6th. Dear friends

 「でもなんか勿体ないな。こんな山奥で営業してないで、もっと都会の、人が多い場所でやればいいのに」
 「そうかな」
 「そうですよー。二人ともすごくカッコイイから、女の子のお客さんが毎日いっぱい来ますよ」
 屈託なくそう言う少女に、二人は曖昧にほほ笑むだけだった。
 ミルクティーのおかわりを出しながら、カイトが何気なく少女に尋ねた。
 「時間、大丈夫?」
 「ああ、もう、全然平気です」
 女子高生らしい話し方に、カイトは思わず苦笑する。
 「ご両親とかお友達とか、君のこと心配していないかな?」
 「うーん。だって携帯は圏外だし、連絡しようがないですからね。それに、どっちにしたって、誰も私の心配なんてしてませんよ」
 明るくそう言う少女に、カイトは不思議そうに首を傾げた。
 「きっと、みんな心配しているよ」
 「そんなことないですよー」
 「どうして?」
 「だって、父親は仕事仕事で家のことなんか気にもしないし。母親もうるさくお説教するくせに、自分は友達と食べ歩きばっかしてるし。それに、『友達』なんて言ったって、付き合い薄いですもん」
 けらけらと笑う少女に、カイトは少し悲しそうに琥珀色の瞳を曇らせた。
 「そんなことないよ。みんな、今頃すごく心配してると思うよ」
 カイトが言うと、少女はちょっと嫌そうに顔をしかめる。
 それを見て、カイトがさらに何か言おうとすると、ラエルがやんわりとそれを押しとどめた。

 「……誰も、私のこと必要としている人なんかいない」
 突然、押し殺した声で少女が言った。
 カイトもラエルも、何も言わずに、ただじっと少女を見つめている。
 少女はきゅっと唇を噛むと、もう一度、今度ははっきりした声で言った。
 「家でも、学校でも、どうせみんな自分のことしか考えてないもん。親も友達も、私のことなんてどうでもいいの。私なんか、このままいなくなったって、誰もちっとも何も感じたりしない」
 二人ともやはり何も言わない。
 黙っている二人に、少女は無理に笑顔をつくって見せる。
 「ごめんなさーい。何だか暗くなっちゃいましたね」
4/9ページ
いいね👍