7th. Melissa
「あのさ……」
おずおずとカイトがアストに声をかけてくる。
アストは目を開けると、優しくカイトにほほ笑んだ。
「何だい?」
「もしよかったら、そのメリッサさんのことを話してくれないかな?」
「メリッサのこと?」
「あ、もちろん、アストが嫌ならいいんだよ。ごめん、変なこと言って」
慌てて謝るカイトに、アストはまたしてもくすりと笑いをもらし、片手を伸ばしてカイトの黒髪を撫でた。
「いいんだよ、カイト。気にしないで」
「でも……」
「メリッサのことを話すのは嫌じゃないよ。むしろ君に聞いて欲しい」
アストが言うと、カイトは琥珀色の瞳をきらきらと輝かせた。それを見てアストはますます笑ってしまう。
ラエルはそんな二人を見て、ただ黙ってほほ笑んでいる。
「カイト、君はメリッサにとてもよく似ているんだ」
「え?そうなの?」
「うん。初めて会ったときから感じていたけれど、付き合いが長くなるほどに、ますますそう思うようになった」
「……ねぇ、ひょっとして、メリッサさんって猫だったの?」
真剣な顔でそう尋ねてきたカイトに、アストはたまらなくなって吹き出した。
「いや、そうじゃなくてね。メリッサは―――」
*
初めて会ったとき、メリッサはまだ十六歳の少女だった。
小さな村にある修道院の見習い修道女。早くに両親を亡くして、近くに親戚もなかったので修道院に引き取られ、そこで生活するうちに自然と修道女になることを決めたと言っていたよ。
明るくて素直で、いつも笑顔を絶やさなかったメリッサ。
修道女にしては多少お転婆だったけれど、修道院の誰もが彼女を愛していた。ひと目見たら愛さずにはいられない。そんな魅力を持った娘だった。
私がメリッサと出会ったのは、本当に偶然だった。
私は大きな仕事を一つ終えたところで、ちょうど暇を持て余していた。
そんなことは滅多にないからね。人間の姿になって、しばらくヨーロッパの田舎町でも巡ろうかと思っていたんだ。
おずおずとカイトがアストに声をかけてくる。
アストは目を開けると、優しくカイトにほほ笑んだ。
「何だい?」
「もしよかったら、そのメリッサさんのことを話してくれないかな?」
「メリッサのこと?」
「あ、もちろん、アストが嫌ならいいんだよ。ごめん、変なこと言って」
慌てて謝るカイトに、アストはまたしてもくすりと笑いをもらし、片手を伸ばしてカイトの黒髪を撫でた。
「いいんだよ、カイト。気にしないで」
「でも……」
「メリッサのことを話すのは嫌じゃないよ。むしろ君に聞いて欲しい」
アストが言うと、カイトは琥珀色の瞳をきらきらと輝かせた。それを見てアストはますます笑ってしまう。
ラエルはそんな二人を見て、ただ黙ってほほ笑んでいる。
「カイト、君はメリッサにとてもよく似ているんだ」
「え?そうなの?」
「うん。初めて会ったときから感じていたけれど、付き合いが長くなるほどに、ますますそう思うようになった」
「……ねぇ、ひょっとして、メリッサさんって猫だったの?」
真剣な顔でそう尋ねてきたカイトに、アストはたまらなくなって吹き出した。
「いや、そうじゃなくてね。メリッサは―――」
*
初めて会ったとき、メリッサはまだ十六歳の少女だった。
小さな村にある修道院の見習い修道女。早くに両親を亡くして、近くに親戚もなかったので修道院に引き取られ、そこで生活するうちに自然と修道女になることを決めたと言っていたよ。
明るくて素直で、いつも笑顔を絶やさなかったメリッサ。
修道女にしては多少お転婆だったけれど、修道院の誰もが彼女を愛していた。ひと目見たら愛さずにはいられない。そんな魅力を持った娘だった。
私がメリッサと出会ったのは、本当に偶然だった。
私は大きな仕事を一つ終えたところで、ちょうど暇を持て余していた。
そんなことは滅多にないからね。人間の姿になって、しばらくヨーロッパの田舎町でも巡ろうかと思っていたんだ。
