もう一人の生きる伝説~小話~
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朝の光に目が慣れて意識が冴え始めたときだった。横から澄んだ寝息を認識したのは。
横を向くと、長い黒髪を乱したシズがオレに背を向けていた。手に力を入れて身体を浮かせ、シズを起こさないようそっと顔を除きこむ。いつものキリッとした目元は力が抜けていて、幸せな夢でも見ているかのようにすやすやとベッドに沈んでいた。
平日だったら、オレが目覚めると隣はシーツにシズのぬくもりが残っているだけだし、リビングに降りる頃には必ず味噌汁の香りがただよう。
オレでもこうして寝顔を拝めることはめったにない。それほどに昨日の夜は激しく盛り上がったのだ。満足感を噛みしめ、顔は勝手にニヤニヤと緩む。
「ん……わ、か……」
途切れ途切れにオレの名を紡いだと思ったら、毛布を抱き枕のように手繰り寄せてくるまる。
シズの幸せそうな顔を拝めるのだから、今はふわっふわの毛布を買ったことに後悔していない。それでも、並々ならぬモフモフ好きなコイツのせいで幾度となく毛皮類に妬いてきた。現に、実物のオレがここにいるというのに毛布なんかと熱いキスを交わしているのはいただけない。
オレにもぎゅーっと構ってほしい。シズの髪をかき分け、襟元から垣間見えるうなじに、甘えるように頭を押し付ける。
「んー……」
コイツの鋭い感覚は反応しているようだが、依然として起きる気配はなかった。
今度は同じところに何回か触れるキスをする。さっきより身動ぎが多くなったところで舌を這わすと、シズの手がオレの頭に伸びてきた。
手がちょっと当たったあとにシズはこっちに向き直り、薄目でオレをぼーっと見つめる。ようやくお目覚めのようだ。
オレが微笑みかけてシズの頬を撫でると、コイツはボッと顔を赤くしてまた毛布を被った。またモフモフがシズの邪魔をしやがる。取っ払ってやろうと掴んだがビクともしなかった。
「……寒い」
シズはぼそっと吐いた。確かにそうだ。ベッドから一歩這い出た瞬間、全身の毛が逆立つじゃないかってくらいにはひんやりしている。だが今の状況では、なけなしの言い訳に過ぎなかった。
「嘘つくなよ、昨日の思い出したんだろ」
「し、知らない!」
「忘れたとは言わせねえよ? 昨日あんだけヨガってさー、おっきいのちょうだい、って」
「言うんじゃねえ!」
「ぶふっ」
続きを言おうとしたら毛布に被ったままのシズがオレの口元に突進してきた。
コイツもしっかり覚えてるらしい。穴があったら入りたいとでも言いたげに、毛布の塊はもそもそと震えている。
安心しきった寝顔をさらすシズ。色っぽく掠れた声を出すシズ。恥ずかしがって縮こまるシズ。こんな無防備な姿を見られるのは、後にも先にもオレだけ。そんな優越感に浸りながら、オレは毛布ごとシズを抱きかかえた。
横を向くと、長い黒髪を乱したシズがオレに背を向けていた。手に力を入れて身体を浮かせ、シズを起こさないようそっと顔を除きこむ。いつものキリッとした目元は力が抜けていて、幸せな夢でも見ているかのようにすやすやとベッドに沈んでいた。
平日だったら、オレが目覚めると隣はシーツにシズのぬくもりが残っているだけだし、リビングに降りる頃には必ず味噌汁の香りがただよう。
オレでもこうして寝顔を拝めることはめったにない。それほどに昨日の夜は激しく盛り上がったのだ。満足感を噛みしめ、顔は勝手にニヤニヤと緩む。
「ん……わ、か……」
途切れ途切れにオレの名を紡いだと思ったら、毛布を抱き枕のように手繰り寄せてくるまる。
シズの幸せそうな顔を拝めるのだから、今はふわっふわの毛布を買ったことに後悔していない。それでも、並々ならぬモフモフ好きなコイツのせいで幾度となく毛皮類に妬いてきた。現に、実物のオレがここにいるというのに毛布なんかと熱いキスを交わしているのはいただけない。
オレにもぎゅーっと構ってほしい。シズの髪をかき分け、襟元から垣間見えるうなじに、甘えるように頭を押し付ける。
「んー……」
コイツの鋭い感覚は反応しているようだが、依然として起きる気配はなかった。
今度は同じところに何回か触れるキスをする。さっきより身動ぎが多くなったところで舌を這わすと、シズの手がオレの頭に伸びてきた。
手がちょっと当たったあとにシズはこっちに向き直り、薄目でオレをぼーっと見つめる。ようやくお目覚めのようだ。
オレが微笑みかけてシズの頬を撫でると、コイツはボッと顔を赤くしてまた毛布を被った。またモフモフがシズの邪魔をしやがる。取っ払ってやろうと掴んだがビクともしなかった。
「……寒い」
シズはぼそっと吐いた。確かにそうだ。ベッドから一歩這い出た瞬間、全身の毛が逆立つじゃないかってくらいにはひんやりしている。だが今の状況では、なけなしの言い訳に過ぎなかった。
「嘘つくなよ、昨日の思い出したんだろ」
「し、知らない!」
「忘れたとは言わせねえよ? 昨日あんだけヨガってさー、おっきいのちょうだい、って」
「言うんじゃねえ!」
「ぶふっ」
続きを言おうとしたら毛布に被ったままのシズがオレの口元に突進してきた。
コイツもしっかり覚えてるらしい。穴があったら入りたいとでも言いたげに、毛布の塊はもそもそと震えている。
安心しきった寝顔をさらすシズ。色っぽく掠れた声を出すシズ。恥ずかしがって縮こまるシズ。こんな無防備な姿を見られるのは、後にも先にもオレだけ。そんな優越感に浸りながら、オレは毛布ごとシズを抱きかかえた。