子に座ると、優雅な所作で箸を取った。そして、最もザクザクしていそうな一つを選び、口へ運ぶ。
――ガリッ!!!
静かな食堂に、およそ唐揚げとは思えないほどの硬質な音が響いた。
「…………ッ!?」
アズールが目を見開く。咀嚼するたびに、食堂中に快音が響き渡る。
「……何ですかこの、脳を直接揺さぶるような食感は! 衣自体に香ばしい醤油の風味と米の旨味がある……。そして、中の肉は驚くほど瑞々しい。……これは、まさか……米菓子を砕いて衣にしたのですか!?」
「正解です!」
「普通の衣と違って、おかきがお肉にしっかり張り付いてて、噛めば噛むほど米の香ばしさと肉汁が混ざり合って……もう、たまらないんだゾ!」
「……。信じられませんね。安価な菓子を、これほどまでに洗練された食感の武器に変えるとは……。あなたの発想には、いつも利益の匂い……いえ、驚きを感じます」
アズールは次々と箸を動かした。いつもは慈悲深き海の魔女のように慎重な彼が、今はただ、新しい味に魅了された一人の学生だった。
「ふなっ! アズール、子分の特製唐揚げを独占するんじゃねー! オレ様の分が減っちまうんだゾ!」
「グリムさん、美味しいものに独占はつきものです。……ななしさん、このレシピをモストロ・ラウンジで……いえ、今は余計な話はやめましょう。この食感、僕の計算では、あと三つは食べないと解析しきれません」
「あはは、アズール先輩、今日はカロリー気にせず食べてくださいね」
「えぇ。……ですが、あまり僕を甘やかさないでください」
アズールは最後の一つを惜しそうに飲み込むと、満足げに微笑んで夜の闇へと消えていった。
「アイツ、めちゃくちゃ食いやがったんだゾ!」
「それだけ美味しかったってことだよね。グリムは今日の新作唐揚げ、どうだった?」
「今日も子分の料理は最高に美味かったんだゾ!」
オンボロ寮のキッチンには、今夜も明るい笑い声が響いていた。
今夜のキッチンはいつもとは違う、どこか香ばしくも軽やかな油の音に包まれていた。
「ふなっ! ななし、今夜のは見た目が真っ白なんだゾ! これ本当に火が通ってるのか?」
グリムが首を傾げながら、揚げ鍋を覗き込もうとする。ななしは、菜箸から伝わる振動で、鶏肉の内部の水分が抜ける瞬間を見極めていた。
「大丈夫。これは片栗粉じゃなくて、もっと特別なものを使ってるんだから。魔法で衣をサクサクにする代わりに、異世界の知恵を借りたんだよ」
本日のメニュー
ザクザク新食感!特製おかき衣の塩唐揚げ
【材料(約15個分)】
・鶏もも肉:600g
・下味:酒(大さじ1)、白だし(大さじ2)、すりおろし生姜(1片分)、ごま油(小さじ1)
★特製・衣
・おかき:1袋(麺棒で粉々に砕いたもの)
・コーンスターチ:大さじ3
・レモン・岩塩:お好みで
【作り方】
①鶏肉を下味にしっかり漬け込み、肉の繊維を柔らかくしておく。
②市販の「おかき」を袋の上から叩き潰し、粗めの粉状にする。
③コーンスターチを混ぜたおかきの粉を、肉にぎゅっと押し付けるようにして纏わせる。
④低温でじっくり揚げた後、最後に強火にして一気に表面を焼き固める。
「完成! 『おかき衣の塩唐揚げ』だよ。ソースなし、塩だけで勝負!」
「ふなー! 表面がデコボコしてて、すっげー硬そうなんだゾ!」
グリムがフォークを構えた、その時。
「おや……。今夜のオンボロ寮は、いつにも増して好奇心を刺激する音をさせていますね。モストロ・ラウンジの厨房でも、これほど軽快な音は響きませんよ」
影のように音もなく現れたのは、アズール・アーシェングロット。眼鏡を指先で押し上げ、彼はその鋭い視線を山盛りにされた「白い唐揚げ」に向けた。
「アズール先輩、こんばんは」
「……ななしさん、その唐揚げ、衣に何を使いました? 僕の知るレシピとは、明らかに油の照りや衣の質感が、僕の知るレシピとは明らかに違いますが」
「ふなー! アズールなんかには教えないんだゾ! これは美食研究会の企業秘密なんだゾ!」
「おやおや。ならば僕が実際に食べて、その正体を暴かせてもらいましょうか」
「こいつ許可してねえのに箸持ってるんだゾ」
「まあまあ、アズール先輩、冷めないうちにどうぞ」
アズールは促されることもなく椅子に座ると、優雅な所作で箸を取った。そして、最もザクザクしていそうな一つを選び、口へ運ぶ。
――ガリッ!!!
静かな食堂に、およそ唐揚げとは思えないほどの硬質な音が響いた。
「…………ッ!?」
アズールが目を見開く。咀嚼するたびに、食堂中に快音が響き渡る。
「……何ですかこの、脳を直接揺さぶるような食感は! 衣自体に香ばしい醤油の風味と米の旨味がある……。そして、中の肉は驚くほど瑞々しい。……これは、まさか……米菓子を砕いて衣にしたのですか!?」
「正解です!」
「普通の衣と違って、おかきがお肉にしっかり張り付いてて、噛めば噛むほど米の香ばしさと肉汁が混ざり合って……もう、たまらないんだゾ!」
「……。信じられませんね。安価な菓子を、これほどまでに洗練された食感の武器に変えるとは……。あなたの発想には、いつも利益の匂い……いえ、驚きを感じます」
アズールは次々と箸を動かした。いつもは慈悲深き海の魔女のように慎重な彼が、今はただ、新しい味に魅了された一人の学生だった。
「ふなっ! アズール、子分の特製唐揚げを独占するんじゃねー! オレ様の分が減っちまうんだゾ!」
「グリムさん、美味しいものに独占はつきものです。……ななしさん、このレシピをモストロ・ラウンジで……いえ、今は余計な話はやめましょう。この食感、僕の計算では、あと三つは食べないと解析しきれません」
「あはは、アズール先輩、今日はカロリー気にせず食べてくださいね」
「えぇ。……ですが、あまり僕を甘やかさないでください」
アズールは最後の一つを惜しそうに飲み込むと、満足げに微笑んで夜の闇へと消えていった。
「アイツ、めちゃくちゃ食いやがったんだゾ!」
「それだけ美味しかったってことだよね。グリムは今日の新作唐揚げ、どうだった?」
「今日も子分の料理は最高に美味かったんだゾ!」
オンボロ寮のキッチンには、今夜も明るい笑い声が響いていた。
