4.When You Wish upon a Star

 そんな事をぐるぐると思い悩んで、悠成は頭を抱え込んだ。すると、
「そんなの、やってみなくちゃ分からないじゃん」
 呆れたようにハルが大きく息を吐いた。
「先の事なんて、誰にも分からないよ。だけど、あんたを助けようとしてる人がいるんだろう?あんたに生きてて欲しいって思っている人がたくさんいるんだろう?心臓をくれた人だって、誰かに生きて欲しいって思ったから、ドナー登録ってやつをしたんだろうし。それなのに、肝心のあんたが尻込みしてどうするんだよ?ここまで頑張って来たんだから、あともう少し頑張れよ。あんたを助けてくれた人たちを信じなよ」
 言い方は乱暴だったけれど、ハルが懸命に悠成を励まそうとしているのが伝わってきた。
 こんな夢の中でまで、自分を励まし助けようとしてくれる人がいる。
 それとも、この夢は、悠成の願望が形になったものなのだろうか。
(そうか。俺、やっぱり生きたいんだ)
 今まで数え切れないほどたくさんの人に迷惑をかけきたのだとしても。これからもたくさんの人に助けられるばかりだったとしても。
 呆然とする悠成に、カイトが更に言う。
「ハルの言う通り、先の事は誰にも分かりません。だからこそ、生きてさえいれば、どんな未来だって可能なんです」
「……」
 たくさんの人の助けと思いやりと優しさに、悠成は生かされている。
 今はただ、その事実と幸運に素直に感謝しよう。感謝して、生きて行こう。
 悠成の決意を感じ取ったのか、カイトが優しく微笑みかけた。
「先ほどの美鈴さんとの約束、いつか果たしてくださいね」
「え?だって、これはただの夢だろう?」
 悠成が驚いて顔を上げた時だった。

 あたたかな光が差し込んで、悠成は誘われるように瞼を開いた。
 白い壁と様々な機械に囲まれた無菌室の中で、彼はゆっくりと目を覚ました。
「How are you feeling?」
 白衣を着た看護師が、彼の顔を覗き込む。
 一言、二言、英語で話し掛けられて、悠成も乾いた唇を動かす。
「I'm OK. But it looks like I slept a little too long.」
 闘病する前から十年以上も慣れ親しんだこの国の公用語は、ここでの暮らしと同じくらい悠成の生活に馴染んでいた。
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