ヤイバ
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定時で上がれそうな今日は金曜日。
帰ったら何しようかなー?冷蔵庫の中身はどうだったっけ?お買い物して帰ろうかな?
そんな考え事をしながらゆっくりと帰り支度をしていると、ロム先輩が急いだ様子で椅子から立ち上がる。
「悪いが、先に上がらせてもらうぜ。これからアイツらと練習なんだ。名前も早めに上がって休めよ?」
入社してから私の教育を担当してくれているのがロム先輩なのだが、その為、私のデスクはロム先輩の隣である。
こうやって何かと声をかけてくれるし、ロム先輩が私の担当で良かったとつくづく思う。
私が安心して仕事ができるのは、ロム先輩のお陰だろう。
「はい!お疲れ様でした。練習、頑張ってください」
そう答えると、ロム先輩は颯爽と去って行った。
さて、私も帰ろう!
荷物を詰めたバッグを肩にかけ立ち上がると、ロム先輩のデスクの上に無造作に置かれた携帯電話が目に入った。
あれ?もしかしてロム先輩、スマホ忘れて帰った?
スマホケースの柄や機種からして、ロム先輩が持っていた物で間違いはないと思う。
さっき、この後はバンドの練習と言っていた。
BRR事務所の場所はわかっている。
以前ヤイバさんがカフェに誘ってくれて、その後も何度か行ったことがある。
そして最近、ヤイバさんと綺麗な女性のツーショットを目撃したばかり。
スマホを届けに行けば当然、シンガンのメンバーであるヤイバさんとも顔を合わせる可能性があるわけで、私は今までの調子で顔を合わせられるかちょっと自信がなかった。
でも……スマホがないと困るよね。見つけた私が届けなくては!
そう決めた私は、ロム先輩のスマホを無くさないようバッグにしまい、まだオフィスに数名残る同僚に退勤の挨拶をして、早速BRR事務所を目指した。
「会社に忘れて帰った事すら気づいてなかったぜ。ありがとな!名前」
昼間はカフェ、夜はバーとして経営しているという店内に入ると、丁度シンガンメンバー全員がいて、ロム先輩にスマホを届けに来たのだとバーの店主に説明する手間が省けた。
ロム先輩はスマホをすっかり忘れていたようで、少し迷ったけど届けにきて良かったと思った。
ロム先輩の大きな手でガシガシと頭を撫でられる。
髪の毛はくしゃくしゃになるけど、嫌ではない。
寧ろ私は、ロム先輩に頭を撫でられるのは素直に嬉しい。
「夜飯まだだよな?事務所のバーで良かったら何か食べるか?俺の奢りだ!」
「では遠慮なく、いただきます♪」
腹ごしらえの後に、スタジオで練習なのだと言うシンガンの皆さんと一緒に、バーの食事をご馳走になる。
ヤイバさんとうまく顔を合わせられるか心配していた私だけど、スムーズに会話する事ができた。
食事中、4人組の女性が店内に入ってきた。
プラズマジカだと気がついた私は、初めて間近で見るプラズマジカの皆さんに少し緊張してしまう。
この前、ヤイバさんと一緒に歩いていたキレイな人……どこかで見た事がある気がしてたけど、プラズマジカのメンバーだったんだ。
初めて見る顔の私に、プラズマジカの皆さんが誰なのかと疑問を持っていたところ、ロム先輩が会社の後輩だと説明してくれる。
たわいもない話を続ける中、ヤイバさんとチュチュさんは、恋人同士という雰囲気ではない。
どうやら私の勝手な勘違いだったようだ。
ロム先輩達がスタジオに練習に行ってしまった後、そろそろ帰ろうかどうしようかと考えていたところに、プラズマジカの皆さんがやってきて私にいろいろと話しかけてくれた。
最初は緊張していた私だけど……それは本当に最初だけ。
すっかり時間を忘れてお喋りしていたようで、練習を終えたロム先輩達がバーに戻ってきた。
「お、名前、女同士でお喋りしてたのか」
「はい!すっかりプラズマジカの皆さんのファンになっちゃいました♪」
「うわぁ、嬉しいにゃあ♪」
「それを聞いたらやる気が出てきましたわ!皆さん、これから少し合わせてみませんか?」
プラズマジカの皆さんはこれから練習をするようだ。
スタジオに向かう皆さんを見送り、私もそろそろ帰ろうかと、帰り支度を始める。
「もう夜も遅い時間だから、ヤイバ、すまねぇが、名前の事、家まで送ってやってくれねーか?俺のスマホを届ける為に来てくれたのに俺が行かなくて悪いが、ちょっとやらなきゃならねー事があってな……任せていいか?」
「了解した。名前殿を無事、自宅まで送り届けよう」
「私は大丈夫ですよ?ヤイバさんも練習で疲れてるだろうし、何だか悪い気がします……」
「ダメだ。女子が遅い時間にひとりで出歩いてるだなんて危ないからな。ヤイバ、頼んだぞ」
……
こんな経緯があって、ヤイバさんと2人、夜道を歩いている。
「ヤイバさん、すみません。わざわざ送って頂いて……」
「お主が謝る必要はない。お主は親切にロムのスマホを届けてくれたのだからな。……バーの料理はどうであった?」
とりとめのない話をしながら歩く。
最初は楽しくお話していた私だけど……
……チュチュさんがヤイバさんの恋人でなかったとしても……プラズマジカさんや個性的な人たちを目の当たりにして、私は途端に自信がなくなってしまう。
私なんて……何の取り柄もないつまらない人間だ。
……スイーツについては好きなりに詳しい自信はあるけど。
いや、真面目である事くらいが取り柄のような私は、害にもならないけど面白くもない存在なのでは?
そう思うのはヤイバさんだって、例外じゃないと思う。
「あの……ヤイバさんは私と一緒に居て、楽しいですか?ヤイバさんの周りは個性的な人たちばかりで……私みたいな普通、楽しくないんじゃないかって……」
突然の私の告白にヤイバさんは戸惑っている。
そりゃそうだよね。
さっきまで楽しくお喋りしてたのに、いきなりこんな事言われたら私だって驚く。
「え?いや……そんな事はない。拙者はお主と一緒に居て楽しいのだが……?」
「そうですか……」
ヤイバさんから楽しいと言われても、心のモヤモヤは晴れない。
私は私の真面目な性格がコンプレックスなのだ。
ちょっと暗い雰囲気になってしまったが、その後の言葉が続かない私。
すると、ちょっと遠慮気味にヤイバさんが話し始める。
「あの……今度、名前殿のお勧めスイーツ店に案内してはくれぬか?お主のいち推しならば、拙者も興味がある……いいだろうか……?」
「……も、もちろんです。どこのスイーツもそれぞれ良いところがあるので迷っちゃいますけど、いち推し、考えておきますね!」
暗くしてしまった雰囲気を打ち消そうと、私はなるべく明るい口調で答えた。
ヤイバさんは優しい。
……この優しさは、誰に対しても同じなのだろうか……?
そんなやり取りをしていると、もう家まで着いてしまった。
「ヤイバさん、ありがとうございました。ここが私のお家です」
このままサヨナラしたくないな……なんて思ってしまってる私。
つい呼び止めてしまいたくなるのを抑えて、送ってくれてありがとうと笑顔でお礼を言った。
マンションの入り口で手を振り別れる。
やっぱり私って、何とも思われてないのかな……
…… 私、何考えてるんだろ……
家まで送ってもらって、優しくしてもらって、これ以上なんて欲張りすぎ。
そうは思うけれど、何だか切なくなってしまった私は今日はなかなか眠れそうになかった。
その後、BRR事務所にて
「ヤイバ!馬鹿野郎!お前、もう帰ってきたのかよ!せっかく気を利かせたって言うのによ……」
「故に?!なぜ怒られるのだ!?」
帰ったら何しようかなー?冷蔵庫の中身はどうだったっけ?お買い物して帰ろうかな?
そんな考え事をしながらゆっくりと帰り支度をしていると、ロム先輩が急いだ様子で椅子から立ち上がる。
「悪いが、先に上がらせてもらうぜ。これからアイツらと練習なんだ。名前も早めに上がって休めよ?」
入社してから私の教育を担当してくれているのがロム先輩なのだが、その為、私のデスクはロム先輩の隣である。
こうやって何かと声をかけてくれるし、ロム先輩が私の担当で良かったとつくづく思う。
私が安心して仕事ができるのは、ロム先輩のお陰だろう。
「はい!お疲れ様でした。練習、頑張ってください」
そう答えると、ロム先輩は颯爽と去って行った。
さて、私も帰ろう!
荷物を詰めたバッグを肩にかけ立ち上がると、ロム先輩のデスクの上に無造作に置かれた携帯電話が目に入った。
あれ?もしかしてロム先輩、スマホ忘れて帰った?
スマホケースの柄や機種からして、ロム先輩が持っていた物で間違いはないと思う。
さっき、この後はバンドの練習と言っていた。
BRR事務所の場所はわかっている。
以前ヤイバさんがカフェに誘ってくれて、その後も何度か行ったことがある。
そして最近、ヤイバさんと綺麗な女性のツーショットを目撃したばかり。
スマホを届けに行けば当然、シンガンのメンバーであるヤイバさんとも顔を合わせる可能性があるわけで、私は今までの調子で顔を合わせられるかちょっと自信がなかった。
でも……スマホがないと困るよね。見つけた私が届けなくては!
そう決めた私は、ロム先輩のスマホを無くさないようバッグにしまい、まだオフィスに数名残る同僚に退勤の挨拶をして、早速BRR事務所を目指した。
「会社に忘れて帰った事すら気づいてなかったぜ。ありがとな!名前」
昼間はカフェ、夜はバーとして経営しているという店内に入ると、丁度シンガンメンバー全員がいて、ロム先輩にスマホを届けに来たのだとバーの店主に説明する手間が省けた。
ロム先輩はスマホをすっかり忘れていたようで、少し迷ったけど届けにきて良かったと思った。
ロム先輩の大きな手でガシガシと頭を撫でられる。
髪の毛はくしゃくしゃになるけど、嫌ではない。
寧ろ私は、ロム先輩に頭を撫でられるのは素直に嬉しい。
「夜飯まだだよな?事務所のバーで良かったら何か食べるか?俺の奢りだ!」
「では遠慮なく、いただきます♪」
腹ごしらえの後に、スタジオで練習なのだと言うシンガンの皆さんと一緒に、バーの食事をご馳走になる。
ヤイバさんとうまく顔を合わせられるか心配していた私だけど、スムーズに会話する事ができた。
食事中、4人組の女性が店内に入ってきた。
プラズマジカだと気がついた私は、初めて間近で見るプラズマジカの皆さんに少し緊張してしまう。
この前、ヤイバさんと一緒に歩いていたキレイな人……どこかで見た事がある気がしてたけど、プラズマジカのメンバーだったんだ。
初めて見る顔の私に、プラズマジカの皆さんが誰なのかと疑問を持っていたところ、ロム先輩が会社の後輩だと説明してくれる。
たわいもない話を続ける中、ヤイバさんとチュチュさんは、恋人同士という雰囲気ではない。
どうやら私の勝手な勘違いだったようだ。
ロム先輩達がスタジオに練習に行ってしまった後、そろそろ帰ろうかどうしようかと考えていたところに、プラズマジカの皆さんがやってきて私にいろいろと話しかけてくれた。
最初は緊張していた私だけど……それは本当に最初だけ。
すっかり時間を忘れてお喋りしていたようで、練習を終えたロム先輩達がバーに戻ってきた。
「お、名前、女同士でお喋りしてたのか」
「はい!すっかりプラズマジカの皆さんのファンになっちゃいました♪」
「うわぁ、嬉しいにゃあ♪」
「それを聞いたらやる気が出てきましたわ!皆さん、これから少し合わせてみませんか?」
プラズマジカの皆さんはこれから練習をするようだ。
スタジオに向かう皆さんを見送り、私もそろそろ帰ろうかと、帰り支度を始める。
「もう夜も遅い時間だから、ヤイバ、すまねぇが、名前の事、家まで送ってやってくれねーか?俺のスマホを届ける為に来てくれたのに俺が行かなくて悪いが、ちょっとやらなきゃならねー事があってな……任せていいか?」
「了解した。名前殿を無事、自宅まで送り届けよう」
「私は大丈夫ですよ?ヤイバさんも練習で疲れてるだろうし、何だか悪い気がします……」
「ダメだ。女子が遅い時間にひとりで出歩いてるだなんて危ないからな。ヤイバ、頼んだぞ」
……
こんな経緯があって、ヤイバさんと2人、夜道を歩いている。
「ヤイバさん、すみません。わざわざ送って頂いて……」
「お主が謝る必要はない。お主は親切にロムのスマホを届けてくれたのだからな。……バーの料理はどうであった?」
とりとめのない話をしながら歩く。
最初は楽しくお話していた私だけど……
……チュチュさんがヤイバさんの恋人でなかったとしても……プラズマジカさんや個性的な人たちを目の当たりにして、私は途端に自信がなくなってしまう。
私なんて……何の取り柄もないつまらない人間だ。
……スイーツについては好きなりに詳しい自信はあるけど。
いや、真面目である事くらいが取り柄のような私は、害にもならないけど面白くもない存在なのでは?
そう思うのはヤイバさんだって、例外じゃないと思う。
「あの……ヤイバさんは私と一緒に居て、楽しいですか?ヤイバさんの周りは個性的な人たちばかりで……私みたいな普通、楽しくないんじゃないかって……」
突然の私の告白にヤイバさんは戸惑っている。
そりゃそうだよね。
さっきまで楽しくお喋りしてたのに、いきなりこんな事言われたら私だって驚く。
「え?いや……そんな事はない。拙者はお主と一緒に居て楽しいのだが……?」
「そうですか……」
ヤイバさんから楽しいと言われても、心のモヤモヤは晴れない。
私は私の真面目な性格がコンプレックスなのだ。
ちょっと暗い雰囲気になってしまったが、その後の言葉が続かない私。
すると、ちょっと遠慮気味にヤイバさんが話し始める。
「あの……今度、名前殿のお勧めスイーツ店に案内してはくれぬか?お主のいち推しならば、拙者も興味がある……いいだろうか……?」
「……も、もちろんです。どこのスイーツもそれぞれ良いところがあるので迷っちゃいますけど、いち推し、考えておきますね!」
暗くしてしまった雰囲気を打ち消そうと、私はなるべく明るい口調で答えた。
ヤイバさんは優しい。
……この優しさは、誰に対しても同じなのだろうか……?
そんなやり取りをしていると、もう家まで着いてしまった。
「ヤイバさん、ありがとうございました。ここが私のお家です」
このままサヨナラしたくないな……なんて思ってしまってる私。
つい呼び止めてしまいたくなるのを抑えて、送ってくれてありがとうと笑顔でお礼を言った。
マンションの入り口で手を振り別れる。
やっぱり私って、何とも思われてないのかな……
…… 私、何考えてるんだろ……
家まで送ってもらって、優しくしてもらって、これ以上なんて欲張りすぎ。
そうは思うけれど、何だか切なくなってしまった私は今日はなかなか眠れそうになかった。
その後、BRR事務所にて
「ヤイバ!馬鹿野郎!お前、もう帰ってきたのかよ!せっかく気を利かせたって言うのによ……」
「故に?!なぜ怒られるのだ!?」