いっそ夜のうちに手出してほしかった
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カーテンの隙間から漏れ出る日の光に目を覚まし、体を動かそうと右に寝返りをうつ。こちらを向いて寝ているワカがいた。とりあえず私は上体を起こす。
なぜここにいる。昨日は真一郎たちと呑んで……
私はその後の恥ずかしい行為を思い出した。ワカにもたれかかったり、手繋いだりした気がする。真一郎たちの前で。昨夜の人目も気にせずだらけていた自身の行動が次々に蘇る。
ちょっと前に巴と飲んだときはちゃんとしてた。むしろ酔いつぶれた巴を送り届ける側だった。気をつけてたはずなのに。気が緩んだのか。つい飲みすぎてしまったようだ。
後のことは全く覚えてない。自分の服を見れば、昨日のままだ。余計なことはされてないらしい。
世間には、酔った勢いで一夜の過ちとかなるものがある。もしワカがただの仲間だったら、紳士で良い奴だと迷うことなく称えているだろう。
だが実際、ワカは恋人である。もう一線は越えている。
いつも我慢している欲を爆発させるかのような行為をしてくるワカが、何もしてないという事実に不本意ながら落胆する。私はいつからこんな邪な心をもつようになったのか。それでも、私には魅力がないのかと心配にならざるをえなかった。
突然腰をグイッと引き寄せられる。ワカと鼻先が触れ合った。
「やっと起きた」
「やっとって……いつから起きていた」
「オマエが目を開いたとき」
最初から寝たフリとは……意地悪なのは通常運転だな。
「なんで何もないんだって顔してたな」
思考を読まれ、私は思わず目を背けた。ワカに「図星かよ」と言われ、言い逃れができなくなった。嘘つくと目を逸らすと毎度言われているのに、本当に治らない。
「……昨日はどうした?」
「真ちゃんをベンケイが連れてった。オレがシズを家まで運んで水飲ましてそのまま寝た」
「そうか……手間かけたな。ごめん」
何分経っただろうか。ワカはじっと見つめるだけだった。
ワカの思惑が読めず、この先どうしようかと考えを巡らし始めた頃。
私はワカに組み敷かれた。ワカの左手が私の両腕を頭上で拘束する。
「何でオレが昨日手出さなかったか分かる?」
「……私が、品のないことでもしたのか?」
ちげえな、とワカは即座に否定する。
「酒ってさあ、感覚鈍るんだよね」
「んっ……ああっ……なっ何を」
ワカがうなじ、鎖骨、腰、と指先でツゥーッと、焦らすようになぞる。
「こうして触ったりしても」
ワカの顔が徐々に近づいてくる。
「シズは全然起きないし」
唇をペロッと舐められる。いつもよりもどかしい刺激に体をよじらせるものの、腕を押さえられては逃げられない。
「オレは素のシズの反応がだあいすきなの。だからさあ」
──今から愛し合おうな?
ワカはペロッと舌なめずりをした。口角は上がってるが目は笑ってない。その目は駄目だ。そんな熱を孕んだ視線を向けられたら、逆らえない。
いつも朝イチで握る壁に立てかけられた竹刀に視線を向け、今日は稽古できないコースだ、と悟りながら諦めてワカに身を委ねた。
なぜここにいる。昨日は真一郎たちと呑んで……
私はその後の恥ずかしい行為を思い出した。ワカにもたれかかったり、手繋いだりした気がする。真一郎たちの前で。昨夜の人目も気にせずだらけていた自身の行動が次々に蘇る。
ちょっと前に巴と飲んだときはちゃんとしてた。むしろ酔いつぶれた巴を送り届ける側だった。気をつけてたはずなのに。気が緩んだのか。つい飲みすぎてしまったようだ。
後のことは全く覚えてない。自分の服を見れば、昨日のままだ。余計なことはされてないらしい。
世間には、酔った勢いで一夜の過ちとかなるものがある。もしワカがただの仲間だったら、紳士で良い奴だと迷うことなく称えているだろう。
だが実際、ワカは恋人である。もう一線は越えている。
いつも我慢している欲を爆発させるかのような行為をしてくるワカが、何もしてないという事実に不本意ながら落胆する。私はいつからこんな邪な心をもつようになったのか。それでも、私には魅力がないのかと心配にならざるをえなかった。
突然腰をグイッと引き寄せられる。ワカと鼻先が触れ合った。
「やっと起きた」
「やっとって……いつから起きていた」
「オマエが目を開いたとき」
最初から寝たフリとは……意地悪なのは通常運転だな。
「なんで何もないんだって顔してたな」
思考を読まれ、私は思わず目を背けた。ワカに「図星かよ」と言われ、言い逃れができなくなった。嘘つくと目を逸らすと毎度言われているのに、本当に治らない。
「……昨日はどうした?」
「真ちゃんをベンケイが連れてった。オレがシズを家まで運んで水飲ましてそのまま寝た」
「そうか……手間かけたな。ごめん」
何分経っただろうか。ワカはじっと見つめるだけだった。
ワカの思惑が読めず、この先どうしようかと考えを巡らし始めた頃。
私はワカに組み敷かれた。ワカの左手が私の両腕を頭上で拘束する。
「何でオレが昨日手出さなかったか分かる?」
「……私が、品のないことでもしたのか?」
ちげえな、とワカは即座に否定する。
「酒ってさあ、感覚鈍るんだよね」
「んっ……ああっ……なっ何を」
ワカがうなじ、鎖骨、腰、と指先でツゥーッと、焦らすようになぞる。
「こうして触ったりしても」
ワカの顔が徐々に近づいてくる。
「シズは全然起きないし」
唇をペロッと舐められる。いつもよりもどかしい刺激に体をよじらせるものの、腕を押さえられては逃げられない。
「オレは素のシズの反応がだあいすきなの。だからさあ」
──今から愛し合おうな?
ワカはペロッと舌なめずりをした。口角は上がってるが目は笑ってない。その目は駄目だ。そんな熱を孕んだ視線を向けられたら、逆らえない。
いつも朝イチで握る壁に立てかけられた竹刀に視線を向け、今日は稽古できないコースだ、と悟りながら諦めてワカに身を委ねた。