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朱美
今日は七夕ですね
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土井
そうだな
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朱美
一年に一度しか会えない織姫と彦星を想うと、なんだか切ないですね
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土井
だからこそ、その一日は二人にとって特別な日になるんだろうな
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朱美
きっと別れがたいですよね。
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土井
そうだろうね。
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土井
いきなりどうしたんだい?
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朱美
仕事の合間にふと考えてしまいまして。
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朱美
今を大切にしなくてはと。
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土井
うん
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朱美
出会ったのに、別れて。でも再会できて、またまた別れて。
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朱美
こうしてまた一緒に過ごせることを、大切にしないとと思いまして。
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土井
そうだな
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朱美
これって、かなり凄いことですよね
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土井
自分で言うのも何だが、そうだと思うよ
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土井
朱美、愛しているよ
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朱美
う
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土井
う?
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朱美
直接言われるのはもとより、字面だとまた違った破壊力がありますね
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土井
何を言ってるんだ君は
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土井
さっきまで良いことを言っていたのに。台無しじゃないか!
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朱美
そうなんです。思い付きで打ってみたものの、今更恥ずかしくなってきました。
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朱美
仕事に戻りますね
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土井
……そうしなさい
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朱美
呆れてます?
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土井
もはや慣れたよ
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朱美
慣れ………
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土井
君は真面目かと思えば、そんな風に照れ隠しのために戯けてくる。
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土井
かわいいよ
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朱美
く、
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土井
そしてそんな風に余裕ぶる私を見て悔しがるんだろう
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土井
「く、」は悔しいの「く、」だろう?
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土井
だが、そうやって心の内を見せるのも悔しいが、打ってしまって誤送信してしまった
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土井
図星じゃないかな?
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朱美
ち……ち
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土井
違わなくはないだろう?
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朱美
ちくわ
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土井
は?
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朱美
今日は、おばちゃんにちくわをリクエストします!
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朱美
笹に見立ててちくわをリクエストしたいと思います。
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土井
こら、やめなさい!
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土井
恥ずかしさのあまり私を苦しめようとするんじゃない!
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土井
一緒にいられることを大切にしたいと言ったばかりじゃないか!
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土井
わ、私も朱美と一緒にいられることが本当に嬉しい!
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土井
こんな風に珍妙なカラクリを使って文をやりとりするのも嬉しいよ
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土井
君のことがたまらなく好きなんだ
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土井
と、私だって打っていて真っ赤になっているんだ。
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土井
朱美ーーー!
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