1st.月の光のオルゴオル

 するとそれを見ていたラエルがふいに天使に言った。
 「アズライル、コーヒーをもう一杯どうだい?」
 驚いてラエルを見る天使に向かって、ふわりとほほ笑んでみせる。
 「ついでにBGМを流そう。曲目は……そうだな、『月の光』なんていいんじゃないかな?」
 「……」
 天使は一寸呆れたようにため息を吐くと、すぐにくすりと微笑った。そしてカウンターにもう一度座りなおすと、ラエルとカイトの顔を見てにっこりとほほ笑んだ。
 「では、お言葉に甘えて、大天使殿にコーヒーを煎れていただこうか。それからBGМは、どうせならオルゴオルの音色で聞きたいものだね」
 そう言って二人にウィンクしてみせる。
 カイトはぱっと顔を輝かせ、ラエルは笑顔で頷いた。


 林の中にオルゴオルの澄んだ音色が鳴り響く。
 それはまるで天上の音楽のように、静かに深く遠く、いつまでもどこまでも流れて行くのだった。






《おしまい》
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