6th. Dear friends

 少女はそんな両親の姿を、信じられない思いで見つめていた。
 「お父さんも、お母さんも、いったい何してるの?なんで馬鹿みたいに怒鳴っているの?」
 そう両親に声をかけたのだが、二人ともまるで聞こえていないようである。少女のほうへは目もくれず、ガラス窓の向こうに向かって、必死に声を絞り出している。
 「絵梨香!」
 「絵梨香、がんばれ!!」
 少女は気味悪そうに両親を見、それからガラス窓の向こう――両親が見ているものを見た。
 そして愕然とした。
 ガラス窓の中は集中治療室。体中にたくさんのチューブを取り付けられ、青ざめた顔で横たわっている少女自身の姿があった。その周りでは、白衣を着たたくさんの人たちが、慌しく行ったり来たりしている。
 「何、これ……?」
 少女は呆然として、その変わり果てた自分の姿を見つめた。それから、慌ててカイトを振り向いた。
 「ねえ、どういうこと?あの私は何?!」
 パニックに陥りそうな少女に、カイトはつとめて落ち着いた口調でこたえる。
 「あれは、君の体。つまり、君自身だよ」
 「だから、何で?私、どうしてあんなところにいるのよ?!」
 激しい口調の少女とは正反対に、カイトは至極冷静に話し続ける。
 「君は、登校途中に交通事故にあって、救急車でこの病院に運ばれたんだよ。お父さんとお母さん、それに君のお友達も、連絡を受けてすぐに駆けつけたんだ」
 カイトの説明に、少女はもう一度両親のほうへ視線を戻した。半狂乱の両親の後ろで、クラスメイトの何人かが、祈るように両手を握り締めて泣いている。
 壁にかかった時計は、夜のかなり遅い時間を示している。
 事故があったのが登校途中なら、あれからずいぶん長い時間が経っているはずなのに、両親はともかく、友達の誰一人その場を離れようとはしない。みんな口々に少女の名前を呼び、じっと少女に語りかけている。
 そんな両親や友達の姿を見て、少女はなんだかとても奇妙な気分になった。
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