TRIANGLE
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「二人とも!! す、ストップ!!」
ななしのヤケクソな悲鳴がサバナクローのラウンジに響き渡る。
しかし、そんな魂の絶叫すら二人の耳には届かない。
「ふん、心配するなヒトの子。壊れた壁など、僕の魔法で一瞬で元通りにしてやろう。それよりも……」
マレウスが冷ややかに構え火花を飛ばす。
「キングスカラー。僕が直々に迎えに来てやったのだ。いい加減、その不躾な手を離したらどうだ?」
「ハッ! 誰がトカゲ野郎の言う通りにするかよ。ここは俺の縄張りだ。勝手に入り込んできた不審者は、手厚く砂にして埋めてやるのが掟なんだよ」
レオナはななしを背後に隠すようにさらに引き寄せ、低く唸り声を上げた。その瞳は完全に獲物を狙う猛獣のそれだ。
「ひえっ! 二人とも目がマジ!」
「子分! オレ様の自慢の毛並みが静電気でビリビリして痛いんだゾーっ!」
マレウスの魔力による気圧の低下と、レオナから放たれる圧倒的な威圧感に挟まれ、グリムはななしの足元で今にも吹き飛ばされそうに転がっている。
その時、ラウンジの奥から大きな影が割って入った。
「――そこまでにしてください、二人とも!」
「ジャック!」
ななしが救世主を見るような目で叫ぶ。ジャックは強靭な腕を組み、レオナとマレウスの間に割って入ると、鋭い耳をピクリと動かした。
「レオナ先輩、寮長たちがマジモンの喧嘩をするのは、いくらなんでも学園の規則違反なんじゃないすか?」
ジャックが正論を叩きつける。
「……ふむ。確かに、僕としたことが少々冷静さを欠いていたようだ。ヒトの子を迎えに来るという目的があったとはいえ、他の寮の規律を乱すのは本意ではない」
「チッ、余計な口挟みやがって……」
レオナも忌々しげに舌打ちをし、ななしの手首を掴んでいた力を緩める。一瞬だけ生まれた緊迫状態の隙を、ななしは見逃さなかった。
「……これ以上ここで揉めるなら、私は今日、ブラッシングも散歩も全部キャンセルして、オンボロ寮に引きこもってグリムとツナ缶祭します」
「ふなっ!? それはオレ様にとって最高のご褒美なんだゾ!」
「おい、それは認めねぇぞ、草食動物」
「僕との散歩を拒むというのか、ヒトの子よ……」
「拒みはしません! だから……! 今日のところは、レオナさんのブラッシングはここまで! その代わり、ツノ太郎との散歩には今から行きます! ただし、サバナクローの敷地外に出てから!」
ななしはヤケクソ交じりに二人を指差して宣言した。これ以上ここにいたら物理的に命がいくつあっても足りない。
「……ななし、次は途中で逃げるんじゃねぇぞ。たっぷり可愛がってやるからな」
レオナは不敵に笑いながら、ななしの頭をクシャクシャと手荒に撫でてソファに深く背を預けた。
「よし、では行こうか。静かな場所で語り合おう」
マレウスは満足げに微笑むと、優雅に身を翻して歩き出す。
「は、はい……! じゃあレオナさん、ジャック、お邪魔しました!」
ななしはグリムを抱え、サバナクローのラウンジを脱出した。後ろから「気をつけてな……」というジャックの哀れみに満ちた声が聞こえた気がしたが振り返る余裕などなかった。
しかしななしの前に待ち受けるのは、夜の闇に紛れるディアソムニアの主とのお散歩という第二の超ド級ピンチだった。
ななしのヤケクソな悲鳴がサバナクローのラウンジに響き渡る。
しかし、そんな魂の絶叫すら二人の耳には届かない。
「ふん、心配するなヒトの子。壊れた壁など、僕の魔法で一瞬で元通りにしてやろう。それよりも……」
マレウスが冷ややかに構え火花を飛ばす。
「キングスカラー。僕が直々に迎えに来てやったのだ。いい加減、その不躾な手を離したらどうだ?」
「ハッ! 誰がトカゲ野郎の言う通りにするかよ。ここは俺の縄張りだ。勝手に入り込んできた不審者は、手厚く砂にして埋めてやるのが掟なんだよ」
レオナはななしを背後に隠すようにさらに引き寄せ、低く唸り声を上げた。その瞳は完全に獲物を狙う猛獣のそれだ。
「ひえっ! 二人とも目がマジ!」
「子分! オレ様の自慢の毛並みが静電気でビリビリして痛いんだゾーっ!」
マレウスの魔力による気圧の低下と、レオナから放たれる圧倒的な威圧感に挟まれ、グリムはななしの足元で今にも吹き飛ばされそうに転がっている。
その時、ラウンジの奥から大きな影が割って入った。
「――そこまでにしてください、二人とも!」
「ジャック!」
ななしが救世主を見るような目で叫ぶ。ジャックは強靭な腕を組み、レオナとマレウスの間に割って入ると、鋭い耳をピクリと動かした。
「レオナ先輩、寮長たちがマジモンの喧嘩をするのは、いくらなんでも学園の規則違反なんじゃないすか?」
ジャックが正論を叩きつける。
「……ふむ。確かに、僕としたことが少々冷静さを欠いていたようだ。ヒトの子を迎えに来るという目的があったとはいえ、他の寮の規律を乱すのは本意ではない」
「チッ、余計な口挟みやがって……」
レオナも忌々しげに舌打ちをし、ななしの手首を掴んでいた力を緩める。一瞬だけ生まれた緊迫状態の隙を、ななしは見逃さなかった。
「……これ以上ここで揉めるなら、私は今日、ブラッシングも散歩も全部キャンセルして、オンボロ寮に引きこもってグリムとツナ缶祭します」
「ふなっ!? それはオレ様にとって最高のご褒美なんだゾ!」
「おい、それは認めねぇぞ、草食動物」
「僕との散歩を拒むというのか、ヒトの子よ……」
「拒みはしません! だから……! 今日のところは、レオナさんのブラッシングはここまで! その代わり、ツノ太郎との散歩には今から行きます! ただし、サバナクローの敷地外に出てから!」
ななしはヤケクソ交じりに二人を指差して宣言した。これ以上ここにいたら物理的に命がいくつあっても足りない。
「……ななし、次は途中で逃げるんじゃねぇぞ。たっぷり可愛がってやるからな」
レオナは不敵に笑いながら、ななしの頭をクシャクシャと手荒に撫でてソファに深く背を預けた。
「よし、では行こうか。静かな場所で語り合おう」
マレウスは満足げに微笑むと、優雅に身を翻して歩き出す。
「は、はい……! じゃあレオナさん、ジャック、お邪魔しました!」
ななしはグリムを抱え、サバナクローのラウンジを脱出した。後ろから「気をつけてな……」というジャックの哀れみに満ちた声が聞こえた気がしたが振り返る余裕などなかった。
しかしななしの前に待ち受けるのは、夜の闇に紛れるディアソムニアの主とのお散歩という第二の超ド級ピンチだった。
