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「うえっ、さぶっ」
チカちゃんが自動ドアをくぐるとうめき声とともに寒さに震える。僕もすぐあとに続いて、両手で腕をさすりながらぶるりと身体をふるわせた。
目も開けていられないほどの木枯らしが吹き荒れる。キャンパスにそこかしこに植えられている木が、見てわかるくらい葉を揺らしていた。おでこに冷たい風が直撃する。凍傷になったらどうしよう。コートで身体を、手袋で手を、マフラーで首を寒さから守ることができるというのに、なんで顔はどうにもならないのだろう。顔全体を覆えるフェイスガードみたいなのがあればいいのに。チカちゃんも目ギリギリまでマフラーで顔を覆っている。それでも、センター分けで開いたおでこはどうにもならなくて、手袋をした両手でなんとかあっためている。ふいにマフラーの隙間からぱっちりした瞳がこっちを向いた。
「……アフロ、あったかそう」
「そうでもないよ?」
強い風の前では髪の髪の強度なんてたかがしれている。髪が頭部を保温したところでおでこが寒いのは変わらないのだから。
「チカちゃんも、おでこを隠す髪型をするというのは」
「これが一番落ち着くから変えたくないなー。それにおでこ出してる人のほうが印象いいんじゃなかったっけ」
うん、そういえば政治家は好印象っぽく見せるためにおでこを見せる髪型にしてるって聞いたことがある。僕は天パに覆われたおでこを触った。
「あ、別にトトくんはそのままでいいからね。むしろほわほわしてて好き」
今まで印象よくないって思ってたのかな、と焦ったけど、その心を読んだようにチカちゃんが慌てて付け加えた。アフロはそこまで誇りに思ってないし、なんならストパにしたいくらいなんだけど、好きと言われたらこのままでもいいかなとなった。チカちゃんは好きなものにはわかりやすく反応するけど、興味のないことにははっきりとそういう態度を示す。だから、彼女の好きっていう言葉には信頼があるのだ。まあ、僕の前ではかなりの頻度で使ってくるからこっちはドキドキしっぱなしなのだが。
チカちゃんはマフラーから口を出して、ふぅーっと息を吐いた。
「まだ息は白くならないね」
寒い日のチカちゃんは、たまにこうやって冬の訪れを確認している。雪国出身って言ってたから、雪が恋しいのかな。
「でも寒くないほうがいい」
「まあそれに越したことはないんだけどね。一人で帰るとホント寒いんだけどさ。トトくんと帰ると、喋ってると楽しいから寒さなんて忘れちゃうよ」
チカちゃんと喋っているたびに、心がみたされる。あったかくなる。もう少しこの時間が続けばいいと、ちょっと小股になって歩くペースを落としたのは内緒だ。
チカちゃんが自動ドアをくぐるとうめき声とともに寒さに震える。僕もすぐあとに続いて、両手で腕をさすりながらぶるりと身体をふるわせた。
目も開けていられないほどの木枯らしが吹き荒れる。キャンパスにそこかしこに植えられている木が、見てわかるくらい葉を揺らしていた。おでこに冷たい風が直撃する。凍傷になったらどうしよう。コートで身体を、手袋で手を、マフラーで首を寒さから守ることができるというのに、なんで顔はどうにもならないのだろう。顔全体を覆えるフェイスガードみたいなのがあればいいのに。チカちゃんも目ギリギリまでマフラーで顔を覆っている。それでも、センター分けで開いたおでこはどうにもならなくて、手袋をした両手でなんとかあっためている。ふいにマフラーの隙間からぱっちりした瞳がこっちを向いた。
「……アフロ、あったかそう」
「そうでもないよ?」
強い風の前では髪の髪の強度なんてたかがしれている。髪が頭部を保温したところでおでこが寒いのは変わらないのだから。
「チカちゃんも、おでこを隠す髪型をするというのは」
「これが一番落ち着くから変えたくないなー。それにおでこ出してる人のほうが印象いいんじゃなかったっけ」
うん、そういえば政治家は好印象っぽく見せるためにおでこを見せる髪型にしてるって聞いたことがある。僕は天パに覆われたおでこを触った。
「あ、別にトトくんはそのままでいいからね。むしろほわほわしてて好き」
今まで印象よくないって思ってたのかな、と焦ったけど、その心を読んだようにチカちゃんが慌てて付け加えた。アフロはそこまで誇りに思ってないし、なんならストパにしたいくらいなんだけど、好きと言われたらこのままでもいいかなとなった。チカちゃんは好きなものにはわかりやすく反応するけど、興味のないことにははっきりとそういう態度を示す。だから、彼女の好きっていう言葉には信頼があるのだ。まあ、僕の前ではかなりの頻度で使ってくるからこっちはドキドキしっぱなしなのだが。
チカちゃんはマフラーから口を出して、ふぅーっと息を吐いた。
「まだ息は白くならないね」
寒い日のチカちゃんは、たまにこうやって冬の訪れを確認している。雪国出身って言ってたから、雪が恋しいのかな。
「でも寒くないほうがいい」
「まあそれに越したことはないんだけどね。一人で帰るとホント寒いんだけどさ。トトくんと帰ると、喋ってると楽しいから寒さなんて忘れちゃうよ」
チカちゃんと喋っているたびに、心がみたされる。あったかくなる。もう少しこの時間が続けばいいと、ちょっと小股になって歩くペースを落としたのは内緒だ。