エスパーと天使~小話~
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非日常で素直になる?
休日は動画見ながら筋トレ、アヤは普段酷使している目を癒やすべく適当に散歩。いつもなら思い思いの休日を過ごすはずだった。今日はちょっと遠出。車で水族館に行く。
ラボを抜け出したときから俺とアヤはずっと一緒に住んでるし、坂本商店に住居が移ったあとも同様だ。坂本さんが俺に水族館のチケットを2枚渡してきて、「アヤと行ってこい」と思考を飛ばされた。
葵さんがスーパーのくじ引きで当てたチケット4枚のうちの2枚だった。坂本さんと葵さんと花ちゃんの3人で行けばいいんじゃないか、と疑問に思ってたら想像で頭をかち割られた。
「お前、アヤが心から笑ってるの見たことあるのか」
丸眼鏡越しの坂本さんの視線に俺ははっきりと答えることができなかった。小さいころからあいつは無口で、俺がエスパーになってからもあいつの思考はほとんど流れてこないから、隣が居心地いいと思ったほど。あいつは殺し屋になる覚悟と同時に素の感情を閉ざしたような気があったけど、俺たちが坂本さんに助けられて、平和な日常を知ってからあいつは少しずついろんな表情を見せるようになった。なんだかんだ恋人になったとはいえ、今まで殺し屋として生きることしか知らなかった俺たちには、世間一般の恋人らしいことなんて何なのかわからない。ここは坂本さんの思いを無駄にせず、わからないなりにデートとやらをすることにした。
朝になってアヤが葵さんの部屋に連れ込まれ、「覗くの禁止よ!」とものすごい剣幕で言われたけど、部屋から出てきたアヤは最高に可愛くなっていた。当の本人も化粧なんて初めてで目を丸くしていたが。
自分の車をこうやって走らせるのも変な感じだ。殺しの現場に行くときか、商店の配達業務でしか使うことがなかったから。命を取られまいとピリピリした雰囲気か、仕事をこなすだけで何でもない空気しかなかったはずが、今は静かにしていても心地いい。この先もっと、アヤのかわいい姿を見られるのか考えるだけで気分が上がった。
こいつも同じことを考えているらしい。しばらく信号のない一本道で単調にアクセルを踏むだけになったとき、助手席を見るとアヤはスマホの画面をスクロールしながら、これから行く水族館でどのお土産を買おうか悩み中だ。気が早えな、と若干あきれたが恋人のキラキラした目をみればそんな思いはすぐに吹っ飛んだ。
やっと信号が見えて、久しぶりにブレーキを踏んだ。そして、助手席を見ようと目線を移したときだった。
「っ!?」
身体が突然引き寄せられ、アヤの顔がドアップになる。むに、と口に柔らかいものが触れていた。アヤが俺のパーカーを掴んでキスしやがったんだ、と遅れて気づいた。
「おまっ、どうしたんだよ」
「いつもシンからばっか。たまにはいいでしょ」
事も無げにアヤは助手席に座り直して窓の外を見るが、耳が赤いのがバレバレである。何考えてるか気になったけど、心はガードしていてさすがに読めなかった。
アヤから甘えてくるのはめったにないので、俺はこの瞬間を噛み締めハンドルを強く握った。
「信号青よ」
「あっ」
俺は慌ててアクセルを勢いよく踏んだ。
「ちょっと、運転荒いわよ」
「うっ……てめえ覚えてろよ」
いつものやりとりは健在だ。それでも、非日常は人を変えるのだろうか。行く前は気負ってたけど、心のままに動いていればよさそうだ。俺は肩の力を抜いてハンドルの握る位置を直した。
休日は動画見ながら筋トレ、アヤは普段酷使している目を癒やすべく適当に散歩。いつもなら思い思いの休日を過ごすはずだった。今日はちょっと遠出。車で水族館に行く。
ラボを抜け出したときから俺とアヤはずっと一緒に住んでるし、坂本商店に住居が移ったあとも同様だ。坂本さんが俺に水族館のチケットを2枚渡してきて、「アヤと行ってこい」と思考を飛ばされた。
葵さんがスーパーのくじ引きで当てたチケット4枚のうちの2枚だった。坂本さんと葵さんと花ちゃんの3人で行けばいいんじゃないか、と疑問に思ってたら想像で頭をかち割られた。
「お前、アヤが心から笑ってるの見たことあるのか」
丸眼鏡越しの坂本さんの視線に俺ははっきりと答えることができなかった。小さいころからあいつは無口で、俺がエスパーになってからもあいつの思考はほとんど流れてこないから、隣が居心地いいと思ったほど。あいつは殺し屋になる覚悟と同時に素の感情を閉ざしたような気があったけど、俺たちが坂本さんに助けられて、平和な日常を知ってからあいつは少しずついろんな表情を見せるようになった。なんだかんだ恋人になったとはいえ、今まで殺し屋として生きることしか知らなかった俺たちには、世間一般の恋人らしいことなんて何なのかわからない。ここは坂本さんの思いを無駄にせず、わからないなりにデートとやらをすることにした。
朝になってアヤが葵さんの部屋に連れ込まれ、「覗くの禁止よ!」とものすごい剣幕で言われたけど、部屋から出てきたアヤは最高に可愛くなっていた。当の本人も化粧なんて初めてで目を丸くしていたが。
自分の車をこうやって走らせるのも変な感じだ。殺しの現場に行くときか、商店の配達業務でしか使うことがなかったから。命を取られまいとピリピリした雰囲気か、仕事をこなすだけで何でもない空気しかなかったはずが、今は静かにしていても心地いい。この先もっと、アヤのかわいい姿を見られるのか考えるだけで気分が上がった。
こいつも同じことを考えているらしい。しばらく信号のない一本道で単調にアクセルを踏むだけになったとき、助手席を見るとアヤはスマホの画面をスクロールしながら、これから行く水族館でどのお土産を買おうか悩み中だ。気が早えな、と若干あきれたが恋人のキラキラした目をみればそんな思いはすぐに吹っ飛んだ。
やっと信号が見えて、久しぶりにブレーキを踏んだ。そして、助手席を見ようと目線を移したときだった。
「っ!?」
身体が突然引き寄せられ、アヤの顔がドアップになる。むに、と口に柔らかいものが触れていた。アヤが俺のパーカーを掴んでキスしやがったんだ、と遅れて気づいた。
「おまっ、どうしたんだよ」
「いつもシンからばっか。たまにはいいでしょ」
事も無げにアヤは助手席に座り直して窓の外を見るが、耳が赤いのがバレバレである。何考えてるか気になったけど、心はガードしていてさすがに読めなかった。
アヤから甘えてくるのはめったにないので、俺はこの瞬間を噛み締めハンドルを強く握った。
「信号青よ」
「あっ」
俺は慌ててアクセルを勢いよく踏んだ。
「ちょっと、運転荒いわよ」
「うっ……てめえ覚えてろよ」
いつものやりとりは健在だ。それでも、非日常は人を変えるのだろうか。行く前は気負ってたけど、心のままに動いていればよさそうだ。俺は肩の力を抜いてハンドルの握る位置を直した。