惚気おにごっこ

  • メイ

    ノボリさん好きです!
    好き好き好き大好き!

  • ノボリ

    メ、メイ様、落ち着いて
    くださいまし!
    お気持ちは充分伝わって
    おりますので!

  • メイ

    何回言っても足りない
    くらいなんです!
    好き
    幸せなくらい好き…

  • メイは満面の笑みでノボリに抱きついた。
    ノボリは狼狽える。

  • ノボリ

    こ、困りました……
    これでは、わたくしの
    心臓がいくつあっても
    足りません……!

  • メイ

    キスしてください

  • ノボリ

    え!?

  • メイ

    キスです
    お願いします~!

  • ノボリ

    わ、わかりました
    メイ様がそれで満足して
    くださるのなら……

    ……失礼いたします!

  • メイ

    ん…………

  • ノボリ

    …………これで宜しいですか

  • メイ

    えへへ……
    夢みたい

  • ノボリ

    では、わたくしを
    解放していただけると
    幸いなのですが……

  • メイ

    えー…まだ足りません
    もっとください

  • ノボリ

    こ、これ以上はご勘弁を!
    わたくし、恥ずかしくて
    気絶してしまいます!

  • メイ

    そ、それは
    困っちゃいますね

  • メイは抱きついていた手を放し、ノボリから離れた。

  • メイ

    じゃあ、代わりに
    好きって言って
    くれませんか?

  • ノボリ

    そ、それなら
    もちろん
    構いませんよ!

  • ノボリは深呼吸してから真面目な表情になる。
    メイの手を取り、彼女を見つめた。

  • ノボリ

    わたくしは……
    メイ様が好きです
    この世の誰よりも
    貴女様を愛しております

  • メイ

    ………っ!

  • メイはクラクラして足元がふらついた。
    ノボリが抱き止めて支える。

  • ノボリ

    おっと
    大丈夫ですか

  • メイ

    すみません
    とっても嬉しくて……!

  • ノボリ

    ふふ
    それは光栄です

  • メイ

    あたしも
    ノボリさんを愛してます
    世界中の誰よりも
    ずっと、一生!

  • ノボリ

    メイ様……
    そのお言葉を頂けて
    嬉しい限りでございます
    これからも一生
    お傍に居させてくださいませ

  • ノボリはメイの頬に手を添えた。
    メイもそれに応えるように目を閉じる。

    ―――二人は静かに唇を重ねた。

  • メイ

    ………………ノボリさん
    あの……あたし……

  • ノボリ

    どうされました?

  • メイ

    あたし……やっぱり……
    もっとしたいです……
    キス以上のこと、
    とかも……

  • ノボリ

    はい!?!?!?

  • ノボリ

    あああ貴女様は
    何を仰っているのですか!?!??

  • メイ

    ダメ?

  • ノボリ

    駄目に決まっております!!
    ここを何処だと思って
    おられるのですか!!

  • メイ

    サブウェイの
    ホームの物陰ですね
    ふふ、なんだか
    背徳感がありますよね♡

  • ノボリ

    そんなことを言っている
    のではごさいません!!

  • ノボリはメイから離れようとする。
    しかしメイが、不意打ちにノボリのネクタイを引っ張った。
    体勢が崩れた瞬間。
    彼の首に手を回し、キスをした。

  • ノボリ

    っ!!!?

  • メイ

    えへへっ
    ノボリさんの驚いた顔
    かわいいです♡

  • ノボリ

    なっ!?
    ~~~ッ!!

  • ノボリは一歩、後退りした。
    そして隙をついて逃げ出した!

  • メイ

    あっ、ホームでは
    駆け込み禁止って
    ノボリさん言ってた
    のに!

  • ノボリ

    緊急事態は別です!
    わたくしの心臓は今
    非常ベルを鳴らして
    おりますので!

  • ノボリは、メイを振り切ることに成功した!

  • 場所は変わり…
  • クダリのいるダブルトレインのホームにて。

  • クダリ

    ………。

    ベンチの物陰に
    黒いコート着た男が
    しゃがみ込んで隠れてる…

  • クダリ

    どう見てもあれはノボリ
    ノボリじゃなければ
    ただの不審者だ

  • クダリ

    ノボリ?

  • ノボリ

    (ひっ!?
    …ク、クダリですか!
    驚かせないでください!)

  • ノボリは声を発さず、口をパクパクさせて目配せで喋り出した。
    クダリも兄に合わせて、ベンチの物陰に隠れ、目配せだけで話を進める。

  • クダリ

    (なにしてるの?
    かくれんぼ?)

  • ノボリ

    (ええ
    かくれんぼです)

  • クダリ

    (誰と?)

  • ノボリ

    (メイ様に決まって
    おります!)

  • ベンチの物陰から周囲を見渡せば、メイがきょろきょろと誰かを探し回っている姿を発見した。
    彼女は、むーっと頬を膨らませている。

  • ノボリ

    (ああ! わたくしを
    探しておられる仕草が
    非常にお可愛らしい!
    追いかけられるほど
    愛されて
    男冥利に尽きます!)

  • クダリ

    (じゃあなんで
    逃げ隠れてるの?)

  • ノボリ

    (わたくしの心臓が
    今にも破裂してしまい
    そうだからです!!)

  • メイ

    ノボリさん
    みーつけたっ!

  • ノボリ

    ひぃッ!?

  • メイ

    もう! どうして
    逃げるんですか?

  • ノボリ

    メイ様こそ!
    なぜいきなりあんなことを仰るのですか!?

  • クダリ

    あんなことって?

  • メイ

    それはあたしが
    ノボリさんとキス以上の
    ことがしてみたi…むぐっ

  • ノボリ

    メ、メイ様は
    わたくしとバトルが
    したいとの事で!

  • メイ

    夜のバトルでs…もむむっ

  • ノボリ

    わたくしとの
    バトルはサブウェイを
    勝ち進んでからで
    お願いいたしますね!

  • メイ

    んんん~!

  • クダリ

    なるほど
    ノボリ、幸せ者だ

  • ノボリ

    え、ええ
    まあ……

  • クダリ

    ところでメイ
    ノボリが逃げた理由
    なんだと思う?

  • メイ

    ぷはっ……え?
    それは……あたしとの
    スキンシップに嫌気が
    差したとか、ですか……?

  • メイの顔が一気に曇る。
    ノボリは焦りながら慌てて否定した。

  • ノボリ

    そのようなわけが
    ございません!!
    その逆です!!

  • メイ

    え?

  • ノボリ

    貴女様を求めたいと
    口にすれば
    わたくしの心臓は耐えきれなくなりそうだったものですから
    咄嵯に逃げてしまったのです!!

  • メイ

    …………

  • クダリ

    …………

  • ノボリ

    はっ!?
    い、いえ、これはその!

  • ノボリは頭を抱えてその場に崩れ落ちた。

  • ノボリ

    なぜわたくしは
    こうも迂闊な発言を
    してしまうのでしょう……!

  • メイ

    嬉しい!
    じゃあ、今夜こそは
    ノボリさんとのハジメテを叶えてくれますか♡

  • ノボリ

    ッッッ!!

  • ノボリ

    この場を頼みました
    クダリ!!

  • クダリを身代わりにしてノボリは逃げ出した!

  • メイ

    あっ、ちょっと
    待ってくださいよ~!

  • クダリ

    はいはーい
    落ち着こうねメイ

  • メイ

    むう…
    また逃げられちゃい
    ました…

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