1.Over the Rainbow
そうやって二人が並んでいる姿が、まるでしっかり者の兄と、兄の真似をしようと必死な弟のように見えてくる。
何とも微笑ましくて、つい口元が緩んでしまう。
先ほどまでの焦りや緊張感が、するすると解けてゆくようだった。
「お待たせいたしました」
そう言って、店長がハーブティーを差し出す。
香奈の目の前に置かれたのは、淡い水色の勿忘草 が散りばめられた可愛らしい柄のティーカップだった。カップの中から、湯気と共に少しスパイシーなオレンジの香りが立ち昇ってくる。
「とっても良い香り」
香りと共にお茶を一口飲む。
途端に今まで味わった事のない不思議な味が口の中いっぱいに広がった。
香りと同様にハイビスカスとオレンジをベースにしながら、いくつものハーブやスパイスが絡み合った複雑な味。でも決して嫌な味ではなく、とても美味しく感じる。
「ハーブティーって初めて飲んだけど、こんなに美味しいんだ」
思わず口に出して言うと、黒髪の店長がにこりと微笑んだ。
「お気に召していただけて何よりです。茶葉の量り売りもしておりますので、よろしければご利用ください」
「あ、はい。ありがとうございます」
慌ててお礼を言いながら、帰りがけに少しいただいていこうかな、と考える。
(本当に美味しい)
何だか久しぶりにゆったりとした気持ちになる。それはこのお茶のおかげなのか、はたまたこのお店のおかげなのか。
とにかくずいぶん長い間、こんな感覚を忘れていた事は確かだ。
思えば高校二年生の春に今の大学を受験する事を決めてから、香奈はがむしゃらに頑張ってきた。自分の中に芽生えた大切な目標に向けて、他のものには一切興味を向けず、誰にも弱音を吐かずに、ひたすら走り続けてきたのだ。
でも、こうやって少し立ち止まって、冷静になって振り返ると、もしかしたら少し頑張り過ぎていたのかもしれない。知らないうちに自分が思う以上に疲れが溜まっていた事を、香奈は今しみじみと感じていた。
(こんな姿をあなたが見たら、きっともの凄く心配させちゃうね、ライラ)
溜め息を吐いて、香奈はそっと目を閉じた。
何とも微笑ましくて、つい口元が緩んでしまう。
先ほどまでの焦りや緊張感が、するすると解けてゆくようだった。
「お待たせいたしました」
そう言って、店長がハーブティーを差し出す。
香奈の目の前に置かれたのは、淡い水色の
「とっても良い香り」
香りと共にお茶を一口飲む。
途端に今まで味わった事のない不思議な味が口の中いっぱいに広がった。
香りと同様にハイビスカスとオレンジをベースにしながら、いくつものハーブやスパイスが絡み合った複雑な味。でも決して嫌な味ではなく、とても美味しく感じる。
「ハーブティーって初めて飲んだけど、こんなに美味しいんだ」
思わず口に出して言うと、黒髪の店長がにこりと微笑んだ。
「お気に召していただけて何よりです。茶葉の量り売りもしておりますので、よろしければご利用ください」
「あ、はい。ありがとうございます」
慌ててお礼を言いながら、帰りがけに少しいただいていこうかな、と考える。
(本当に美味しい)
何だか久しぶりにゆったりとした気持ちになる。それはこのお茶のおかげなのか、はたまたこのお店のおかげなのか。
とにかくずいぶん長い間、こんな感覚を忘れていた事は確かだ。
思えば高校二年生の春に今の大学を受験する事を決めてから、香奈はがむしゃらに頑張ってきた。自分の中に芽生えた大切な目標に向けて、他のものには一切興味を向けず、誰にも弱音を吐かずに、ひたすら走り続けてきたのだ。
でも、こうやって少し立ち止まって、冷静になって振り返ると、もしかしたら少し頑張り過ぎていたのかもしれない。知らないうちに自分が思う以上に疲れが溜まっていた事を、香奈は今しみじみと感じていた。
(こんな姿をあなたが見たら、きっともの凄く心配させちゃうね、ライラ)
溜め息を吐いて、香奈はそっと目を閉じた。
