エスパーと天使~小話~
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動物にもモテモテ
買い出しが終わって坂本商店に帰る途中のことだった。アヤの香りが遠ざかったような気がして振り向いたら、彼女は数歩後ろで地面を見つめていた。
「アヤ?」
アヤの突っ立っている場所に戻ると、彼女の視線の先には赤い斑点。すぐそこの路地裏へと続いていた。よく見ればわかるけど、足元をよーく意識していなければわからないほどの小さなものだ。アヤの常人より優れた目はそれを逃さなかったらしい。
動物が足でもケガしたのだろうか。アヤと一瞬アイコンタクトして赤を辿っていくと、痕跡は途中で切れていた。パッと見それらしき赤の主は見当たらない。
『痛えよ~どうしよ〜』
シンのエスパーが声を捉えた。どこからだ。この辺に人の姿は見えない。しかし、声の発生源は明らかにこの空間からだ。ラジオのアンテナをあわせるように感覚を研ぎ澄ますと、何やら声は足下から出ているらしい。ゴミ箱、ダンボールと物が乱雑に捨てられているところに目がいき、手当たり次第覗いていく。ダンボールの陰にブラウンの猫がうずくまっていた。
猫と目が合うと、猫の頭の中に怖い、という文字が浮かび上がる。
「ほーら、俺ら治してやるから。こっち来い」
彼は怖がらせないように猫に目線を合わせて屈み、アヤのもとに誘導する。
猫はおそるおそる彼女の膝の上に前足を差し出した。アヤは背中を撫でながら、猫の前足に優しく触れる。ぱっくり割れていた傷口がみるみる塞がっていった。
「血は洗い流したほうがよさそうね」
血は止まっても既に流れていた血が消えるわけではない。近くの公園の水道で血を洗い流せば、猫の足はすっかりもとの美しい茶色に戻った。
「ふふっ」
無事治ってよかったね。そんな思いを込めてアヤが猫の首を撫でると、猫は喉をゴロゴロ鳴らしてアヤの胸に飛び込んだ。彼女は反射的に猫をキャッチする。
「あ、おいてめえ! そこは俺のポジションだ!」
なんかアヤがジトっとした目を向けてきたがそんなことは今どうでもいい。猫はアヤにスリスリ寄り、頬ずりし、果てには愛らしい肉球でアヤの豊かな双丘をふみふみ押し始めた。
元々アヤが可愛いというのもあるが、天使のように優しく治療されたら虜にならない動物はいない。その気持ちはわかるのだが。猫の気高さ、いやずる賢さがエスパーでガンガン伝わってくる。小動物にマウントを取られたような気分になったシンは声を荒らげて猫に突っかかった。
「おい、店戻んぞ」「もうちょっと可愛いがってもいいでしょ」と押し問答を繰り返す間にも猫は甘え度を増していく。猫派のアヤにはしばらく、シンの急かしは耳に入らないだろう。
くっそ覚えてろよ。
シンはこの後あの猫以上にアヤに甘えてやると誓った。
買い出しが終わって坂本商店に帰る途中のことだった。アヤの香りが遠ざかったような気がして振り向いたら、彼女は数歩後ろで地面を見つめていた。
「アヤ?」
アヤの突っ立っている場所に戻ると、彼女の視線の先には赤い斑点。すぐそこの路地裏へと続いていた。よく見ればわかるけど、足元をよーく意識していなければわからないほどの小さなものだ。アヤの常人より優れた目はそれを逃さなかったらしい。
動物が足でもケガしたのだろうか。アヤと一瞬アイコンタクトして赤を辿っていくと、痕跡は途中で切れていた。パッと見それらしき赤の主は見当たらない。
『痛えよ~どうしよ〜』
シンのエスパーが声を捉えた。どこからだ。この辺に人の姿は見えない。しかし、声の発生源は明らかにこの空間からだ。ラジオのアンテナをあわせるように感覚を研ぎ澄ますと、何やら声は足下から出ているらしい。ゴミ箱、ダンボールと物が乱雑に捨てられているところに目がいき、手当たり次第覗いていく。ダンボールの陰にブラウンの猫がうずくまっていた。
猫と目が合うと、猫の頭の中に怖い、という文字が浮かび上がる。
「ほーら、俺ら治してやるから。こっち来い」
彼は怖がらせないように猫に目線を合わせて屈み、アヤのもとに誘導する。
猫はおそるおそる彼女の膝の上に前足を差し出した。アヤは背中を撫でながら、猫の前足に優しく触れる。ぱっくり割れていた傷口がみるみる塞がっていった。
「血は洗い流したほうがよさそうね」
血は止まっても既に流れていた血が消えるわけではない。近くの公園の水道で血を洗い流せば、猫の足はすっかりもとの美しい茶色に戻った。
「ふふっ」
無事治ってよかったね。そんな思いを込めてアヤが猫の首を撫でると、猫は喉をゴロゴロ鳴らしてアヤの胸に飛び込んだ。彼女は反射的に猫をキャッチする。
「あ、おいてめえ! そこは俺のポジションだ!」
なんかアヤがジトっとした目を向けてきたがそんなことは今どうでもいい。猫はアヤにスリスリ寄り、頬ずりし、果てには愛らしい肉球でアヤの豊かな双丘をふみふみ押し始めた。
元々アヤが可愛いというのもあるが、天使のように優しく治療されたら虜にならない動物はいない。その気持ちはわかるのだが。猫の気高さ、いやずる賢さがエスパーでガンガン伝わってくる。小動物にマウントを取られたような気分になったシンは声を荒らげて猫に突っかかった。
「おい、店戻んぞ」「もうちょっと可愛いがってもいいでしょ」と押し問答を繰り返す間にも猫は甘え度を増していく。猫派のアヤにはしばらく、シンの急かしは耳に入らないだろう。
くっそ覚えてろよ。
シンはこの後あの猫以上にアヤに甘えてやると誓った。