虚像ダイヤモンド
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暗闇に沈んだ寮の自室。
抱きしめ合う私たちの間に、それまであった建前やフィルターはもう存在しなかった。
ケイト先輩の腕は、骨が軋むほどに私を締め上げている。
分身たちの柔らかな温もりとは違う、燃えるような熱量。
「……ねえ、ななしちゃん。本当に言っちゃったね。本物のオレがいいなんて」
彼の声は耳元で低く、低く響いた。
どこか陶酔したような、それでいてひどく飢えたような響き。
「もう知らないよ。……オレ、君が思ってる以上に性格悪いし、暗いところあるし、一度手に入れたものは、誰にも見せたくないくらい独占したいタイプなんだけど……」
彼は私を抱きしめたまま、ゆっくりとソファへと押し倒した。
暗闇に目が慣れてくると、至近距離にある彼の瞳が、ギラリと獲物を狙う肉食動物のように光っているのが見えた。
「……いいですよ。……先輩の、全部、受け止めたいから」
私の震える返事を聞いた瞬間、彼の口角が歪に吊り上がった。
「……ウケる。君って、本当にお人好しすぎ」
次の瞬間、塞がれた唇から、これまでにないほど激しい熱が流れ込んできた。キスの合間に、彼が食べていたであろうミントタブレットの刺激が舌先から伝わる。ヒリヒリとした痛みに似た快感。それは、彼が一人で抱えてきた孤独の味だった。
「……ん、っ……ケイト、先輩……」
深く深く喉の奥まで探り当てるような荒々しい舌使い。
彼の指が私のブラウスのボタンを弾くように外していく。
露わになった肌に深夜の冷えた空気が触れたのも束の間、すぐに彼の熱い掌がそれを覆い隠した。
「……っあ、」
鎖骨の窪みを彼は執拗に吸い付くように食んだ。
生々しい音を立てて刻まれる赤い痕。
誰かに見られることをあんなに気にしていた彼が、今は他ならぬ自分の手で、私の肌を汚し塗り潰していく。
「ここ、明日目立つかも。……でも、いいよね? オレのものだって、誰にでも分かるようにしておきたいし」
「……はい……っ、もっと……つけてください」
自分の熱に浮かされてそんな言葉を漏らすと、彼の動きがさらに激しさを増した。彼は私のスカートの中に手を滑り込ませ、内腿の柔らかい肌を強く、指が食い込むほどに掴み上げる。
「ほんといい子。……マジで可愛い。……分身のオレが君に言ってた『可愛い』とは、全然、意味が違うから」
彼は私の髪を指に絡め、無理やり上を向かせた。
そこにあるのはレンズを通さない、欲望を隠そうともしない男の顔。彼は私の耳たぶを激しく甘噛みし、そのままあどけない私の反応を楽しむように低い声を漏らした。
「……オレのこと、もっと困らせてよ。……マジカメのコメント欄なんかより、君がオレに触れられて出す、その声の方が……ずっとオレを狂わせるんだから」
彼の愛撫は優しさよりも服従に近い重みを持っていた。
重なり合う肌の境界線が曖昧になり、混ざり合う吐息が部屋の酸素を奪っていく。
暗い部屋の中、彼の香りと濃厚な熱気が二人を閉じ込めた。
「ななしちゃん、こっち見て。……レンズ越しじゃなくて、ちゃんとオレを見て。……今、君の中にオレは映ってる……?」
彼は私の両手を頭の上で固定し、完全に逃げ場を奪う。見つめ合う瞳の奥に、私は初めて「ケイト・ダイヤモンド」という一人の青年の、嘘偽りのない飢餓感を見た。
その夜、私たちは初めて互いの境界線が溶けるまで混ざり合った。
それは甘いお菓子のような恋ではなく刺激的で、痛くて、けれどこれ以上なく鮮烈な、ダイヤモンドの破片を飲み込むような愛の形だった。
夜が明けるまで、彼は何度も私の名前を呼び、何度もその熱い肌で私を閉じ込めた。まるで夜が明けたらまた自分が完璧な分身に戻ってしまうことを、何よりも恐れているかのように。
「……大好きだよ、ななしちゃん。……本物のオレが、君を、絶対放さないから……」
その囁きは私の心に深く深く浸透していった。
抱きしめ合う私たちの間に、それまであった建前やフィルターはもう存在しなかった。
ケイト先輩の腕は、骨が軋むほどに私を締め上げている。
分身たちの柔らかな温もりとは違う、燃えるような熱量。
「……ねえ、ななしちゃん。本当に言っちゃったね。本物のオレがいいなんて」
彼の声は耳元で低く、低く響いた。
どこか陶酔したような、それでいてひどく飢えたような響き。
「もう知らないよ。……オレ、君が思ってる以上に性格悪いし、暗いところあるし、一度手に入れたものは、誰にも見せたくないくらい独占したいタイプなんだけど……」
彼は私を抱きしめたまま、ゆっくりとソファへと押し倒した。
暗闇に目が慣れてくると、至近距離にある彼の瞳が、ギラリと獲物を狙う肉食動物のように光っているのが見えた。
「……いいですよ。……先輩の、全部、受け止めたいから」
私の震える返事を聞いた瞬間、彼の口角が歪に吊り上がった。
「……ウケる。君って、本当にお人好しすぎ」
次の瞬間、塞がれた唇から、これまでにないほど激しい熱が流れ込んできた。キスの合間に、彼が食べていたであろうミントタブレットの刺激が舌先から伝わる。ヒリヒリとした痛みに似た快感。それは、彼が一人で抱えてきた孤独の味だった。
「……ん、っ……ケイト、先輩……」
深く深く喉の奥まで探り当てるような荒々しい舌使い。
彼の指が私のブラウスのボタンを弾くように外していく。
露わになった肌に深夜の冷えた空気が触れたのも束の間、すぐに彼の熱い掌がそれを覆い隠した。
「……っあ、」
鎖骨の窪みを彼は執拗に吸い付くように食んだ。
生々しい音を立てて刻まれる赤い痕。
誰かに見られることをあんなに気にしていた彼が、今は他ならぬ自分の手で、私の肌を汚し塗り潰していく。
「ここ、明日目立つかも。……でも、いいよね? オレのものだって、誰にでも分かるようにしておきたいし」
「……はい……っ、もっと……つけてください」
自分の熱に浮かされてそんな言葉を漏らすと、彼の動きがさらに激しさを増した。彼は私のスカートの中に手を滑り込ませ、内腿の柔らかい肌を強く、指が食い込むほどに掴み上げる。
「ほんといい子。……マジで可愛い。……分身のオレが君に言ってた『可愛い』とは、全然、意味が違うから」
彼は私の髪を指に絡め、無理やり上を向かせた。
そこにあるのはレンズを通さない、欲望を隠そうともしない男の顔。彼は私の耳たぶを激しく甘噛みし、そのままあどけない私の反応を楽しむように低い声を漏らした。
「……オレのこと、もっと困らせてよ。……マジカメのコメント欄なんかより、君がオレに触れられて出す、その声の方が……ずっとオレを狂わせるんだから」
彼の愛撫は優しさよりも服従に近い重みを持っていた。
重なり合う肌の境界線が曖昧になり、混ざり合う吐息が部屋の酸素を奪っていく。
暗い部屋の中、彼の香りと濃厚な熱気が二人を閉じ込めた。
「ななしちゃん、こっち見て。……レンズ越しじゃなくて、ちゃんとオレを見て。……今、君の中にオレは映ってる……?」
彼は私の両手を頭の上で固定し、完全に逃げ場を奪う。見つめ合う瞳の奥に、私は初めて「ケイト・ダイヤモンド」という一人の青年の、嘘偽りのない飢餓感を見た。
その夜、私たちは初めて互いの境界線が溶けるまで混ざり合った。
それは甘いお菓子のような恋ではなく刺激的で、痛くて、けれどこれ以上なく鮮烈な、ダイヤモンドの破片を飲み込むような愛の形だった。
夜が明けるまで、彼は何度も私の名前を呼び、何度もその熱い肌で私を閉じ込めた。まるで夜が明けたらまた自分が完璧な分身に戻ってしまうことを、何よりも恐れているかのように。
「……大好きだよ、ななしちゃん。……本物のオレが、君を、絶対放さないから……」
その囁きは私の心に深く深く浸透していった。
