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肩の力が抜ける場所
大学の学食。整が食べかけのカレーを前にノートを広げ、隣に座った千景が湯気の立つお茶を片手に彼の話を静かに聞いていた。
「やっぱりここにいた! 千景ちゃん、久能くん、隣いい?」
その二人の姿を見つけるなり、相良レンが勢いよく近づいてくる。千景が軽く手でどうぞと示すと、レンは遠慮なくトレイを置いて腰を下ろした。
「ちょうどよかった。レンくんも意見ちょうだい」
「え、なんの話?」
千景が研究プロジェクトの資料を取り出す。「みんなと違う視点で新しいアイデアを考えろ」という教授からの無茶ぶりに頭を抱えているらしい。
「難しいね。でも、久能くんが隣にいるならすぐ何か出そうじゃん?」
「僕に振らないでくださいよ。そんなに器用じゃありません」
整がカレーを一口運びながら肩をすくめると、レンはにやりと笑った。
「でも千景ちゃん、久能くんに頼るんだな。なんか新鮮だね」
「新鮮?」
千景が首をかしげる。
「いや、千景ちゃんって、自分でなんでもやっちゃいそうなイメージあるけど。久能くんと話してるときだけ、ちょっと肩の力抜けてる感じするからさ」
言われて、千景は少しだけ目を瞬かせた。「そうかな」と小声で呟く。レンはその反応を見て、今度は整に目配せを送る。
(な、オレだけがそう思ってるわけじゃないよな?)
整はレンからの視線に気づきながらも、スプーンをカレー皿に置き、わざとノートのページをめくる。「さあ」とでも言いたげなそっけない態度だ。
「で、みんなと違うアイデアってどうやって考えるんだ?」とレンが話題を戻す。
「整くんがさっき言ってたのが良かったよね。自然を模倣するってやつ」
千景が言うと、整は少し困ったように首を振った。
「ただの思いつきですよ。そこまで褒めるようなことではないです」
「いや、それいいじゃん! 例えばカメレオンの体色変化とか? カッコいいじゃん!」
レンが目を輝かせる。
「私もそれいいなって思ったんだけど、教授からの『新しい視点を』っていうプレッシャーが……」
「みんなと違うって言われると逆にやりにくいよな」
レンが肩をすくめる。
整は淡々と持論を話しながら、千景がほっとしたように頷くのを横目で捉える。何気ないその仕草に、整は一瞬だけ視線を落とし、そっと息を吐いた。
(肩の力が抜ける……か。僕も、千景さんにはそう思ってるのかもしれない)
大学の学食。整が食べかけのカレーを前にノートを広げ、隣に座った千景が湯気の立つお茶を片手に彼の話を静かに聞いていた。
「やっぱりここにいた! 千景ちゃん、久能くん、隣いい?」
その二人の姿を見つけるなり、相良レンが勢いよく近づいてくる。千景が軽く手でどうぞと示すと、レンは遠慮なくトレイを置いて腰を下ろした。
「ちょうどよかった。レンくんも意見ちょうだい」
「え、なんの話?」
千景が研究プロジェクトの資料を取り出す。「みんなと違う視点で新しいアイデアを考えろ」という教授からの無茶ぶりに頭を抱えているらしい。
「難しいね。でも、久能くんが隣にいるならすぐ何か出そうじゃん?」
「僕に振らないでくださいよ。そんなに器用じゃありません」
整がカレーを一口運びながら肩をすくめると、レンはにやりと笑った。
「でも千景ちゃん、久能くんに頼るんだな。なんか新鮮だね」
「新鮮?」
千景が首をかしげる。
「いや、千景ちゃんって、自分でなんでもやっちゃいそうなイメージあるけど。久能くんと話してるときだけ、ちょっと肩の力抜けてる感じするからさ」
言われて、千景は少しだけ目を瞬かせた。「そうかな」と小声で呟く。レンはその反応を見て、今度は整に目配せを送る。
(な、オレだけがそう思ってるわけじゃないよな?)
整はレンからの視線に気づきながらも、スプーンをカレー皿に置き、わざとノートのページをめくる。「さあ」とでも言いたげなそっけない態度だ。
「で、みんなと違うアイデアってどうやって考えるんだ?」とレンが話題を戻す。
「整くんがさっき言ってたのが良かったよね。自然を模倣するってやつ」
千景が言うと、整は少し困ったように首を振った。
「ただの思いつきですよ。そこまで褒めるようなことではないです」
「いや、それいいじゃん! 例えばカメレオンの体色変化とか? カッコいいじゃん!」
レンが目を輝かせる。
「私もそれいいなって思ったんだけど、教授からの『新しい視点を』っていうプレッシャーが……」
「みんなと違うって言われると逆にやりにくいよな」
レンが肩をすくめる。
整は淡々と持論を話しながら、千景がほっとしたように頷くのを横目で捉える。何気ないその仕草に、整は一瞬だけ視線を落とし、そっと息を吐いた。
(肩の力が抜ける……か。僕も、千景さんにはそう思ってるのかもしれない)