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レオナに言われた通り早めに休んだおかげか、ななしの下腹部の痛みはいくらか和らいでいた。
しかし、心は休まらない。
気分転換を兼ねて、オンボロ寮の談話室でグリムのブラッシングをしていると玄関の呼び鈴が騒がしく鳴り響いた。
「はーい、今開けます!」
ななしがドアを開けると、そこには見覚えのある鮮やかな赤と白の制服――ハーツラビュル寮の面々が立っていた。
「やっほー、ななしちゃん! 遊びに来ちゃった」
軽い調子で手を振るのはケイト・ダイヤモンド。その後ろにはエースとデュース、大きなバスケットを手にした副寮長のトレイ・クローバーとハーツラビュル寮長リドル・ローズハートまで揃っている。
「みんな揃って、どうしたんですか?」
「昨日、なんか上の空だったじゃん? だからさ、トレイ先輩がタルト焼いたついでに、みんなでオンボロ寮で食おうぜって話になったわけ」
エースがニカッと笑い、その後ろからデュースがバスケットを指差す。
「ああ。今回のタルトは自信作だとクローバー先輩が言っていたからな。ローズハート寮長やダイヤモンド先輩も誘って、皆で賑やかに突撃しようということになったんだ」
「あはは、ありがとう。みんな、どうぞ中に入って」
ななしが皆を談話室へと迎え入れる。
「それじゃ、さっそく準備をしようか。ななし、お皿を借りてもいいか?」
トレイがキッチンへ向かおうと歩き出し、すれ違いざまにぽんとななしの肩に手を置いた。そのごつごつとした大きな手のひらの温かさに、ななしの心臓がドクンと跳ねる。
「あ、はい! とりあえずテーブルの上、片付けますね」
ななしがテーブルの上を片付けようと動いた瞬間、下腹部がキュッと収縮するような鈍い痛みが走り、無意識に少し身体を丸めて動きを止めてしまう。
「皿くらいオレらが運ぶから、お前は座ってろって」
隣にいたエースが、いつもの調子でななしの背中を軽く押し、どさりとソファへ座らせた。
「そうだな。僕たちで準備するから、ななしは座っていてくれ」
デュースもトレイの後を追っていく。リドルは「全く、キミたちは少しは落ち着きたまえ」と苦笑しつつも、テーブルの配置を整え始めた。
そんな中、ケイトだけがななしをじっと見つめていた。その優しげな瞳に、すべてを察したような深い光が宿る。
「はいはい、みんなあんまり囲んだらななしちゃんが狭いでしょ〜。ほら、ちょっと詰めなよエース」
ケイトがななしを気遣うように、エースの肩をぐいぐい押してスペースを作り、その隣に滑り込んできた。
「ななしちゃん、無理はナシね?」
耳元で、ななしだけにしか聞こえないような低いトーンで囁かれる。悪戯っぽく、けれど全てを見抜いたような大人の余裕に、ななしの顔が一気に熱くなった。
「トレイ、お茶の準備はできたかい?」
リドルが声をかけると、キッチンからトレイとデュースが温かい紅茶の香りを漂わせながら戻ってくる。
「待たせたな。これがななしの分」
トレイがいつの間にか淹れてくれていた、特別に温かいハーブティーのカップを差し出してくる。
「トレイ先輩! いただきまーす!」
「クローバー先輩のタルト、めちゃくちゃ美味いです!」
エースとデュースが賑やかにタルトを頬張り、リドルが「こら、上品に食べなさい」と注意する。その賑やかな声に包まれながら、ななしは赤くなる顔を隠すように温かいカップをぎゅっと握った。
しかし、心は休まらない。
気分転換を兼ねて、オンボロ寮の談話室でグリムのブラッシングをしていると玄関の呼び鈴が騒がしく鳴り響いた。
「はーい、今開けます!」
ななしがドアを開けると、そこには見覚えのある鮮やかな赤と白の制服――ハーツラビュル寮の面々が立っていた。
「やっほー、ななしちゃん! 遊びに来ちゃった」
軽い調子で手を振るのはケイト・ダイヤモンド。その後ろにはエースとデュース、大きなバスケットを手にした副寮長のトレイ・クローバーとハーツラビュル寮長リドル・ローズハートまで揃っている。
「みんな揃って、どうしたんですか?」
「昨日、なんか上の空だったじゃん? だからさ、トレイ先輩がタルト焼いたついでに、みんなでオンボロ寮で食おうぜって話になったわけ」
エースがニカッと笑い、その後ろからデュースがバスケットを指差す。
「ああ。今回のタルトは自信作だとクローバー先輩が言っていたからな。ローズハート寮長やダイヤモンド先輩も誘って、皆で賑やかに突撃しようということになったんだ」
「あはは、ありがとう。みんな、どうぞ中に入って」
ななしが皆を談話室へと迎え入れる。
「それじゃ、さっそく準備をしようか。ななし、お皿を借りてもいいか?」
トレイがキッチンへ向かおうと歩き出し、すれ違いざまにぽんとななしの肩に手を置いた。そのごつごつとした大きな手のひらの温かさに、ななしの心臓がドクンと跳ねる。
「あ、はい! とりあえずテーブルの上、片付けますね」
ななしがテーブルの上を片付けようと動いた瞬間、下腹部がキュッと収縮するような鈍い痛みが走り、無意識に少し身体を丸めて動きを止めてしまう。
「皿くらいオレらが運ぶから、お前は座ってろって」
隣にいたエースが、いつもの調子でななしの背中を軽く押し、どさりとソファへ座らせた。
「そうだな。僕たちで準備するから、ななしは座っていてくれ」
デュースもトレイの後を追っていく。リドルは「全く、キミたちは少しは落ち着きたまえ」と苦笑しつつも、テーブルの配置を整え始めた。
そんな中、ケイトだけがななしをじっと見つめていた。その優しげな瞳に、すべてを察したような深い光が宿る。
「はいはい、みんなあんまり囲んだらななしちゃんが狭いでしょ〜。ほら、ちょっと詰めなよエース」
ケイトがななしを気遣うように、エースの肩をぐいぐい押してスペースを作り、その隣に滑り込んできた。
「ななしちゃん、無理はナシね?」
耳元で、ななしだけにしか聞こえないような低いトーンで囁かれる。悪戯っぽく、けれど全てを見抜いたような大人の余裕に、ななしの顔が一気に熱くなった。
「トレイ、お茶の準備はできたかい?」
リドルが声をかけると、キッチンからトレイとデュースが温かい紅茶の香りを漂わせながら戻ってくる。
「待たせたな。これがななしの分」
トレイがいつの間にか淹れてくれていた、特別に温かいハーブティーのカップを差し出してくる。
「トレイ先輩! いただきまーす!」
「クローバー先輩のタルト、めちゃくちゃ美味いです!」
エースとデュースが賑やかにタルトを頬張り、リドルが「こら、上品に食べなさい」と注意する。その賑やかな声に包まれながら、ななしは赤くなる顔を隠すように温かいカップをぎゅっと握った。
