1.Over the Rainbow
店内に置いてあるアンティークらしき小物も、売っている雑貨も、みんな趣味の良いものばかりで、どこか懐かしい感じがする。
とりあえず思ったほど怪しい店ではなさそうだ。
香奈はほっと安堵しながら、店員たちに声を掛けた。
「一人なんですが、ボックス席を使っても構いませんか?」
「はい。どうぞご遠慮なさらずにお使いください」
黒髪の店長は愛想よくそう言うと、琥珀色の瞳を優しそうに細めた。
もう一人のこげ茶髪の店員は、今度も黙って頷いただけだった。
「ちゃんとしなくちゃ駄目だよ、ハル。ほら、お客様にメニューをお出しして」
またしても店長に叱られて、ハルと呼ばれた少年が仕方なさそうにカウンターから出てくる。
「どうぞ。メニューです」
ぶっきらぼうに言いながら、テーブルの上にメニューを置く。
淡いサーモンピンク色の紙にカリグラフィーで書かれたメニューには、多種多様な種類の飲み物やいくつかの軽食の名前が並んでいた。
何を頼もうか真剣に悩んでいると、コーヒーとは別の良い香りが鼻先をくすぐった。
「あの」
こげ茶髪の店員に恐る恐る声を掛ける。
「この香り、何て名前の紅茶ですか?」
香奈の問いに、店員は幾分困ったように首を傾げる。すると、
「当店オリジナルのブレンドで、ハイビスカスにオレンジフラワー、それにシナモンやジンジャー、オレンジピールなどを併せたハーブティーです。シナモンやジンジャーは体を温めてくれますし、ハイビスカスは疲労回復に、オレンジの香りにはストレス緩和やリラックスの効果があります。本日のおすすめのお茶ですよ」
即座に応えたのは、黒髪の店長の方だった。
ハルという店員はばつが悪そうにそっぽを向いてしまった。
「じゃあ、それをお願いします」
「かしこまりました」
店長が愛想良く頷くのと同時に、ハルはさっさとカウンターへ戻って行く。
(バイト、まだ慣れてないのかな)
そんな風に思いながら、つい二人の店員を目で追ってしまう。
優雅な手つきでお茶を淹れる黒髪の店長の傍で、ハルが興味深そうにその様子を眺めている。決してやる気がないわけではないらしい。
とりあえず思ったほど怪しい店ではなさそうだ。
香奈はほっと安堵しながら、店員たちに声を掛けた。
「一人なんですが、ボックス席を使っても構いませんか?」
「はい。どうぞご遠慮なさらずにお使いください」
黒髪の店長は愛想よくそう言うと、琥珀色の瞳を優しそうに細めた。
もう一人のこげ茶髪の店員は、今度も黙って頷いただけだった。
「ちゃんとしなくちゃ駄目だよ、ハル。ほら、お客様にメニューをお出しして」
またしても店長に叱られて、ハルと呼ばれた少年が仕方なさそうにカウンターから出てくる。
「どうぞ。メニューです」
ぶっきらぼうに言いながら、テーブルの上にメニューを置く。
淡いサーモンピンク色の紙にカリグラフィーで書かれたメニューには、多種多様な種類の飲み物やいくつかの軽食の名前が並んでいた。
何を頼もうか真剣に悩んでいると、コーヒーとは別の良い香りが鼻先をくすぐった。
「あの」
こげ茶髪の店員に恐る恐る声を掛ける。
「この香り、何て名前の紅茶ですか?」
香奈の問いに、店員は幾分困ったように首を傾げる。すると、
「当店オリジナルのブレンドで、ハイビスカスにオレンジフラワー、それにシナモンやジンジャー、オレンジピールなどを併せたハーブティーです。シナモンやジンジャーは体を温めてくれますし、ハイビスカスは疲労回復に、オレンジの香りにはストレス緩和やリラックスの効果があります。本日のおすすめのお茶ですよ」
即座に応えたのは、黒髪の店長の方だった。
ハルという店員はばつが悪そうにそっぽを向いてしまった。
「じゃあ、それをお願いします」
「かしこまりました」
店長が愛想良く頷くのと同時に、ハルはさっさとカウンターへ戻って行く。
(バイト、まだ慣れてないのかな)
そんな風に思いながら、つい二人の店員を目で追ってしまう。
優雅な手つきでお茶を淹れる黒髪の店長の傍で、ハルが興味深そうにその様子を眺めている。決してやる気がないわけではないらしい。
