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ようやくあの不快な下腹部の痛みから完全に解放され、ななしの体調はすっかり万全に戻っていた。
学園生活にもようやく再び身が入るようになった日の放課後、中庭を歩いていると、向こうから底抜けに明るい声が響いてきた。
「おーい! ななし、グリム!」
きらびやかな装飾品をジャラジャラと鳴らしながら駆け寄ってきたのは、スカラビア寮長カリム・アルアジームだった。
「カリム先輩、こんにちは」
「うるせーやつが来たんだゾ」
「おう、二人とも元気そうだな! なぁ、ななし! 今夜スカラビアで宴をやるんだ。お前らも遊びに来いよ!美味いもんがいっぱいあるぞ!」
「ふなっ! 美味いもんが食えるんだゾ!?」
「ああ! 珍しい異国の果物なんかも山ほど用意してあるからな!」
「行くんだゾ! ななし、今夜はスカラビアに突撃なんだゾ!」
グリムが早くもよだれを垂らしながらななしの足元で飛び跳ねる。たまには息抜きもいいかもしれない。
「じゃあグリムと一緒に、お邪魔させてもらってもいいですか?」
「あったりまえだろ! 歓迎するぜ! じゃあ夜にスカラビアの談話室な。遅れるなよ!」
カリムは嬉しそうに何度も頷くと、そのまま嵐のように去っていった。
その夜、鏡舎からスカラビア寮へと移動する。
談話室はすでに色鮮やかな絨毯やクッションで彩られ、中央の長いテーブルには、見たこともないような豪華な宮廷料理や果物が並んでいる。
「待ってたぞ、ななし! さぁさぁ、好きなだけ食ってくれ!」
カリムが上座から大きく手を振る。その隣には、頭を抱えながら深い溜め息をついている副寮長ジャミル・バイパーの姿があった。
「カリム、またお前は急に人を呼んで……。すまないな、ななし」
ジャミルが呆れたように前髪を払いながら、ななしを座らせる。
「いえ、誘ってもらえて嬉しかったです。ジャミル先輩、料理の準備大変でしたよね」
「まあ、いつものことだからな。……おいカリム、お前は少し落ち着け。ほら、ななしが困っているだろう」
カリムがななしのすぐ隣に座り、お皿に次々と肉料理やお菓子を盛ってくる。
「みんなで食った方が美味いだろ? ほらななし、これ美味いぞ!」
「えっ!?」
カリムがフォークに刺した肉を無邪気に差し出してくる。その距離の近さと、あまりの自然さにななしの心臓が跳ね上がる。
「カリム。……お前、相手の許可も取らずに何をさせているんだ。困っているだろ」
ジャミルがすっと二人の間に割って入り、カリムの手を軽く遮った。切れ長の瞳が、どこか鋭くカリムをたしなめる。
「え? 嫌だったか、ななし?」
「あ、いえ! そんなことは……!」
慌てるななしに、ジャミルは新しいおしぼりをそっと手渡してくれた。
「ななし、無理にカリムのペースに付き合う必要はない。自分のペースで食べるといい。……少し疲れているように見えるが、体調は大丈夫なのか?」
ジャミルが少し声を潜め、顔を覗き込むようにして聞いてくる。
同じ部活のエースから話を聞いているのか、それともただの鋭い観察眼か、ジャミルの気遣いは驚くほど繊細だった。
「はい、ちょっとバタバタしてましたけど、今はもうすっかり元気です!」
「そうか。ならいいが。……もし何かあれば、遠慮なく俺に言えよ」
ジャミルの少し低い声が耳元に響き、ななしの耳の裏が熱くなる。
隣ではカリムが「美味いか? なぁ、美味いだろ!」とグリムと一緒になってはしゃいでおり、その明るさに救われる。
スカラビアの熱い夜の空気の中で、ななしは二人の異なる優しさに挟まれながら、贅沢な宴の時間を過ごすのだった。
学園生活にもようやく再び身が入るようになった日の放課後、中庭を歩いていると、向こうから底抜けに明るい声が響いてきた。
「おーい! ななし、グリム!」
きらびやかな装飾品をジャラジャラと鳴らしながら駆け寄ってきたのは、スカラビア寮長カリム・アルアジームだった。
「カリム先輩、こんにちは」
「うるせーやつが来たんだゾ」
「おう、二人とも元気そうだな! なぁ、ななし! 今夜スカラビアで宴をやるんだ。お前らも遊びに来いよ!美味いもんがいっぱいあるぞ!」
「ふなっ! 美味いもんが食えるんだゾ!?」
「ああ! 珍しい異国の果物なんかも山ほど用意してあるからな!」
「行くんだゾ! ななし、今夜はスカラビアに突撃なんだゾ!」
グリムが早くもよだれを垂らしながらななしの足元で飛び跳ねる。たまには息抜きもいいかもしれない。
「じゃあグリムと一緒に、お邪魔させてもらってもいいですか?」
「あったりまえだろ! 歓迎するぜ! じゃあ夜にスカラビアの談話室な。遅れるなよ!」
カリムは嬉しそうに何度も頷くと、そのまま嵐のように去っていった。
その夜、鏡舎からスカラビア寮へと移動する。
談話室はすでに色鮮やかな絨毯やクッションで彩られ、中央の長いテーブルには、見たこともないような豪華な宮廷料理や果物が並んでいる。
「待ってたぞ、ななし! さぁさぁ、好きなだけ食ってくれ!」
カリムが上座から大きく手を振る。その隣には、頭を抱えながら深い溜め息をついている副寮長ジャミル・バイパーの姿があった。
「カリム、またお前は急に人を呼んで……。すまないな、ななし」
ジャミルが呆れたように前髪を払いながら、ななしを座らせる。
「いえ、誘ってもらえて嬉しかったです。ジャミル先輩、料理の準備大変でしたよね」
「まあ、いつものことだからな。……おいカリム、お前は少し落ち着け。ほら、ななしが困っているだろう」
カリムがななしのすぐ隣に座り、お皿に次々と肉料理やお菓子を盛ってくる。
「みんなで食った方が美味いだろ? ほらななし、これ美味いぞ!」
「えっ!?」
カリムがフォークに刺した肉を無邪気に差し出してくる。その距離の近さと、あまりの自然さにななしの心臓が跳ね上がる。
「カリム。……お前、相手の許可も取らずに何をさせているんだ。困っているだろ」
ジャミルがすっと二人の間に割って入り、カリムの手を軽く遮った。切れ長の瞳が、どこか鋭くカリムをたしなめる。
「え? 嫌だったか、ななし?」
「あ、いえ! そんなことは……!」
慌てるななしに、ジャミルは新しいおしぼりをそっと手渡してくれた。
「ななし、無理にカリムのペースに付き合う必要はない。自分のペースで食べるといい。……少し疲れているように見えるが、体調は大丈夫なのか?」
ジャミルが少し声を潜め、顔を覗き込むようにして聞いてくる。
同じ部活のエースから話を聞いているのか、それともただの鋭い観察眼か、ジャミルの気遣いは驚くほど繊細だった。
「はい、ちょっとバタバタしてましたけど、今はもうすっかり元気です!」
「そうか。ならいいが。……もし何かあれば、遠慮なく俺に言えよ」
ジャミルの少し低い声が耳元に響き、ななしの耳の裏が熱くなる。
隣ではカリムが「美味いか? なぁ、美味いだろ!」とグリムと一緒になってはしゃいでおり、その明るさに救われる。
スカラビアの熱い夜の空気の中で、ななしは二人の異なる優しさに挟まれながら、贅沢な宴の時間を過ごすのだった。
