はじめに

 『猫目堂』という物語が誕生したのは、今から23年も前の2002年の事です。
 当初はこちらとは別のサイトにて、友人知人にだけ公開しておりました。それから、2004年11月に、小説サイト『天球図書館』として旧フォレストで改めてサイトを立ち上げ、『猫目堂』をシリーズ化いたしました。

 2006年3月には、(株)文芸社より単行本を刊行し、おかげさまで重版までしていただきました。また、それを機に旧フォレストでのサイト名も『猫目堂』に変更しました。
 当時、(株)文芸社で窓口になってくださったA様、編集を担当してくださったS様、販促担当のY様には大変お世話になりました。今でも忘れられない楽しい思い出であり、大変貴重な経験でした。
 こうして『猫目堂』は本となり、全国の本屋さんや図書館に並び、私にとっては一生の記念になりました。
 『猫目堂』という物語は無事に完結し、私と動物たちの思い出は、思ってもみなかった姿に形を変えて有終の美を飾りました。

 でも、それで終わりではなかったのです。
 単行本から15年後、再び『猫目堂』はその扉を開きました。

 突然、我が家に送られてきた(株)文芸社 企画編集室からのお手紙。
 正直に言うと、最初は詐欺ではないかと疑いました。だって、まさか15年も経ってから、文庫本化と電子書籍化してくださるなんて、夢にも思わなかったものですから。
 室長のK様とお話をして、詐欺でも夢でもない事を確認した私がどれほど驚いた事か、どうか想像してみてください。
 その後はどんどん話が進み、自分からお願いして物語の再構成をし、担当編集者K様と共に作り上げたのが文芸社文庫NEO『猫目堂~心をつなぐ喫茶店~』です。

 この時の担当編集者K様とのお電話がきっかけで、私の中で、もう二度と現れるはずのなかった『猫目堂』が鮮やかに蘇りました。新しい物語の主人公を連れて。
 「もしもいつか続編が完成したらお送りします」
 そう担当編集者K様にお約束してから1年後、新しい『猫目堂』が完成しました。
 新しい『猫目堂』は、おそらく書籍化されることはないと思います。(『猫目堂~心をつなぐ喫茶店~』の文庫本や電子書籍がものすごーく売れれば話は別ですが(笑)
 それでも私は、新しい『猫目堂』を書かずにはいられませんでした。
 昔、このサイトに来て『猫目堂』を「好き」とおっしゃってくださった方の為に。「続編を楽しみにしています」と優しいお気遣いをくださった担当編集者K様の為に。少数ですが、『猫目堂~心をつなぐ喫茶店~』の続きを読みたいとレビューやツイッター等に書いていくださった方の為に。
 新しい『猫目堂』をそれらの方々に捧げます。

 『猫目堂』はあくまでもファンタジーであり、架空の物語です。しかし、物語の多くは実際に私が体験したり見聞きした事がベースとなっております。
 もしかしたら『猫目堂』は、皆様の日常のすぐ傍に存在しているのかもしれません。
 いつかあなただけの『猫目堂』が現れる日が来る。
 そう思って楽しんでいただければ幸いです。
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