エスパーと天使~小話~
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オレの前ではいくらでも休め
「おいルー、ちけーよ」
「シンは毎日アヤの寝顔見れるからいいじゃん」
ルーはアヤの睫毛の前で頬を膨らませた。いくらルーが女といえども、薄い紙一枚しか通らない距離で穴があくほど彼女の顔を見つめていたら、いい気分はしない。
『シンのガキっぽさに拍車がかかったわネ』
「聞こえてんぞ」
「彼氏マウント全開なとこがガキっぽいってことヨ」
「彼氏だからな」
シンは流れてきたルーの思考をあしらってアヤの肩に手をまわし、自慢げに正面を向いた。
死刑囚のソウ戦で死線をくぐりぬけ、はれて恋人同士になったシンとアヤ。互いに我慢していた恋心を隠す必要がなくなった今となっては、アヤのいろんな顔が見られるようになった。もともと美少女の顔立ちをしている彼女が表情豊かになれば、ますます周りの人間を魅了する。それは寝顔でさえも。ルーはアヤの頭をぽんぽん、と撫でてから、珍しく自分のエプロンをちゃんと着て、ほうきを持って店前に出て行った。
心地よい春風を顔に感じてから、自動ドアが閉まる。店内は静けさを保ち、シンの肩にもたれているアヤの寝息のみが、彼の鼓膜を揺らす。アヤが宮バァのもとに通って数日、早速能力の消費が激しいらしい。
死刑囚のソウを倒したあと、アヤは坂本商店でバイトする傍ら宮バァのもとで修行している。治癒能力を使いこなすヒントを得られるかもしれないから、とアヤ自ら熱心に志願していた。そこで運ばれてくるけが人(殺し屋しかいないが)をひたすら治す日々を送っているらしい。
ホントはずっと宮バァのもとにいたほうが安全なんじゃないかとも思った。だが、これからもアヤはシンたちと一緒に坂本の懸賞金取り下げに動く予定である。
告白したときに知ったから。アヤがどれだけシンと一緒にいたいか。2人でラボを抜け出して彼と共に殺し屋の道に進んだのも、ただただ片時も離れたくないという思いからだった。片時も離れたくないのはシンも一緒だが。
ほんの数日前のことを思い出していたら、店長の妻、葵が店の奥から姿を現した。シンはアヤをちらりとみて、別の場所に運ぼうと思い立つ。だがこの状態から運ぶとなると、アヤを起こしてしまいそうだったし、名残惜しくて動く気はすぐに失せる。もう少しこの距離でアヤの寝顔を眺め、寝息を聞いていたかった。
「あら、今お昼休憩だからそのままでいいわよ。休憩明けても起きなさそうだったら部屋に移動しましょう」
まるでシンの心を読んだかのように葵は声をかけ、シンは照れくさそうに返事をした。
すると、葵が何か思いついたようなそぶりをして部屋に引き返し、しばらくするとタオルケットをもってレジに戻ってきた。
「はい、これ使って」
「あ、ありがとうございます」
葵の母性あふれる笑顔を前に、シンはたどたどしくタオルケットを受け取り、アヤと自身を包み込むように優しくかけた。
恋人ってだけでまた違う温もりだ。それともこの状況を喜んでいる彼の熱か。
うとうとしたシンは、そのまま眠りの世界へと導かれた。
「おいルー、ちけーよ」
「シンは毎日アヤの寝顔見れるからいいじゃん」
ルーはアヤの睫毛の前で頬を膨らませた。いくらルーが女といえども、薄い紙一枚しか通らない距離で穴があくほど彼女の顔を見つめていたら、いい気分はしない。
『シンのガキっぽさに拍車がかかったわネ』
「聞こえてんぞ」
「彼氏マウント全開なとこがガキっぽいってことヨ」
「彼氏だからな」
シンは流れてきたルーの思考をあしらってアヤの肩に手をまわし、自慢げに正面を向いた。
死刑囚のソウ戦で死線をくぐりぬけ、はれて恋人同士になったシンとアヤ。互いに我慢していた恋心を隠す必要がなくなった今となっては、アヤのいろんな顔が見られるようになった。もともと美少女の顔立ちをしている彼女が表情豊かになれば、ますます周りの人間を魅了する。それは寝顔でさえも。ルーはアヤの頭をぽんぽん、と撫でてから、珍しく自分のエプロンをちゃんと着て、ほうきを持って店前に出て行った。
心地よい春風を顔に感じてから、自動ドアが閉まる。店内は静けさを保ち、シンの肩にもたれているアヤの寝息のみが、彼の鼓膜を揺らす。アヤが宮バァのもとに通って数日、早速能力の消費が激しいらしい。
死刑囚のソウを倒したあと、アヤは坂本商店でバイトする傍ら宮バァのもとで修行している。治癒能力を使いこなすヒントを得られるかもしれないから、とアヤ自ら熱心に志願していた。そこで運ばれてくるけが人(殺し屋しかいないが)をひたすら治す日々を送っているらしい。
ホントはずっと宮バァのもとにいたほうが安全なんじゃないかとも思った。だが、これからもアヤはシンたちと一緒に坂本の懸賞金取り下げに動く予定である。
告白したときに知ったから。アヤがどれだけシンと一緒にいたいか。2人でラボを抜け出して彼と共に殺し屋の道に進んだのも、ただただ片時も離れたくないという思いからだった。片時も離れたくないのはシンも一緒だが。
ほんの数日前のことを思い出していたら、店長の妻、葵が店の奥から姿を現した。シンはアヤをちらりとみて、別の場所に運ぼうと思い立つ。だがこの状態から運ぶとなると、アヤを起こしてしまいそうだったし、名残惜しくて動く気はすぐに失せる。もう少しこの距離でアヤの寝顔を眺め、寝息を聞いていたかった。
「あら、今お昼休憩だからそのままでいいわよ。休憩明けても起きなさそうだったら部屋に移動しましょう」
まるでシンの心を読んだかのように葵は声をかけ、シンは照れくさそうに返事をした。
すると、葵が何か思いついたようなそぶりをして部屋に引き返し、しばらくするとタオルケットをもってレジに戻ってきた。
「はい、これ使って」
「あ、ありがとうございます」
葵の母性あふれる笑顔を前に、シンはたどたどしくタオルケットを受け取り、アヤと自身を包み込むように優しくかけた。
恋人ってだけでまた違う温もりだ。それともこの状況を喜んでいる彼の熱か。
うとうとしたシンは、そのまま眠りの世界へと導かれた。