ロン夢
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今だけ、同じ高さ
もうちょっと身長が高かったらって、いつも思う。
「そろそろだよね」
「コンビニの向かい……あれだね」
ロンは屈んで地図アプリを開いた私の携帯をのぞいてから、目的地を指した。
新しくできた黒蜜和菓子専門店。この黒蜜狂いが食いつかないはずがなく、今日はそれをメインスポットとしてデートしている。
私の頭のてっぺんはロンの肩くらいの高さしかない。ここまで差があると、会話するとき首が痛くなるし、かといって毎回ロンが私の顔の高さにあわせてくれるのも申し訳なくなる。
一番くやしいのは。
「ロン! もうちょっとかがんでよ!」
「ふふっ」
そう、キスのとき届かない。どんなに背伸びしてもつま先立ちしても、この男の口元までの距離をゼロにすることはできない。自分から必ずロンに「キスしたい」って言うか合図を送るかしないとだめなのだ。ヒールは疲れるし足を痛めてデートの時間を短くしちゃうから、もう履かないって決めてる。
からかってくる恋人のムカつく顔を思い出しながら、私はロンのあとをついていく。看板を見れば、お目当ての店はどうやらこの階段を下った地下一階にあるらしい。
「じゃ、入ろうか」
「うん」
ロンが階段に足を進める。私も後ろに続いて足を踏み入れようとした、けど。
「ロン」
3歩くらい離れたところでとっさに呼び止めると、ロンはちゃんと振り向いてくれた。
今なら。
「なんだい……っ!?」
「ふふん」
一瞬だけロンの唇をはさんで、すぐ離れた。ロンより高い位置にいるこのときだけ、私から仕掛けられる絶好のチャンス。逃すわけがなかった。
ロンの顔をまじまじと見てみるけど、モサモサの前髪のせいで相変わらずどんな表情か読めない。「あ、ちょうちょが飛んでる」くらいの薄い反応しか感じられない。私からすることなんてめったになかったのに。意外とロンが驚いてくれなくて、むしろロンは引いてしまったんじゃないかって、一人恥ずかしくなってきた。
「わっ」
不安定な足場にもかかわらず、ロンは私を抱き寄せる。足を踏み外しかけたけど、ロンは私を軽々と抱きとめた。
「夜は覚悟するんだよ」
「ひっ……」
昼に似つかわしくない甘い声がロンの心音とともに体中を駆け巡る。
結局私ばっかりドキドキさせられっぱなしだけど、いつも余裕そうなロンの腕には珍しく力が入っていて。ロンばかりに主導権を握られてたけど、引き分けくらいには持ち込めただろうか。嬉しいと恥ずかしいとドキドキを抱えて、私はロンのことをぎゅっと抱きしめ返した。
もうちょっと身長が高かったらって、いつも思う。
「そろそろだよね」
「コンビニの向かい……あれだね」
ロンは屈んで地図アプリを開いた私の携帯をのぞいてから、目的地を指した。
新しくできた黒蜜和菓子専門店。この黒蜜狂いが食いつかないはずがなく、今日はそれをメインスポットとしてデートしている。
私の頭のてっぺんはロンの肩くらいの高さしかない。ここまで差があると、会話するとき首が痛くなるし、かといって毎回ロンが私の顔の高さにあわせてくれるのも申し訳なくなる。
一番くやしいのは。
「ロン! もうちょっとかがんでよ!」
「ふふっ」
そう、キスのとき届かない。どんなに背伸びしてもつま先立ちしても、この男の口元までの距離をゼロにすることはできない。自分から必ずロンに「キスしたい」って言うか合図を送るかしないとだめなのだ。ヒールは疲れるし足を痛めてデートの時間を短くしちゃうから、もう履かないって決めてる。
からかってくる恋人のムカつく顔を思い出しながら、私はロンのあとをついていく。看板を見れば、お目当ての店はどうやらこの階段を下った地下一階にあるらしい。
「じゃ、入ろうか」
「うん」
ロンが階段に足を進める。私も後ろに続いて足を踏み入れようとした、けど。
「ロン」
3歩くらい離れたところでとっさに呼び止めると、ロンはちゃんと振り向いてくれた。
今なら。
「なんだい……っ!?」
「ふふん」
一瞬だけロンの唇をはさんで、すぐ離れた。ロンより高い位置にいるこのときだけ、私から仕掛けられる絶好のチャンス。逃すわけがなかった。
ロンの顔をまじまじと見てみるけど、モサモサの前髪のせいで相変わらずどんな表情か読めない。「あ、ちょうちょが飛んでる」くらいの薄い反応しか感じられない。私からすることなんてめったになかったのに。意外とロンが驚いてくれなくて、むしろロンは引いてしまったんじゃないかって、一人恥ずかしくなってきた。
「わっ」
不安定な足場にもかかわらず、ロンは私を抱き寄せる。足を踏み外しかけたけど、ロンは私を軽々と抱きとめた。
「夜は覚悟するんだよ」
「ひっ……」
昼に似つかわしくない甘い声がロンの心音とともに体中を駆け巡る。
結局私ばっかりドキドキさせられっぱなしだけど、いつも余裕そうなロンの腕には珍しく力が入っていて。ロンばかりに主導権を握られてたけど、引き分けくらいには持ち込めただろうか。嬉しいと恥ずかしいとドキドキを抱えて、私はロンのことをぎゅっと抱きしめ返した。