TRIANGLE
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サバナクロー寮を後にしてからも、隣を歩くマレウスから放たれるオーラは相変わらず圧倒的だった。レオナとの睨み合いから一転、夜の闇に溶け込むようなマレウスの魔力が、静かにななしを包み込んでいく。
「……ようやく落ち着いたな」
敷地を完全に抜けたあたりで、マレウスが小さく息を吐いた。先ほどまでの冷徹な表情は消え、いつもの穏やかで、どこか浮世離れした微笑みに戻っている。
「本当に、心臓が止まるかと思った……。ツノ太郎、いくら何でも他の寮のラウンジにあんな風に乗り込むのは物騒すぎる」
「お前がなかなか来ないから心配した ……それにキングスカラーが、お前の手首を強引に掴んでいるのが見えたからな。つい、感情的になってしまった」
マレウスは歩調をななしに合わせ、ゆっくりと歩きながら瞳を細めた。
「僕は、自分の友人を蔑ろにされるのが、酷く不愉快だ」
耳元に届く低く心地よい声。
レオナの強引な距離の詰め方とは違い、マレウスの言葉はまるで絹のように滑らかで、それでいて確実な重みを持ってななしの心を揺さぶってくる。
「ふな〜……サバナクローは暑苦しかったけど、こっちはこっちで寒気がするんだゾ……」
グリムがななしの腕の中でブルブルと身震いをする。
「僕の隣が嫌なら、帰ってツナ缶とやらを食べていても構わないのだぞ?」
「な、何言ってるんだゾ! 子分を置いていけるわけねぇんだゾ!」
グリムはそう言い張りつつも、マレウスの視線に震えななしの胸元に深く顔を埋めた。
「ふふ、健気なことだ」
マレウスはクスクスと笑うと、すっとななしの方へ手を伸ばした。
その長い指先が、先ほどまでレオナが手荒にクシャクシャとかき回していたななしの髪に、そっと触れる。
「あ……」
「……あいつに、手酷く扱われたのではないか? 髪が乱れているぞ、ヒトの子」
マレウスの指先が、まるで壊れ物を扱うかのように優しく髪を梳いていく。レオナの体温が高く大きな手で強引に引き寄せられた感覚がまだ肌に残っている中で、マレウスの冷たくて繊細な指先の感触が、それを上書きするように優しく、けれど執拗に触れてくる。
「っ、大丈夫! レオナさんはいつもあんな感じだし、別に痛くは……」
「僕なら、お前をそんな風に手荒に扱ったりはしない」
マレウスの動きが止まり、その真っ直ぐな瞳がななしを射抜いた。
「キングスカラーはお前を最初に捕まえたと言ったようだが……そんなものは関係ない。……違うか?」
圧倒的な絶対強者としての余裕と、その裏にあるななしへの強い執着。レオナの独占欲とはまた違う、静かで決して逃げ出せないような深い囲い込みを感じて、ななしは再び顔が熱くなるのを感じた。
「あの、二人とも……私を何だと思ってるんですか……」
「なんだ、と言われても困るな。お前は僕の、特別に大切なヒトの子だ」
マレウスは満足げに微笑むと、今度はななしの手の甲にそっと自分の手を重ねた。
「さあ、夜はまだ始まったばかりだ。騒がしい猛獣の檻のことは忘れて、僕との時間を楽しもう」
月明かりに照らされたマレウスの美貌が妖しく、そして優しくななしを誘う。嵐のような時間の後に待ち受けていたのは、底なしの深い夜の沼だった。
「……ようやく落ち着いたな」
敷地を完全に抜けたあたりで、マレウスが小さく息を吐いた。先ほどまでの冷徹な表情は消え、いつもの穏やかで、どこか浮世離れした微笑みに戻っている。
「本当に、心臓が止まるかと思った……。ツノ太郎、いくら何でも他の寮のラウンジにあんな風に乗り込むのは物騒すぎる」
「お前がなかなか来ないから心配した ……それにキングスカラーが、お前の手首を強引に掴んでいるのが見えたからな。つい、感情的になってしまった」
マレウスは歩調をななしに合わせ、ゆっくりと歩きながら瞳を細めた。
「僕は、自分の友人を蔑ろにされるのが、酷く不愉快だ」
耳元に届く低く心地よい声。
レオナの強引な距離の詰め方とは違い、マレウスの言葉はまるで絹のように滑らかで、それでいて確実な重みを持ってななしの心を揺さぶってくる。
「ふな〜……サバナクローは暑苦しかったけど、こっちはこっちで寒気がするんだゾ……」
グリムがななしの腕の中でブルブルと身震いをする。
「僕の隣が嫌なら、帰ってツナ缶とやらを食べていても構わないのだぞ?」
「な、何言ってるんだゾ! 子分を置いていけるわけねぇんだゾ!」
グリムはそう言い張りつつも、マレウスの視線に震えななしの胸元に深く顔を埋めた。
「ふふ、健気なことだ」
マレウスはクスクスと笑うと、すっとななしの方へ手を伸ばした。
その長い指先が、先ほどまでレオナが手荒にクシャクシャとかき回していたななしの髪に、そっと触れる。
「あ……」
「……あいつに、手酷く扱われたのではないか? 髪が乱れているぞ、ヒトの子」
マレウスの指先が、まるで壊れ物を扱うかのように優しく髪を梳いていく。レオナの体温が高く大きな手で強引に引き寄せられた感覚がまだ肌に残っている中で、マレウスの冷たくて繊細な指先の感触が、それを上書きするように優しく、けれど執拗に触れてくる。
「っ、大丈夫! レオナさんはいつもあんな感じだし、別に痛くは……」
「僕なら、お前をそんな風に手荒に扱ったりはしない」
マレウスの動きが止まり、その真っ直ぐな瞳がななしを射抜いた。
「キングスカラーはお前を最初に捕まえたと言ったようだが……そんなものは関係ない。……違うか?」
圧倒的な絶対強者としての余裕と、その裏にあるななしへの強い執着。レオナの独占欲とはまた違う、静かで決して逃げ出せないような深い囲い込みを感じて、ななしは再び顔が熱くなるのを感じた。
「あの、二人とも……私を何だと思ってるんですか……」
「なんだ、と言われても困るな。お前は僕の、特別に大切なヒトの子だ」
マレウスは満足げに微笑むと、今度はななしの手の甲にそっと自分の手を重ねた。
「さあ、夜はまだ始まったばかりだ。騒がしい猛獣の檻のことは忘れて、僕との時間を楽しもう」
月明かりに照らされたマレウスの美貌が妖しく、そして優しくななしを誘う。嵐のような時間の後に待ち受けていたのは、底なしの深い夜の沼だった。
