7th. Melissa
私は禁を破ることにした。
たとえどんなことになろうとも構わない。ただメリッサを救いたかった。
「止まれ。ここはお前のような不浄の者が来る場所ではない」
天界の入り口で、門番の天使は厳しく私を咎めた。
「悪魔が天界を訪れるのは許されないことだぞ」
「はるかな昔に、天魔両界で定めた掟を破るつもりか」
そんなことは私にも分かっていた。禁忌を犯せば重い罰が下ることも承知していた。
しかし私は引き下がらなかった。
「大天使どのにお願いがある。誰でもいい。大悪魔のアスタロトが面会したいと伝えてくれ」
私は焦っていた。
処刑の場からメリッサを助け出すことは簡単だが、もし私がそれをすれば、メリッサは間違いなく魔女だということになってしまう。悪魔が人間を、ましてや『聖女』を助けるなど、いったい誰が信じてくれるだろう。
真にメリッサを助けるためには、悪魔の私ではなく、天使の力が必要だったのだ。
「頼む。お願いだ、誰か――」
私は必死になって訴えた。
すると、
「私でよければお話を聞きましょう」
背の高い白金髪の大天使が、私の目の前に立っていた。
大天使は美しい青い瞳で私を見つめると、そっと私に両手を差し出した。
私はすがるような思いで、その大天使の手を掴んだ。
太い木製の十字架にメリッサが縛り付けられている。
メリッサはまっすぐに顔を上げて、自分を取り囲む民衆を見つめていた。毅然としたその態度に、あちこちからすすり泣くような声が聞こえてくる。
神父の指示で、男たちがメリッサの足元に火のついた松明を投げつけようとした、まさにその時だった。
「あっ、あれは――」
突然、たくさんの白い羽根が空から降って来た。
人々が驚いて空を見上げると、一人の大天使が、聖なる光を放ちながら地上に降りてきた。
「本物の天使だ!」
「奇跡だ!!」
人々は口々に叫び、祈りの姿勢をとってその場に跪いた。
大天使はゆっくりとメリッサに近づくと、彼女を戒めていた縄を解き、彼女の髪に接吻をした。
「聖女マリア・ローザ。あなたに神の祝福を」
*
たとえどんなことになろうとも構わない。ただメリッサを救いたかった。
「止まれ。ここはお前のような不浄の者が来る場所ではない」
天界の入り口で、門番の天使は厳しく私を咎めた。
「悪魔が天界を訪れるのは許されないことだぞ」
「はるかな昔に、天魔両界で定めた掟を破るつもりか」
そんなことは私にも分かっていた。禁忌を犯せば重い罰が下ることも承知していた。
しかし私は引き下がらなかった。
「大天使どのにお願いがある。誰でもいい。大悪魔のアスタロトが面会したいと伝えてくれ」
私は焦っていた。
処刑の場からメリッサを助け出すことは簡単だが、もし私がそれをすれば、メリッサは間違いなく魔女だということになってしまう。悪魔が人間を、ましてや『聖女』を助けるなど、いったい誰が信じてくれるだろう。
真にメリッサを助けるためには、悪魔の私ではなく、天使の力が必要だったのだ。
「頼む。お願いだ、誰か――」
私は必死になって訴えた。
すると、
「私でよければお話を聞きましょう」
背の高い白金髪の大天使が、私の目の前に立っていた。
大天使は美しい青い瞳で私を見つめると、そっと私に両手を差し出した。
私はすがるような思いで、その大天使の手を掴んだ。
太い木製の十字架にメリッサが縛り付けられている。
メリッサはまっすぐに顔を上げて、自分を取り囲む民衆を見つめていた。毅然としたその態度に、あちこちからすすり泣くような声が聞こえてくる。
神父の指示で、男たちがメリッサの足元に火のついた松明を投げつけようとした、まさにその時だった。
「あっ、あれは――」
突然、たくさんの白い羽根が空から降って来た。
人々が驚いて空を見上げると、一人の大天使が、聖なる光を放ちながら地上に降りてきた。
「本物の天使だ!」
「奇跡だ!!」
人々は口々に叫び、祈りの姿勢をとってその場に跪いた。
大天使はゆっくりとメリッサに近づくと、彼女を戒めていた縄を解き、彼女の髪に接吻をした。
「聖女マリア・ローザ。あなたに神の祝福を」
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