不定期開催!オンボロ寮・美食研究会
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オンボロ寮の食堂に漂うのは、鼻を突くような香ばしい醤油の焼ける匂いと、抗いがたい「脂」の甘い香りだ。
「ふなっ! ななし、このジュージューいう音、もう我慢の限界なんだゾ!」
グリムがテーブルの上で身悶えしている。目の前のななしは、フライパンの上でこんがりと焼き色のついた「何か」を丁寧にひっくり返していた。
「待って。この余熱でチーズが溶ける瞬間が一番美味しいんだから」
本日のメニュー
キャベツが見えない!肉厚ポークのチーズミルフィーユカツ
【材料(2人分)】
・豚ロース薄切り肉:12枚(たっぷり!)
・スライスチーズ:3枚
・キャベツ:2枚(極細の千切りにして、塩揉みして水分を完全に絞り、肉の間に薄く広げる)
・塩・コショウ:少々
・小麦粉、溶き卵、パン粉:適量
・バター:10g(焼き上げの仕上げ用)
【作り方】
①豚肉を2枚並べ、その上に水分を絞りきって「カサ」を減らしたキャベツを薄く敷く。
②さらに肉を重ね、チーズを乗せ、また肉を重ね……という工程を繰り返し、分厚い「肉の層」を作る。
③衣をしっかりつけ、フライパンで少なめの油で揚げ焼きにする。
④最後にバターを投入し、その泡で表面をコーティングすることで肉の香ばしさを最大級に引き出す。
「完成! 『肉厚ポークのチーズミルフィーユカツ』だよ」
「おおお! 厚みがオレ様の顔くらいあるんだゾ! いただくんだゾーー!!」
グリムがまさに食らいつこうとした、その時。
「……おい。そこで美味そうなもん食おうとしてんのは、どこのどいつだ?」
気怠げで、しかし獣のような鋭さを持った声。
キッチンの入り口に、サバナクロー寮の寮長レオナ・キングスカラーが立っていた。
「レオナ先輩! また匂いにつられて来たんですか?」
「……あ? 散歩してたら鼻がひん曲がるほど肉の匂いがしたんだよ。……おい、ななし。それはなんだ。見たところ、それなりにまともな肉のようだが」
レオナは足音もなく近づくと、ななしから皿を奪うようにして椅子に腰を下ろした。
「これはミルフィーユカツです。薄いお肉を何層も重ねて作ったから、柔らかくてジューシーですよ。レオナ先輩も一口食べます?」
「……。草が入ってねぇなら、食ってやる」
レオナはナイフも使わず、フォークで豪快にカツの塊を突き刺すと、そのまま口へ運んだ。サクッ、という完璧な咀嚼音と共に肉汁ととろけたチーズがあふれ出す。
「…………」
レオナは無言で咀嚼を続け、ゴクリと喉を鳴らした。
「……チーズの塩気も、この肉の厚みに負けてねぇ。……ななし、お前がこれを作ったのか」
「そうですよ。お肉を一枚ずつ重ねて、隙間がないように空気を抜いて……。結構、手間がかかってるんですから」
「ふなー! レオナ、独り占めはずるいんだゾ! オレ様の分もよこすんだゾ!」
グリムが抗議するが、レオナは二口目、三口目と止まらない。しかし、半分ほど食べたところで、レオナの瞳がすっと細まった。
「……おい。この肉の層の間に、妙にシャキシャキするもんがあるな。……これ、野菜じゃねぇだろうな」
「……それは、お肉の甘みを引き立てるための特別な繊維です」
「……白々しい嘘をつくな。これはキャベツだろ」
レオナはフォークを置き、ななしを睨み据えた。ななしは冷や汗をかきながらも、明るく言い返す。
「でも、レオナ先輩。そのキャベツ、お肉の脂を吸ってて自分でも気づかないうちに半分以上食べちゃってましたよね? 美味しくなかったですか?」
「……。味は悪くねぇ。だが、俺は草は食わねぇ主義なんだよ」
「レオナ先輩、野菜を避けてたら栄養偏りますよ」
「……フン。うるせえ」
レオナは毒づきながらも、残りのカツをすべて口に放り込んだ。文句を言いながらも皿を空にする。それが彼なりの「最高の賛辞」であることをななしは知っていた。
「……あー、食った。……ななし、次はこれにもっとガツンと来るスパイスを混ぜろ。野菜の気配を完全に消すくらいにな」
「了解です。次はもっとレオナ先輩好みの肉料理を研究しておきますね」
レオナは満足げに欠伸を一つ漏らすと、椅子から立ち上がった。
「……また食いに来る」
レオナはそう言い残し、闇の中に消えていった。
「ふなー! アイツ、結局ほとんど食いやがったんだゾ!」
「あはは、本当だね。……よし、グリム。次はレオナ先輩も『これなら草が入っててもいい』って言うくらいの、最強の肉料理を考えよう!」
魔法は使えないけれど、自分の手で誰かの嫌いを美味しいに変える。オンボロ寮のキッチンには、今夜も温かい幸せの香りが満ちていた。
「ふなっ! ななし、このジュージューいう音、もう我慢の限界なんだゾ!」
グリムがテーブルの上で身悶えしている。目の前のななしは、フライパンの上でこんがりと焼き色のついた「何か」を丁寧にひっくり返していた。
「待って。この余熱でチーズが溶ける瞬間が一番美味しいんだから」
本日のメニュー
キャベツが見えない!肉厚ポークのチーズミルフィーユカツ
【材料(2人分)】
・豚ロース薄切り肉:12枚(たっぷり!)
・スライスチーズ:3枚
・キャベツ:2枚(極細の千切りにして、塩揉みして水分を完全に絞り、肉の間に薄く広げる)
・塩・コショウ:少々
・小麦粉、溶き卵、パン粉:適量
・バター:10g(焼き上げの仕上げ用)
【作り方】
①豚肉を2枚並べ、その上に水分を絞りきって「カサ」を減らしたキャベツを薄く敷く。
②さらに肉を重ね、チーズを乗せ、また肉を重ね……という工程を繰り返し、分厚い「肉の層」を作る。
③衣をしっかりつけ、フライパンで少なめの油で揚げ焼きにする。
④最後にバターを投入し、その泡で表面をコーティングすることで肉の香ばしさを最大級に引き出す。
「完成! 『肉厚ポークのチーズミルフィーユカツ』だよ」
「おおお! 厚みがオレ様の顔くらいあるんだゾ! いただくんだゾーー!!」
グリムがまさに食らいつこうとした、その時。
「……おい。そこで美味そうなもん食おうとしてんのは、どこのどいつだ?」
気怠げで、しかし獣のような鋭さを持った声。
キッチンの入り口に、サバナクロー寮の寮長レオナ・キングスカラーが立っていた。
「レオナ先輩! また匂いにつられて来たんですか?」
「……あ? 散歩してたら鼻がひん曲がるほど肉の匂いがしたんだよ。……おい、ななし。それはなんだ。見たところ、それなりにまともな肉のようだが」
レオナは足音もなく近づくと、ななしから皿を奪うようにして椅子に腰を下ろした。
「これはミルフィーユカツです。薄いお肉を何層も重ねて作ったから、柔らかくてジューシーですよ。レオナ先輩も一口食べます?」
「……。草が入ってねぇなら、食ってやる」
レオナはナイフも使わず、フォークで豪快にカツの塊を突き刺すと、そのまま口へ運んだ。サクッ、という完璧な咀嚼音と共に肉汁ととろけたチーズがあふれ出す。
「…………」
レオナは無言で咀嚼を続け、ゴクリと喉を鳴らした。
「……チーズの塩気も、この肉の厚みに負けてねぇ。……ななし、お前がこれを作ったのか」
「そうですよ。お肉を一枚ずつ重ねて、隙間がないように空気を抜いて……。結構、手間がかかってるんですから」
「ふなー! レオナ、独り占めはずるいんだゾ! オレ様の分もよこすんだゾ!」
グリムが抗議するが、レオナは二口目、三口目と止まらない。しかし、半分ほど食べたところで、レオナの瞳がすっと細まった。
「……おい。この肉の層の間に、妙にシャキシャキするもんがあるな。……これ、野菜じゃねぇだろうな」
「……それは、お肉の甘みを引き立てるための特別な繊維です」
「……白々しい嘘をつくな。これはキャベツだろ」
レオナはフォークを置き、ななしを睨み据えた。ななしは冷や汗をかきながらも、明るく言い返す。
「でも、レオナ先輩。そのキャベツ、お肉の脂を吸ってて自分でも気づかないうちに半分以上食べちゃってましたよね? 美味しくなかったですか?」
「……。味は悪くねぇ。だが、俺は草は食わねぇ主義なんだよ」
「レオナ先輩、野菜を避けてたら栄養偏りますよ」
「……フン。うるせえ」
レオナは毒づきながらも、残りのカツをすべて口に放り込んだ。文句を言いながらも皿を空にする。それが彼なりの「最高の賛辞」であることをななしは知っていた。
「……あー、食った。……ななし、次はこれにもっとガツンと来るスパイスを混ぜろ。野菜の気配を完全に消すくらいにな」
「了解です。次はもっとレオナ先輩好みの肉料理を研究しておきますね」
レオナは満足げに欠伸を一つ漏らすと、椅子から立ち上がった。
「……また食いに来る」
レオナはそう言い残し、闇の中に消えていった。
「ふなー! アイツ、結局ほとんど食いやがったんだゾ!」
「あはは、本当だね。……よし、グリム。次はレオナ先輩も『これなら草が入っててもいい』って言うくらいの、最強の肉料理を考えよう!」
魔法は使えないけれど、自分の手で誰かの嫌いを美味しいに変える。オンボロ寮のキッチンには、今夜も温かい幸せの香りが満ちていた。
