4.When You Wish upon a Star
悠成が黙っていると、美鈴はますます苦笑した。
「ごめん。カメラに興味ない人にはつまらないよね」
「いや、そうじゃなくて。森沢が写真を趣味にしていたとは、全然知らなかったから」
戸惑いながら悠成が言うと、美鈴はくしゃりと顔をほころばせた。
その笑い方が、まるで子供のように無邪気で可愛いらしいと思いながら、同時に既視感のようなものを感じた。ずっと以前にも、こうして話をしながら、美鈴が同じような笑顔を見せた時があったはずだ。
あれは何の話をしていた時だったろうか。
「私が写真に興味を持つようになったのは、佐伯君のおかげなんだよ」
「え?俺の?」
「うん。そう」
思いがけない言葉に当惑する。
美鈴と同級生だった三年間、美鈴とカメラや写真の話をした覚えはなかった。それなりに仲が良かったものの、子供らしい他愛もない話をしていただけで、特別な話などした事はないと思っていたが、悠成の勘違いだろうか。
美鈴の言っている意味が分からないため、悠成には返す言葉がない。
返答に詰まっている悠成を助けるように、美鈴はまたあの子供のような笑顔を見せた。
「覚えてないかな?昔、塾が終わって、親が迎えに来るのを待っていた時に、佐伯君が星の話をしてくれた事があったじゃない」
「星の話?」
悠成が尋ねると、美鈴は嬉しそうに頷いた。
「そう。あれは冬だったかな。外で立って待っているうちに、どんどん暗くなっちゃって。それなのに、二人とも親がなかなか迎えに来なくて、おしゃべりしながら何となく空を見上げたの。私が『星がとっても綺麗だね』って言ったら、佐伯君が星の光の話をしてくれたんだよ」
「ああ。そう言えば、そんな事があったかな」
悠成もやっと思い出す。
確か小学校五年生の時の事だ。
真っ暗な中、寒さに震えている美鈴を放っておけなくて、気を紛らわせようと焦ったのを覚えている。美鈴が星の話題を出したので、少し前に父親に買ってもらった天体図鑑の中に書いてあったのを、美鈴に話して聞かせたのだ。
星はとても遠い所にあるので、星からの光が地球に届くまでには、秒速三十万キロという光の速さでも何十年、何百年、場合によっては何万年もかかってしまう。それほどの昔に放たれた光が、今やっと地球に届いて、それを自分たちがこうやって見ている。
「ごめん。カメラに興味ない人にはつまらないよね」
「いや、そうじゃなくて。森沢が写真を趣味にしていたとは、全然知らなかったから」
戸惑いながら悠成が言うと、美鈴はくしゃりと顔をほころばせた。
その笑い方が、まるで子供のように無邪気で可愛いらしいと思いながら、同時に既視感のようなものを感じた。ずっと以前にも、こうして話をしながら、美鈴が同じような笑顔を見せた時があったはずだ。
あれは何の話をしていた時だったろうか。
「私が写真に興味を持つようになったのは、佐伯君のおかげなんだよ」
「え?俺の?」
「うん。そう」
思いがけない言葉に当惑する。
美鈴と同級生だった三年間、美鈴とカメラや写真の話をした覚えはなかった。それなりに仲が良かったものの、子供らしい他愛もない話をしていただけで、特別な話などした事はないと思っていたが、悠成の勘違いだろうか。
美鈴の言っている意味が分からないため、悠成には返す言葉がない。
返答に詰まっている悠成を助けるように、美鈴はまたあの子供のような笑顔を見せた。
「覚えてないかな?昔、塾が終わって、親が迎えに来るのを待っていた時に、佐伯君が星の話をしてくれた事があったじゃない」
「星の話?」
悠成が尋ねると、美鈴は嬉しそうに頷いた。
「そう。あれは冬だったかな。外で立って待っているうちに、どんどん暗くなっちゃって。それなのに、二人とも親がなかなか迎えに来なくて、おしゃべりしながら何となく空を見上げたの。私が『星がとっても綺麗だね』って言ったら、佐伯君が星の光の話をしてくれたんだよ」
「ああ。そう言えば、そんな事があったかな」
悠成もやっと思い出す。
確か小学校五年生の時の事だ。
真っ暗な中、寒さに震えている美鈴を放っておけなくて、気を紛らわせようと焦ったのを覚えている。美鈴が星の話題を出したので、少し前に父親に買ってもらった天体図鑑の中に書いてあったのを、美鈴に話して聞かせたのだ。
星はとても遠い所にあるので、星からの光が地球に届くまでには、秒速三十万キロという光の速さでも何十年、何百年、場合によっては何万年もかかってしまう。それほどの昔に放たれた光が、今やっと地球に届いて、それを自分たちがこうやって見ている。
