8th. 翼あるもの
それから、アラエルは一生懸命に雛鳥の世話をした。
カイトに教わりながら、寝床をつくってやったり、餌を与えたり、糞の始末をしたり。やることは沢山あった。
一日のほとんどを雛の世話におわれて、アラエルは朝早くから夜遅くまでなかなか忙しい毎日を過ごしていた。
「だいぶ大きくなってきたね。そろそろ虫をあげてみたらどうかな?」
カイトが言うと、アラエルはきょとんと首を傾げた。
「虫?そんなものどうするの?」
「その小鳥が食べるんだよ」
「ええっ?!」
アラエルは大げさに驚くと、いかにも嫌そうな顔でカイトをじとっと見上げてきた。
「本当に?鳥が虫なんか食べるの?」
思い切り眉をしかめるアラエルに、カイトはついつい苦笑してしまう。
「うん。自然の中で暮らしている鳥たちは、みんな自分で虫を取って食べているんだよ。葉っぱばかり食べていたら栄養が偏っちゃうだろう?」
「でも、虫なんか食べなくたって……」
「鳥が空を飛ぶのはとても体力の要ることなんだよ、アラエル。鳥は生きるために飛ぶ。そのためには十分な力を蓄えなくちゃならないからね」
カイトの言葉に、アラエルはちょっとだけ複雑な表情でうつむく。そのまま何とも言えない眼差しで、自分の手の中に納まっている小鳥を見つめる。
「ほかの生き物を犠牲にしてまで、何で生きなくちゃならないんだろう?」
思わずもらしたアラエルの言葉に、カイトは困ったように首を傾げた。そして、
「それはね」
カイトは優しい口調でアラエルに言った。
「この世に生まれてきたからさ。そして、いつか必ず死ぬから。だから僕たちは一生懸命に生きるんだ」
「生まれてきて、死ぬから?」
「うん。僕たちは、生きるためにたくさんのものを犠牲にしなくちゃならないことも、ちゃんと知っている。草や、野菜や、果物や、虫や、いろいろな生き物を食べているからね。でも、だからこそがんばって生きるんだ。自分の中で糧となってくれたたくさんの命のために――かれらを無駄にしないためにも、がんばって一生懸命に生きていくんだよ」
「……」
カイトの言葉に、アラエルは考え込むように押し黙った。
カイトに教わりながら、寝床をつくってやったり、餌を与えたり、糞の始末をしたり。やることは沢山あった。
一日のほとんどを雛の世話におわれて、アラエルは朝早くから夜遅くまでなかなか忙しい毎日を過ごしていた。
「だいぶ大きくなってきたね。そろそろ虫をあげてみたらどうかな?」
カイトが言うと、アラエルはきょとんと首を傾げた。
「虫?そんなものどうするの?」
「その小鳥が食べるんだよ」
「ええっ?!」
アラエルは大げさに驚くと、いかにも嫌そうな顔でカイトをじとっと見上げてきた。
「本当に?鳥が虫なんか食べるの?」
思い切り眉をしかめるアラエルに、カイトはついつい苦笑してしまう。
「うん。自然の中で暮らしている鳥たちは、みんな自分で虫を取って食べているんだよ。葉っぱばかり食べていたら栄養が偏っちゃうだろう?」
「でも、虫なんか食べなくたって……」
「鳥が空を飛ぶのはとても体力の要ることなんだよ、アラエル。鳥は生きるために飛ぶ。そのためには十分な力を蓄えなくちゃならないからね」
カイトの言葉に、アラエルはちょっとだけ複雑な表情でうつむく。そのまま何とも言えない眼差しで、自分の手の中に納まっている小鳥を見つめる。
「ほかの生き物を犠牲にしてまで、何で生きなくちゃならないんだろう?」
思わずもらしたアラエルの言葉に、カイトは困ったように首を傾げた。そして、
「それはね」
カイトは優しい口調でアラエルに言った。
「この世に生まれてきたからさ。そして、いつか必ず死ぬから。だから僕たちは一生懸命に生きるんだ」
「生まれてきて、死ぬから?」
「うん。僕たちは、生きるためにたくさんのものを犠牲にしなくちゃならないことも、ちゃんと知っている。草や、野菜や、果物や、虫や、いろいろな生き物を食べているからね。でも、だからこそがんばって生きるんだ。自分の中で糧となってくれたたくさんの命のために――かれらを無駄にしないためにも、がんばって一生懸命に生きていくんだよ」
「……」
カイトの言葉に、アラエルは考え込むように押し黙った。
