TRIANGLE
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激しい雨が止んだ夜。
オンボロ寮の寝室で、ななしはベッドの中で丸くなっていた。
昼間の魔法の障壁での密着事件のせいで、目をつぶっても右側にレオナの熱、左側にマレウスの冷ややかな気配が残っている気がして、全く眠れない。
「……あぁ、ダメだ。瞼の裏に、不機嫌なレオナさんの顔と、微笑むツノ太郎の顔が交互に映る……。明日私は自分の意思を失って、二人の操り人形として生きるんだ……」
「オメーは夜中までうるさいんだゾ……。オレ様はもう夢の中でツナ缶パーティーをしてるんだゾ……」
グリムの寝言を聞きながら、瞼をぎゅっと閉じた。
◇
早朝、オンボロ寮の玄関。
一睡もできずに準備を終えたななしは、鏡の前で自分の顔を見て絶望していた。
「……私の顔、寝不足で不気味に青白くなってる」
「子分ー!早く行かないと朝飯に遅れるんだゾ!」
グリムと外に出ようとすると、寮のゴーストたちがニヤニヤしながら行く手を塞いだ。
「ヒヒッ、ななし! 昨夜は二人の若い男に囲まれて賑やかだったじゃないか」
「お祝いに、俺たちが登校の景気づけに『最高の演出』をしてやるよ!」
ゴーストたちが陽気に魔法を放つと、寮の玄関先がド派手な光の粒子と音楽に包まれた。
「演出!? やめてください、ただでさえ学園に女一人で目立つのに!」
ななしがパニックになっていると、その派手な光の門をくぐるようにして、二人の影が左右から現れた。
「……朝っぱらから何の騒ぎだ。草食動物、お前また変な儀式でも始めてんのか?」
不機嫌そうに耳を動かしながら現れたのは、迎えに来たレオナだった。
「……ヒトの子よ、随分と賑やかな見送りだ。僕も、この祝福に加わってもよいだろうか?」
反対側には、マレウスが当然のように立っていた。
「二人とも寮で寝てたと思ったのに……! 追いかけてこないでください! 今、うちのゴーストたちが良かれと思って暴走してるんです」
ゴーストたちは「おぉ、二人とも揃った! さあ、ななしをエスコートしてやれ!」と、さらに魔法を強めて三人を光の渦に巻き込もうとする。
「……チッ。この光、目が潰れそうだ。トカゲ野郎、お前が魔力でこの騒ぎを押さえろ。俺が砂で物理的に視界を遮る」
「ふん、指図するな。だが……彼女がこれ以上怯えるのは僕も本意ではない。良いだろう」
マレウスが周囲の魔力を静止させ、レオナが砂の霧を薄く広げて、ゴーストたちのド派手な光を優しく包み込んで減光させた。二人の加減された連携により玄関先は一転して静かな朝の光に戻った。
「……すご。なにも壊さずにゴーストたちの魔法だけを……」
「終わったぞ、ヒトの子。礼は今夜の散歩でいい」
「ハッ、恩着せがましいんだよ。おい、ななし。昼休みは俺のところにこい」
「グリム、助けて……」
「オ、オレ様は知らねーんだゾ!」
ななしのネガティブな叫びが寮の庭に響く中、二人は再び舌打ちし合いながら彼女を左右から挟んで登校を開始した。
オンボロ寮の寝室で、ななしはベッドの中で丸くなっていた。
昼間の魔法の障壁での密着事件のせいで、目をつぶっても右側にレオナの熱、左側にマレウスの冷ややかな気配が残っている気がして、全く眠れない。
「……あぁ、ダメだ。瞼の裏に、不機嫌なレオナさんの顔と、微笑むツノ太郎の顔が交互に映る……。明日私は自分の意思を失って、二人の操り人形として生きるんだ……」
「オメーは夜中までうるさいんだゾ……。オレ様はもう夢の中でツナ缶パーティーをしてるんだゾ……」
グリムの寝言を聞きながら、瞼をぎゅっと閉じた。
◇
早朝、オンボロ寮の玄関。
一睡もできずに準備を終えたななしは、鏡の前で自分の顔を見て絶望していた。
「……私の顔、寝不足で不気味に青白くなってる」
「子分ー!早く行かないと朝飯に遅れるんだゾ!」
グリムと外に出ようとすると、寮のゴーストたちがニヤニヤしながら行く手を塞いだ。
「ヒヒッ、ななし! 昨夜は二人の若い男に囲まれて賑やかだったじゃないか」
「お祝いに、俺たちが登校の景気づけに『最高の演出』をしてやるよ!」
ゴーストたちが陽気に魔法を放つと、寮の玄関先がド派手な光の粒子と音楽に包まれた。
「演出!? やめてください、ただでさえ学園に女一人で目立つのに!」
ななしがパニックになっていると、その派手な光の門をくぐるようにして、二人の影が左右から現れた。
「……朝っぱらから何の騒ぎだ。草食動物、お前また変な儀式でも始めてんのか?」
不機嫌そうに耳を動かしながら現れたのは、迎えに来たレオナだった。
「……ヒトの子よ、随分と賑やかな見送りだ。僕も、この祝福に加わってもよいだろうか?」
反対側には、マレウスが当然のように立っていた。
「二人とも寮で寝てたと思ったのに……! 追いかけてこないでください! 今、うちのゴーストたちが良かれと思って暴走してるんです」
ゴーストたちは「おぉ、二人とも揃った! さあ、ななしをエスコートしてやれ!」と、さらに魔法を強めて三人を光の渦に巻き込もうとする。
「……チッ。この光、目が潰れそうだ。トカゲ野郎、お前が魔力でこの騒ぎを押さえろ。俺が砂で物理的に視界を遮る」
「ふん、指図するな。だが……彼女がこれ以上怯えるのは僕も本意ではない。良いだろう」
マレウスが周囲の魔力を静止させ、レオナが砂の霧を薄く広げて、ゴーストたちのド派手な光を優しく包み込んで減光させた。二人の加減された連携により玄関先は一転して静かな朝の光に戻った。
「……すご。なにも壊さずにゴーストたちの魔法だけを……」
「終わったぞ、ヒトの子。礼は今夜の散歩でいい」
「ハッ、恩着せがましいんだよ。おい、ななし。昼休みは俺のところにこい」
「グリム、助けて……」
「オ、オレ様は知らねーんだゾ!」
ななしのネガティブな叫びが寮の庭に響く中、二人は再び舌打ちし合いながら彼女を左右から挟んで登校を開始した。
