TRIANGLE
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昨夜のマレウスによる上書きの余韻という名の魔力酔いでフラフラになりながら、ななしは学食の列に並んでいた。
「……はぁ。一昨日はレオナさん、昨日はツノ太郎。二人から発せられるオーラにサンドイッチにされて、体の中身がはみ出しそう」
「子分! オレ様、今日はハンバーグが食いたいんだゾ!」
グリムがトレイを持って跳ねる中、ななしが席を探そうとしたその瞬間。
「おい、草食動物。こっち来い」
「ヒトの子よ、僕の隣が空いているぞ」
右と左。全く逆の方向から、同時に声が掛かった。
食堂の喧騒が水を打ったように静まり返る。
窓際の特等席で足を組むレオナと、中央の最も高い席に優雅に座るマレウス。二人がななしを巡って公衆の面前で視線をぶつけ合っていた。
「……あ、あぁ。始まった」
「ななし、昨日の夜、トカゲの野郎に散々連れ回されたんだろ? 疲れた面してやがる」
レオナが不機嫌そうに尻尾を打ち付け、マレウスを睨む。
「ふん。キングスカラー、お前の添い寝などという低俗なもてなしのせいで、彼女は体調を崩しかけていたのだ。僕がその穢れを浄化してやったまでだ」
マレウスが冷ややかに微笑み、杖の先をコツリと床に響かせた。
「穢れだぁ? お前の重苦しい魔力に当てられただけだろ、おぼっちゃま。……おい、ななし。俺の隣に座れば美味い肉を分けてやる」
「僕の隣に来れば、癒やしのハーブを添えた料理を一口分けてやろう」
「私はただ、静かにご飯を食べたいのに……!」
ななしはトレイを抱えて後ずさるが、二人の逃がさないという意志は固い。
「「座れ」」
抗えない命令。
ななしは白目を剥きそうになりながら、結局二人の席のちょうど真ん中にある、誰のものでもない一人用の小さな席に無理やり椅子を割り込ませて座った。
「……ここなら。ここなら、どちらの所有権も侵害せず、私は中立地帯の緩衝材として死ねるはず……」
「……ハッ。妙なところに座りやがって」
「ふむ。境界線を守るその姿勢、嫌いではない」
レオナは自分のトレイから大きなステーキをななしの皿に無造作に放り込み、マレウスは自分の小皿から宝石のようなフルーツを彼女のデザート皿に丁寧に添えた。
「おい、肉を食え。細っこい体で消えちまいそうだぞ」
「この実は精神を安定させる効果がある。今のお前には必要だろう」
「……うぅっ、美味しい。美味しいけど、周囲の生徒たちの視線が刺さって、食べ物が喉を通らない」
「ふなっ! 子分が食べないなら、全部オレ様がいただくんだゾ!」
グリムだけが修羅場と化した食卓で一人、最高級の肉とフルーツを頬張り幸せそうに喉を鳴らしていた。
レオナとマレウスは、ななしを間に挟んで、視線だけで激しい火花を散らし続ける。ななしは、震える手でスプーンを握りながら、遠い宇宙の彼方に思いを馳せるのだった。
「……はぁ。一昨日はレオナさん、昨日はツノ太郎。二人から発せられるオーラにサンドイッチにされて、体の中身がはみ出しそう」
「子分! オレ様、今日はハンバーグが食いたいんだゾ!」
グリムがトレイを持って跳ねる中、ななしが席を探そうとしたその瞬間。
「おい、草食動物。こっち来い」
「ヒトの子よ、僕の隣が空いているぞ」
右と左。全く逆の方向から、同時に声が掛かった。
食堂の喧騒が水を打ったように静まり返る。
窓際の特等席で足を組むレオナと、中央の最も高い席に優雅に座るマレウス。二人がななしを巡って公衆の面前で視線をぶつけ合っていた。
「……あ、あぁ。始まった」
「ななし、昨日の夜、トカゲの野郎に散々連れ回されたんだろ? 疲れた面してやがる」
レオナが不機嫌そうに尻尾を打ち付け、マレウスを睨む。
「ふん。キングスカラー、お前の添い寝などという低俗なもてなしのせいで、彼女は体調を崩しかけていたのだ。僕がその穢れを浄化してやったまでだ」
マレウスが冷ややかに微笑み、杖の先をコツリと床に響かせた。
「穢れだぁ? お前の重苦しい魔力に当てられただけだろ、おぼっちゃま。……おい、ななし。俺の隣に座れば美味い肉を分けてやる」
「僕の隣に来れば、癒やしのハーブを添えた料理を一口分けてやろう」
「私はただ、静かにご飯を食べたいのに……!」
ななしはトレイを抱えて後ずさるが、二人の逃がさないという意志は固い。
「「座れ」」
抗えない命令。
ななしは白目を剥きそうになりながら、結局二人の席のちょうど真ん中にある、誰のものでもない一人用の小さな席に無理やり椅子を割り込ませて座った。
「……ここなら。ここなら、どちらの所有権も侵害せず、私は中立地帯の緩衝材として死ねるはず……」
「……ハッ。妙なところに座りやがって」
「ふむ。境界線を守るその姿勢、嫌いではない」
レオナは自分のトレイから大きなステーキをななしの皿に無造作に放り込み、マレウスは自分の小皿から宝石のようなフルーツを彼女のデザート皿に丁寧に添えた。
「おい、肉を食え。細っこい体で消えちまいそうだぞ」
「この実は精神を安定させる効果がある。今のお前には必要だろう」
「……うぅっ、美味しい。美味しいけど、周囲の生徒たちの視線が刺さって、食べ物が喉を通らない」
「ふなっ! 子分が食べないなら、全部オレ様がいただくんだゾ!」
グリムだけが修羅場と化した食卓で一人、最高級の肉とフルーツを頬張り幸せそうに喉を鳴らしていた。
レオナとマレウスは、ななしを間に挟んで、視線だけで激しい火花を散らし続ける。ななしは、震える手でスプーンを握りながら、遠い宇宙の彼方に思いを馳せるのだった。
