いっそ夜のうちに手出してほしかった
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とある居酒屋。オレとシズと真ちゃんとベンケイで飲んでる。成人後、このメンツでは初の酒の集いだ。
「まーた振られたのか真一郎!」
ベンケイがガハハッと仰け反って笑う。
各々出来上がってきた頃。話題は真ちゃんの恋に移っていた。
ベンケイは酔うと笑い上戸になるらしい。タダでさえ声が響くのに、加減もなく笑い声を出されると鼓膜に大ダメージである。
「真ちゃん、これで何連敗?」
「……20」
元黒龍総長、佐野真一郎。相変わらず男ばかり引き寄せ、女にモテないでいた。
「もうあれ以上かわいい人はいないって思ったのに……」
「さすがに初対面の男がオイルまみれでいきなり好きですとか言ったらみんな引くだろ」
「なんで知ってんだよベンケイ」
「万次郎が言ってたぞ」
真ちゃんが泣く素振りを見せる。いつもなら冗談ぽく嘘泣きだが、今日は酒が入り、ガチで悔しいのかマジで泣いていた。
「ワカ〜オレに惚れてる子紹介して〜」
「ごめんオレシズ以外の女、毛ほども興味ねえから知らんわ」
「こんの余裕腹立つー!」
真ちゃんはオレの頭をわしゃわしゃと掻き回す。せっかく家で梳かした髪がボサボサになってしまった。さらにオレの腰をホールドして頭をグリグリ擦り付けてくる。
コイツは喧嘩最弱王というあだ名をもつ。ただし、真ちゃんは余程のクズ野郎か、自分より強いヤツとしか争わないため、普通の人間より腕っぷしは十分ある。
オレは学んだ。真ちゃんは呑むと泣き上戸になる。そしてひっつき虫になる。タッパがあり筋肉量もバカにならないから引き剥がすのも一苦労。オレが満更でもないっていうのもあるけど。
左手に暖かい何かが触れる。シズの手がオレの手に重なっていた。シズはたどたどしい手つきで、オレの指と指の間、手の甲、掌、と順に撫でていく。オレの無骨な手の感触を楽しんでいるようだ。しばらくすると、シズの指がオレの指に絡む。自然と恋人繋ぎの形になる。
今度はオレの肩に寄りかかった。ん……と鼻声を小さく発する。眠そうだな。シズを起こさないように、オレは手をそっとシズの頬に乗せ、こっちに顔を向かせる。目は半開きでトロンとしていた。シズは肌が白いから、分かりやすく顔が桃色に染まっている。力が入らないのか、口の中心が僅かに開いていた。
ああヤバい。
いつものコイツなら絶対こんな顔はしない。真ちゃんたちの前でさえ分かりやすくイチャつくのを嫌う。こんなふうに、いかにもキスを欲する顔を、多くの男たちが出入りする活気に溢れた居酒屋で見るなんて、誰が想像しただろうか。
向かいに座るベンケイと目を合わせる。
「……真一郎連れてくな」
ベンケイはオレが言わんとしたことを察し、オレに抱きついたままの真ちゃんを引き剥がす。真ちゃんはいつの間にか、電池切れを起こしたかのように眠りについていた。
ベンケイは真ちゃんを背負って先に店を出る。オレも金を払ってから、テーブルに突っ伏したシズを背負って店をあとにする。
「送り狼になるなよ」
「テメエこそ、今日のコイツオカズにしたら今度地獄のスパーリングしてやるよ」
今は何とか鋼の理性で保っている。この先のオレの行動は……コイツ次第だ。
***
オレはシズをおんぶしてコイツの家まで歩き、合鍵を使って家に入った。
「水、飲めるか?」
水を飲まなければ二日酔いに襲われる可能性がある。コイツが二日酔いでどんな症状が出るかは分からないが、頭痛でもう酒飲まないとか言われたらさすがにいたたまれない。
「しょうがねえなあ……」
オレはコップの水を含んで、シズと口を合わせる。シズが咳き込むことのないように、ゆっくり、少しずつ、水を流し込む。コイツの口がちょうど良い大きさに開いていたから、それにしたがって入れた。
「んぅ〜……あぅっ……」
コイツの口からくぐもった声が漏れる。シズは半分眠った状態で、流れてくる水を本能的にゴクッと飲み干す。目を覚ます気配はない。汲んだ水が無くなるまでこれを繰り返した。キッチンの電気しかつけていないため、薄暗い中でのこの行為にオレの理性は焼ききれそうだった。
終わる頃には顔の赤みは引いていた。酔いは覚めたようだ。だが完全に寝ている。
いくら馴染みのあるヤツらの前とはいえ、外でこんな無防備な顔を晒したことにオレは腹が立った。ちょっとしたお仕置きを頭に思い描いてから、シズを姫抱きしてベッドに運んだ。
「まーた振られたのか真一郎!」
ベンケイがガハハッと仰け反って笑う。
各々出来上がってきた頃。話題は真ちゃんの恋に移っていた。
ベンケイは酔うと笑い上戸になるらしい。タダでさえ声が響くのに、加減もなく笑い声を出されると鼓膜に大ダメージである。
「真ちゃん、これで何連敗?」
「……20」
元黒龍総長、佐野真一郎。相変わらず男ばかり引き寄せ、女にモテないでいた。
「もうあれ以上かわいい人はいないって思ったのに……」
「さすがに初対面の男がオイルまみれでいきなり好きですとか言ったらみんな引くだろ」
「なんで知ってんだよベンケイ」
「万次郎が言ってたぞ」
真ちゃんが泣く素振りを見せる。いつもなら冗談ぽく嘘泣きだが、今日は酒が入り、ガチで悔しいのかマジで泣いていた。
「ワカ〜オレに惚れてる子紹介して〜」
「ごめんオレシズ以外の女、毛ほども興味ねえから知らんわ」
「こんの余裕腹立つー!」
真ちゃんはオレの頭をわしゃわしゃと掻き回す。せっかく家で梳かした髪がボサボサになってしまった。さらにオレの腰をホールドして頭をグリグリ擦り付けてくる。
コイツは喧嘩最弱王というあだ名をもつ。ただし、真ちゃんは余程のクズ野郎か、自分より強いヤツとしか争わないため、普通の人間より腕っぷしは十分ある。
オレは学んだ。真ちゃんは呑むと泣き上戸になる。そしてひっつき虫になる。タッパがあり筋肉量もバカにならないから引き剥がすのも一苦労。オレが満更でもないっていうのもあるけど。
左手に暖かい何かが触れる。シズの手がオレの手に重なっていた。シズはたどたどしい手つきで、オレの指と指の間、手の甲、掌、と順に撫でていく。オレの無骨な手の感触を楽しんでいるようだ。しばらくすると、シズの指がオレの指に絡む。自然と恋人繋ぎの形になる。
今度はオレの肩に寄りかかった。ん……と鼻声を小さく発する。眠そうだな。シズを起こさないように、オレは手をそっとシズの頬に乗せ、こっちに顔を向かせる。目は半開きでトロンとしていた。シズは肌が白いから、分かりやすく顔が桃色に染まっている。力が入らないのか、口の中心が僅かに開いていた。
ああヤバい。
いつものコイツなら絶対こんな顔はしない。真ちゃんたちの前でさえ分かりやすくイチャつくのを嫌う。こんなふうに、いかにもキスを欲する顔を、多くの男たちが出入りする活気に溢れた居酒屋で見るなんて、誰が想像しただろうか。
向かいに座るベンケイと目を合わせる。
「……真一郎連れてくな」
ベンケイはオレが言わんとしたことを察し、オレに抱きついたままの真ちゃんを引き剥がす。真ちゃんはいつの間にか、電池切れを起こしたかのように眠りについていた。
ベンケイは真ちゃんを背負って先に店を出る。オレも金を払ってから、テーブルに突っ伏したシズを背負って店をあとにする。
「送り狼になるなよ」
「テメエこそ、今日のコイツオカズにしたら今度地獄のスパーリングしてやるよ」
今は何とか鋼の理性で保っている。この先のオレの行動は……コイツ次第だ。
***
オレはシズをおんぶしてコイツの家まで歩き、合鍵を使って家に入った。
「水、飲めるか?」
水を飲まなければ二日酔いに襲われる可能性がある。コイツが二日酔いでどんな症状が出るかは分からないが、頭痛でもう酒飲まないとか言われたらさすがにいたたまれない。
「しょうがねえなあ……」
オレはコップの水を含んで、シズと口を合わせる。シズが咳き込むことのないように、ゆっくり、少しずつ、水を流し込む。コイツの口がちょうど良い大きさに開いていたから、それにしたがって入れた。
「んぅ〜……あぅっ……」
コイツの口からくぐもった声が漏れる。シズは半分眠った状態で、流れてくる水を本能的にゴクッと飲み干す。目を覚ます気配はない。汲んだ水が無くなるまでこれを繰り返した。キッチンの電気しかつけていないため、薄暗い中でのこの行為にオレの理性は焼ききれそうだった。
終わる頃には顔の赤みは引いていた。酔いは覚めたようだ。だが完全に寝ている。
いくら馴染みのあるヤツらの前とはいえ、外でこんな無防備な顔を晒したことにオレは腹が立った。ちょっとしたお仕置きを頭に思い描いてから、シズを姫抱きしてベッドに運んだ。