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さくらんぼの茎(ロンリナ)

2025/03/11 17:24
ロンリナ
「はあ、はあっ……もう、少し休ませてよ」
テーブルの上のさくらんぼの茎がすっかり忘れ去られるほど、二人は長いキスを交わしていた。リナはソファに深く沈み込み、荒い息を整えながらロンを見上げる。
「ねぇ、真っ昼間からこんなこと……!」
リナの抗議は、再びロンの唇に塞がれた。
「昼だって、夜だって関係ないだろう? 君がこんなに甘いんだから」
ロンの舌が彼女の唇を優しく割り、甘酸っぱいさくらんぼの味が口内に広がる。
「もう……ほんとにずるいんだから」
そう思いながらも、リナの体は自然と彼に預けられていく。いつものボサボサの前髪が顔に触れるたび、彼の海のように深い青い瞳が覗くたび、抵抗する気力がどこかに消えてしまう。
ふと気づくと、二人はソファからクッションの上へと倒れ込んでいた。ロンは彼女の髪を優しく撫でながら囁く。
「君、もっと続きがしたそうな顔してたよ」
「し、してない!」
リナは反論しようとするが、彼の瞳に見透かされているようで、言葉が詰まる。
「それに、まだ昼よ!」
「休日なんだから問題ないだろう?」
ロンの余裕たっぷりの声に、リナは観念したようにため息をつく。そして、ほんの少しだけ視線を逸らして小さく呟いた。
「……ブラインドくらい閉めてよね」
ロンが微笑みを浮かべながら頷くと、リナは彼の胸元に顔を埋めた。どうせこの男には勝てない。それでも、惚れた弱みというのはどうしてこうも甘いのだろう。
彼女の中で、またひとつ抗えない「ロンの誘惑」が増えたことを確信する瞬間だった。

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