エスパーと天使~小話~
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この顔にできるのは俺だけ
シンはアヤの手のひらに収まる小さきマスコットに青筋を浮かべていた。
「へへっ」
視線の先では、自分を模したぬいぐるみがアヤにひたすら愛でられている。
アヤは惜しげもなくその顔にキスの雨を降らせ、エプロンで覆われた腹の部分に頬ずり。フードは脱ぎ着できるらしく、「ファサ……」という擬音語を自分で発しながらフードを脱いだり被せたりして戯れる。
「ん~、ふふ」
くっそ、俺にもあんな顔しねえじゃねえか。正直アヤのあんなだらしなく緩んだ顔を見たのは初めてで、アヤの頭の中は可愛いの文字でいっぱいだ。
アヤの手に乗る小さな物体は終始ほほえみを崩さないが、シンにはアヤの寵愛を受けてドヤっているようにしか見えなかった。
堪忍袋の緒が切れたシンはアヤからぬいを奪って枕元に放り投げる。返してと言わんばかりにアヤが手を伸ばし、押しあった末にアヤがシンをベッドに組み敷く形になった。
「あっ……」
やってしまった、というアヤが心の声をシンはしっかり拾った。いたたまれない気持ちに満たされたアヤがシンの上を退こうとしたが、シンはアヤの腕を掴み、アヤの顔を至近距離で固定する。
「俺には普段そんなチューしないのに、アイツにはするんだ」
「……なっ、それとこれとはわけが違うわよ」
先ほど人形にしていた行為を思い出しては、一人恥ずかしがっているらしい。実物には素直じゃねえの、ちょっと寂しい。
「俺にもしろよ」
「もうっ、勝手なんだから」
俺のささやかな怒りとヤキモチは伝わったようで、アヤはぶつくさ文句を言いながら、シンの胸に遠慮がちに頬を当てた。猫みたいに俺の上でゴロゴロ動いてから、さっき人形にしたのと同じく俺の顔全体にキスの雨を降らす。額、こめかみ、鼻、頬、そして。
「んうっ!?」
アヤの唇がシンの口に近づいた瞬間、シンはアヤの後頭部を捕まえる。
あれはあくまでも人形に対する戯れだってわかってるけど、俺が見たことのないアヤの表情を引き出す存在が俺以外にいるのは、やっぱ気にくわねえ。なら、俺にしか引き出せないアヤの顔で対抗してやる。あいつなら、アヤをこんなエロい顔にはできねえよな。
仰向けに放り投げられた小さきぬいぐるみを一瞥して、シンは再び溶けるような甘いキスをアヤに送った。
シンはアヤの手のひらに収まる小さきマスコットに青筋を浮かべていた。
「へへっ」
視線の先では、自分を模したぬいぐるみがアヤにひたすら愛でられている。
アヤは惜しげもなくその顔にキスの雨を降らせ、エプロンで覆われた腹の部分に頬ずり。フードは脱ぎ着できるらしく、「ファサ……」という擬音語を自分で発しながらフードを脱いだり被せたりして戯れる。
「ん~、ふふ」
くっそ、俺にもあんな顔しねえじゃねえか。正直アヤのあんなだらしなく緩んだ顔を見たのは初めてで、アヤの頭の中は可愛いの文字でいっぱいだ。
アヤの手に乗る小さな物体は終始ほほえみを崩さないが、シンにはアヤの寵愛を受けてドヤっているようにしか見えなかった。
堪忍袋の緒が切れたシンはアヤからぬいを奪って枕元に放り投げる。返してと言わんばかりにアヤが手を伸ばし、押しあった末にアヤがシンをベッドに組み敷く形になった。
「あっ……」
やってしまった、というアヤが心の声をシンはしっかり拾った。いたたまれない気持ちに満たされたアヤがシンの上を退こうとしたが、シンはアヤの腕を掴み、アヤの顔を至近距離で固定する。
「俺には普段そんなチューしないのに、アイツにはするんだ」
「……なっ、それとこれとはわけが違うわよ」
先ほど人形にしていた行為を思い出しては、一人恥ずかしがっているらしい。実物には素直じゃねえの、ちょっと寂しい。
「俺にもしろよ」
「もうっ、勝手なんだから」
俺のささやかな怒りとヤキモチは伝わったようで、アヤはぶつくさ文句を言いながら、シンの胸に遠慮がちに頬を当てた。猫みたいに俺の上でゴロゴロ動いてから、さっき人形にしたのと同じく俺の顔全体にキスの雨を降らす。額、こめかみ、鼻、頬、そして。
「んうっ!?」
アヤの唇がシンの口に近づいた瞬間、シンはアヤの後頭部を捕まえる。
あれはあくまでも人形に対する戯れだってわかってるけど、俺が見たことのないアヤの表情を引き出す存在が俺以外にいるのは、やっぱ気にくわねえ。なら、俺にしか引き出せないアヤの顔で対抗してやる。あいつなら、アヤをこんなエロい顔にはできねえよな。
仰向けに放り投げられた小さきぬいぐるみを一瞥して、シンは再び溶けるような甘いキスをアヤに送った。