2.Home, Sweet Home
いつしか子供たちも大きくなり、それぞれに独立して家を離れました。
和男の生活はまったく変わらず、普段は役場で真面目に仕事をして、週末は妻と一緒に家の前の畑を耕し、一日の終わりには必ず『グァテマラ・アンティグア』を飲む。そんな当たり前でありきたりな毎日が続いていました。
そうこうするうちに、祖母を見送り、両親を見送り、和男と妻は二人でのんびり老後の生活を楽しんでいました。
年老いた両親を気遣って、二つ隣の市に新居を建てた長男や、他県に嫁いだ娘たちが「一緒に暮らさないか」と誘ってくれたりもしましたが、和男も妻も家を離れる気は毛頭ありませんでした。そこが終 の棲家だと、二人とも決めていたのでしょう。
けれど、人生とは思うようにはいかないものです。
古希を迎えた妻が、突然の病に倒れ、半年ほどの療養の甲斐もなく呆気なくこの世を去ってしまいました。
独りになった和男を、子供たちは心配しましたが、和男はどうしても家を離れる気にはなれませんでした。
何故なら、その家には、家族との大切な思い出がたくさん詰まっていたからです。祖父母の、両親の、兄弟の、そして和男自身の家族との大切な時間が。
生家を離れようとしない和男に、子供たちは、自分たちと一緒に暮らしてくれるよう何度も頼みました。入れ代わり立ち代わり順番に和男を説得しにやって来ましたが、和男は頑なに拒み続け、しまいには長男と喧嘩になってしまった事もありました。
それほどまでに家に固執していた和男でしたが、さすがに寄る年波には勝てませんでした。
おしどり夫婦だった妻に先立たれて、気を落としたのもあったのでしょう。
八十歳を超えた頃から、だんだんと体の自由が利かなくなりました。
子供達には黙っていましたが、実は、和男は軽い脳梗塞で倒れた事があり、その後遺症もあって、日常生活もなかなか思うようには行かなくなっていたのです。
そんなある日、事件が起きました。
定年後に広げた畑で農作業をしていた和男が、うっかり足を滑らせて、近くの沢に落ちてしまったのです。
その頃には、和男を心配して、子供たちが順番で一日一回、夕方に電話をする決まりになっていましたので、電話に出ないのを不安に思った次女が駆けつけてくれて事無きを得ました。
和男の生活はまったく変わらず、普段は役場で真面目に仕事をして、週末は妻と一緒に家の前の畑を耕し、一日の終わりには必ず『グァテマラ・アンティグア』を飲む。そんな当たり前でありきたりな毎日が続いていました。
そうこうするうちに、祖母を見送り、両親を見送り、和男と妻は二人でのんびり老後の生活を楽しんでいました。
年老いた両親を気遣って、二つ隣の市に新居を建てた長男や、他県に嫁いだ娘たちが「一緒に暮らさないか」と誘ってくれたりもしましたが、和男も妻も家を離れる気は毛頭ありませんでした。そこが
けれど、人生とは思うようにはいかないものです。
古希を迎えた妻が、突然の病に倒れ、半年ほどの療養の甲斐もなく呆気なくこの世を去ってしまいました。
独りになった和男を、子供たちは心配しましたが、和男はどうしても家を離れる気にはなれませんでした。
何故なら、その家には、家族との大切な思い出がたくさん詰まっていたからです。祖父母の、両親の、兄弟の、そして和男自身の家族との大切な時間が。
生家を離れようとしない和男に、子供たちは、自分たちと一緒に暮らしてくれるよう何度も頼みました。入れ代わり立ち代わり順番に和男を説得しにやって来ましたが、和男は頑なに拒み続け、しまいには長男と喧嘩になってしまった事もありました。
それほどまでに家に固執していた和男でしたが、さすがに寄る年波には勝てませんでした。
おしどり夫婦だった妻に先立たれて、気を落としたのもあったのでしょう。
八十歳を超えた頃から、だんだんと体の自由が利かなくなりました。
子供達には黙っていましたが、実は、和男は軽い脳梗塞で倒れた事があり、その後遺症もあって、日常生活もなかなか思うようには行かなくなっていたのです。
そんなある日、事件が起きました。
定年後に広げた畑で農作業をしていた和男が、うっかり足を滑らせて、近くの沢に落ちてしまったのです。
その頃には、和男を心配して、子供たちが順番で一日一回、夕方に電話をする決まりになっていましたので、電話に出ないのを不安に思った次女が駆けつけてくれて事無きを得ました。
